住みたい田舎ランキング1位の大分2市。気になるその実態は?

出版社が実施したアンケートにより、住みたい田舎移住先ランキングが発表された。一部報道では、「大分県の2市が4部門を独占」とあったが、実際の移住者数は報道されていない。果たしてその2市の実力はいかほどのものか――。実態について調べてみた。

 

2020年版住みたい田舎ベストランキング

移住生活を紹介する宝島社の「田舎暮らしの本」2月号で「2020年版住みたい田舎ベストランキング」が発表された。
人口10万人未満の自治体が対象となった「小さなまち」カテゴリーで大分県豊後高田市(総人口22,623人 19年12月末)が「総合」「子育て世代」部門で、同県臼杵市(総人口37,407人 18年4月末)が「若者世代」「シニア世代」部門で1位となり、大分勢がトップを独占した。両市とも手厚い子育て支援や住居支援などが評価された。

豊後高田市は2年連続で総合1位を獲得し、8年連続でベスト3入りしているランキング常連。臼杵市は若者世代で3年連続、シニアでは2年連続のトップの座に就いている。ランキングは、200を超える項目について市町村へのアンケートを実施し、魅力を数値化して発表したもの。自治体の努力が評価されたものであり、一般読者からの声ではない。

 

大分県の豊後高田市と臼杵市がランクイン?

では、2市の実力はどれほどのものか。移住者の数を調べてみた。ここでの移住者とは、単なる転入者ではなく、市の移住支援に関わった人の数を示す。

豊後高田市が移住支援を本格的に開始したのが2011年だという。移住者数を見る限り、翌年から効果が現れ始め、その後もコンスタントに300人前後の移住が進んでいる。

豊後高田市によると、移住世帯の世帯主は30代から40代が多く、子育て支援が充実していることを移住に踏み切ったポイントに挙げている。中学までの給食費無料、高校までの医療費無償化のほか、空き家バンクへの登録件数が他の自治体よりも多いことが選択の幅を広げている。

移住者の出身地は、大分県内、他の九州各県、関東と続く。同市は「空き家バンクなど移住支援に早期から取り組んだ結果が表れてきている。
ただ総人口は毎年(150から200)減少しているので、引き続き移住支援を継続していきたい」としている。過去5年を振り返ってみても1,000人を超える移住者を惹きつけている。

では、臼杵市はどうか。臼杵市が移住支援に力を入れ始めたのは2015年。移住者数を集計したのは同年からで、平均すれば毎年200人を超える移住が実現している。2019年度も、前年度並みの数字になるとのことから、こちらも豊後高田市同様5年で1,000人ほどが移住していることになる。

臼杵市によると、移住世帯の7割が40代以下の子育て世代。妊娠期から18歳までワンストップで相談できる子育て総合支援センターを配置。医療費は中学生まで入院費は無償。通院では一回の受診で最大500円まで(月に4回まで)としている。

 

大分市からの移住が最も多く、関東地方の都市部からも移住が進む。一方で、総人口は毎年500人ほど減少しており、過疎化は確実に進んでいる。
今回発表のランキングについて、臼杵市は「取り組み始めて5年で支援を充実させてきた結果。海も山もある自然環境、大分市と隣接しており、駅も5つあるなど立地でも恵まれている。今後は市内人口が流出しないような魅力ある街にしていきたい」と話している。

 

両市とも支援策を講じていなければ、その数字以上に人口は減少していることは間違いないことから、居住支援は功を奏していると言っていいだろう。加えて、それでも人口減が避けられない地方の現状が垣間見える。

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