自民党から野党までの幅広い人脈を利用し、フィクサーとして暗躍してきたコンサル会社「大樹総研」の代表・矢島義也氏。2度にわたる東京地検特捜部の強制捜査に加え、昵懇だった菅義偉元首相や二階俊博元幹事長ら「矢島人脈」の政治家が相次いで力を失うなど、周辺事情が激変。「事実上の失脚。政界での力はなくなった」(大樹総研元幹部)と言われていたが、その矢島氏が復権しつつある。昨年の静岡県知事選で同氏とともに大樹総研を立ち上げた鈴木康友氏が勝利。今回の参議院選挙では、その矢島氏が深くかかわっているとみられる参政党が大きく躍進した。
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矢島氏と特に関係が深いとされているのが、参議院選挙の全国比例で参政党から出馬し、初当選を果たした元財務官僚の松田学氏だ。松田氏はこれまで、政界入りを目指して日本維新の会や次世代の党などから国政選挙に出馬。維新時代に比例復活当選で1度だけ衆議院議員を務めた経験がある。維新が分裂すると自民党に移籍。国政復帰を狙うなど政党渡り鳥のようなあゆみを残してきた。その際に手を差し伸べたのが矢島氏だった。
2010年、松田氏は大樹総研の特別研究員・執行役員に就任。その肩書で、全国各地でにおける講演活動などを行っていた。16年には矢島氏が東京都内の帝国ホテルで開催した結婚披露宴にも列席している。
その一方で、松田氏には“怪しい影“が付きまとう。2017年、自民党の細野豪志衆議院議員(当時は希望の党)に対して、大樹総研と密接な関係である「JC証券」が細野氏に5,000万円を提供し、東京地検特捜部が捜査に動いた。その際、JC証券の役員だったのが松田氏だ。細野氏への「疑惑」が報じられた直後、松田氏はJC証券の取締役を退任していた。大樹総研の元幹部がこう振り返る。
「JC証券から細野氏への5,000万円の貸付は、矢島さんが動いて実現したもの。大樹総研関連の企業がいくつもある中、JC証券が融資元に選ばれたのは、当然ながら元衆議院議員の松田さんがいたからこそだった。それほど、松田さんは矢島さんと太い関係があった」
ちなみに、JC証券はその後、金融庁から金融商品取引法違反による登録取り消しの行政処分を受けている。
神谷氏が参政党結党前に力を注いていたのは、全国の首長や地方議員の有志をたばねた「龍馬プロジェクト」。そこにも松田氏と矢島氏の影が見え隠れする。松田氏は「龍馬プロジェクト全国会」の政治資金収支報告書で講演料を得ていた。
龍馬プロジェクトのメンバーである東京・豊島区議の細川正博氏が2013年10月7日に公開したブログには次のような記載がある。
《都内にて龍馬プロジェクトの勉強会を行いました。冒頭、龍馬プロジェクト全国会の神谷宗幣会長からのご挨拶。龍馬プロジェクトの活動の概要、勉強会が実現した経緯(大樹グループの矢島義也会長のご協力を頂き、実現しました)など》と矢島氏が龍馬プロジェクトの「スポンサー」的な役割だったと書いている。
同ブログには《1人目の講演者は、大樹総研所長の池田健三郎氏。「世界経済とアベノミクスの関係」》《2人目の講演者は、浜松市長の鈴木康友氏。「国会議員ではできなかったこと/首長による地方からの改革」》ともある。
神谷氏もその講演の模様をブログに掲載、《夕方からは大樹総研さんの研修施設をお借りし、研修会を!《テレビでもお馴染みの池田健三郎氏から日本経済の課題と展望についてお聞きしました》と記していた。松田氏だけではなく、神谷氏も矢島氏と深い関係を有していることがわかる。ブログには、神谷氏と鈴木氏の写真も添付されていた。
さらに、その関係の深さを裏付けるのが龍馬プロジェクトの「案内」資料。矢島氏が顔写真入りで《龍馬プロジェクトのような青年の集団があることを大変心強く感じる》《その中から次世代の日本のリーダーが生まれてくるように、我々も応援・協力します》と応援メッセージを寄せていた。
神谷氏、松田氏と並んで参政党の創設メンバーであるYouTuberのKAZUYA氏のメッセージもある。
矢島氏がこれまで政界フィクサーとして活動してきた背景には、自民党から野党にまで広く張り巡らした人脈があった。参政党の躍進でそれがさらに拡大したとみることもできる。
矢島氏の大樹総研は、菅氏や二階氏まで自在に操り、フィクサーとして名を挙げた人物だ。前出の大樹総研元幹部は、「カネになるものなら何でも使うのが矢島さんの手法。参政党が使えるとなれば、当然動くでしょう」と懸念を示す。
参政党の正体について様々な報道が出始めているが、大樹総研とのつながりを見落とすことはできない。要警戒ということだ。














