強制性交事件の民事訴訟で仰天判決|鹿児島地裁がストーリーでっち上げて被告擁護

2021年秋に起きた鹿児島県医師会の男性職員(2022年10月に退職。以下「男性」)による強制性交事件の被害女性が損害賠償を求めていた民事訴訟で、鹿児島地裁民事第2部(前原栄智裁判長)が30日、男性被告側の主張にまったくなかったストーリーをでっち上げ、訴えを退けた。司法の信頼を揺るがす前代未聞の展開だ。

◆   ◆   ◆

この事件では22年1月、鹿児島県警中央警察署が弁護士を同行した女性の告訴状提出を拒否。背景には、「警察一家」特有の庇い合い体質があったとみられている。

男性職員の父親は、21年春まで同署勤務の警部補。この年の12月に男性職員と父親が中央署を訪れ、「合意の上での性行為」という一方的な弁明を行っていた。

当時、県医師会の会長だった池田琢哉氏は、22年2月に県の担当部署に出向き「強姦かといえるのか」「強制的と言えるのかどうか」として強制性交を否定。「(県警から)刑事事件には該当しないと言われている」などと一方的な見解を申し述べ、組織防衛に走っていたことが県への情報公開請求で入手した文書から明らかとなっている(*下の画像参照)。この時点で医師会は、事件についての調査はもちろん、被害女性からの聞き取りさえも行っていなかった。

県警は告訴状についての当初の対応を「受け渋り」と表現したが、これは姑息な自己弁護。実際には、対応した女性警察官が頑なに告訴状の受理を拒否。帰途につかせた被害女性を署の駐車場まで追いかけ、いったん取得した告訴状のコピーを突き返すなど異常な行動で事件のもみ消しを図っていた。その後の捜査がまともに進むはずはなく、23年3月に立憲民主党の塩村文夏参議院議員が国会で追及するまで県警は動かなった。送検は告訴状受理から1年半後。検察の調べも杜撰だったとみられ、当然のように「不起訴」という処分だった。以下に一連の経緯を示す。

今年1月に鹿児島地方裁判所で開かれた民事訴訟の法廷に提出されたのは、男性が被害女性の雇用主に呼ばれ、「一般的に言えば強姦罪です」と事件の経緯を“白状”した際の録音データ。被害女性の代理人弁護士が録音データに沿って尋問したが、男性の証言は、裁判所や傍聴人を納得させ得る合理的な説明とは言えないものだった。

衝撃的な内容によって「合意に基づく性行為」だと強弁してきた男性と県医師会の主張が揺らぐ展開となっていたが、地裁は30日、男性被告側が準備書面でも法廷でも主張していなかった ――(男性が白状したのは)被害女性の不利益にならないように(配慮)したから―― とするストーリーを創作して被告を擁護。前原栄智裁判長は、冷徹な口調で損害賠償請求を棄却した。創作といえば聞こえがいいが、つまりは“でっち上げ”に基づく判決。女性の代理人弁護士は、即日控訴の手続きを行ったとしている。

警察、検察に続いて裁判所までが被害女性の悲痛な訴えに耳を貸そうとしない現実――。弱者が満足な司法サービスを受けることのできないこの国の病巣の深さに暗然とする思いだ。

(中願寺純則)

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