鹿児島県指宿市・暴行被害の女性教師を襲う“二次被害”|学校長が「示談」示唆

 性犯罪の被害者が、誹謗中傷されて受ける“二次被害”。元TBS記者に性被害を受けた女性ジャーナリスト・伊藤詩織さんのケースがそうだったように、同様の事件が起きるたび、傷ついた女性に責任があるかのような歪んだ言説が飛び交う現状がある。

 鹿児島県指宿市では、上司にあたる男性教員にわいせつ行為をされそうになりながら必至に逃げ出し、心と身体に傷を負った女性教師に「女の先生が男の先生をハメた」などという根拠のない噂が追い打ちをかけている。

 そうした中、女性教師が勤務する小学校の校長が、被害にあった女性教師の加害男性に対する厳しい姿勢を咎めた上で、“示談”を勧めるかのような発言を行っていたことが分かった。
以下、加害者を庇っているとしか思えない校長と、ハンターの記者との一問一答である。

――9月の起きた暴行事件のことに関してお尋ねしたい。
校長:暴行事件……?

――ご存じですよね、勿論。
校長:それについては、今警察の方で……。

――わかっております。書類送検されたところまでは把握しております。実はこの件で校長先生が、被害者の先生に対して、加害者の●●先生を「追い込みたいのか!」というふうに問い詰められたという話があります。事実ですか?
校長:うーん……、ちょっと覚えていない。

――記憶にない?
校長:ちょっと覚えてないですね。

―中略―

――校長先生は、被害者の先生に示談を持ち掛けられてます。示談する気はないかと聞かれましたよね。
校長:まぁ、聞きました、はい。

――あなた弁護士ですか?
校長:いや。

――違いますよね。なんで校長先生が、被害女性に対して示談を持ち掛けるんですか。
校長:……示談を持ち掛けた訳じゃなくて、そういう気はないかって――。

――示談する気はないかって持ち掛けられてるじゃないですか。
校長:うん、まぁ、聞きました。

――弁護士法に違反しませんか。
校長:あっ、そうなんですか。

――勉強されたがいいですよ。なんで加害者を庇うようなことばっかりされてるんですか、あなた。
校長:いや、庇ったわけじゃないです。

――『(加害者の)●●先生を追い込みたいのか』って聞いたってことは、庇ってるってことでしょ。追い込んじゃいけないんですか、加害者を。
校長:いや、追い込みたいかと聞いた覚えはないです。

――本当にそうですか。
校長:はい。

――示談を持ち掛けられたのは事実ですね。
校長:示談っていうか、まあ、あの彼女が、もう、あのー、なんですっけ、まあ、まあ、ちょっと言えないこともありますけれども。

――あなたはさっき、警察がどうのと仰ったでしょ。
校長:はい。

――じゃあ警察に任せりゃいいじゃないですか。あなたが示談について話す必要はない。
校長:まあ、そうですね。

――なんであなたが示談を持ち掛けるんですか。
校長:いや、そういう話をあのー、加害者の方から聞いてたんで、そういう気はないかという質問をしただけで、持ち掛けた訳じゃないです。

――加害者から聞いた?
校長:はい。

――それは、加害者の●●先生から聞いたということ?
校長:ですね。彼が反省してるんで、あのー、まあ、あのー反省文とかそういったのを届けたいっていうのは聞いたんですけど。

――反省するのは当たり前でしょ。
校長:まあ、ですね。

――人を監禁して、暴力振るった訳ですから。
校長:うーん。

――強姦しようとしたんでしょ。
校長:どこからが強姦して、暴力なのかどうか、ちょっと私には判断できないんですけど。

――判断できないって、あなたと教頭の前で、(加害者の)●●さんが、それを認めてるじゃないですか。
校長:監禁してですか?

――あなた、とぼけたら駄目ですよ。教育者ともあろうものが。
校長:いえいえいえ。

――だってあなたと教頭の目の前で話されたでしょ。
校長:監禁という話は……。

――鍵を閉めて、とじ込めたんでしょ。それは監禁というんじゃないですか、社会一般では。
校長:はあ。

――なんであなた達は、加害者を庇ってるんですか。
校長:庇っては、いないです。

――じゃあ、なんで示談の話をされるんですか。
校長:示談というか、あのー彼女にとっても……。

――どうして示談という言葉がでるのかと聞いているんですよ、校長先生。
校長:いや、彼女にとってもいろいろと、あのー、不都合なことが出てきてるんで。

――何が不都合なんですか、はっきり言ってください。何が不都合なの。彼女が悪いんですか?
校長:いや、悪くないですよ。

――どこに不都合なところがあります。はっきりおっしゃって下さい。ご本人に、そのまま伝えますよ。不都合なんですね!
校長:不都合というか……。

――あなた今、不都合なところが出てきてるって、おっしゃったじゃないですか。
校長:それは記事に書いてあったようなことじゃないですか。

――何ですか、不都合って。彼女にとって不都合なことってなんですか。被害者にとって不都合なことって何ですか。
校長:いや。

――教えてください。
校長:……

――あなた、言動注意された方がいいですよ。被害者に対して二次被害を与えていますよ。もう一度聞きます。不都合な点って何ですか?
校長:……。

――答えられない?
校長:いや、その、いまおっしゃった二次被害っていうことは、どういうことですっけ。

――いやいや、あなた達がこうして加害者を庇うと、被害者ご本人はもっと傷つくことになるということですよ。
校長:いや、庇ってないって。

――では、なんで示談っておっしゃったんですか?なんで「(加害者の)●●先生を追い込みたいのか!」なんてことを言ったんですか?
校長:そこはちょっとわからないですね。

――都合の悪いことはわからない。
校長:言った覚えはない。

――ああそうですか。それはまたどっかの政治家みたいですね。
校長:いやいやいや。

――示談の話をされたのは事実ということでよろしいですね。
校長:まあ、その気はないのかっていう話はしました。

――わかりました。それだけ聞ければ結構です。どうもありがとうございました。

 「示談」の話を持ち出したことを認めた校長は、自分の言動が被害者女性をさらに傷つけていることに気付いていないのだろうか。さらには、「彼女にとってもいろいろと不都合なことが出てきてる」という信じられない言葉――。背景にあるのは、鹿児島県教育界の身内に甘い腐った体質だ。

 加害者である男性教師が狙っていたのは、どう考えても力ずくの「性行為」。実はそれを証明する記録が、しっかりと残されていた。(以下、次稿)

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