福岡市・入札総合評価改定に漂う不透明感

1億円以上の公共工事の入札で採用されている「総合評価方式」の見直しを進めていた福岡市が、同方式の対象拡大や入札参加者への負担軽減などを柱とする新たな方針を決定。業界関係者への説明を経て、ホームページ上などで「福岡市総合評価方式実施ガイドライン」を公表した。
建設業者にとっては、会社の浮沈に関わる重要な制度改正なのだが、福岡市への情報公開請求で、見直しの過程が極めて不透明であることが明らかとなった。

 

■総合評価改正の「委員」を黒塗り非開示

新たな総合評価方式を検証してみると、今回の改正はむしろ「改悪」。特定業者への便宜供与を疑わせる内容が含まれている。詳細は次の特集記事で配信していくが、制度の見直し過程自体が、「総合評価はブラックボックス」(業界関係者)という批判の声を裏付けるような不透明極まりないものだった。

福岡市が開示した資料によれば、総合評価の見直しに関する会議は計4回。市は、有識者を委員に組織された「福岡市総合評価技術審査委員会」が今年1月と5月にそれぞれ1回ずつ、市の職員だけで構成される「福岡市総合評価委員会」も2月と5月に1回ずつ会議を開き、委員らの意見を聞いた上で6月に次の4項目を柱とする方針を決定していた。

改正内容の問題点は次稿で詳述するが、その前に問われるべきは総合評価を見直す過程の透明性。一体誰が、どのような議論を経て、疑惑を持たれるような内容の改正にお墨付きを与えたかだ。

そこで、市が開示した「福岡市総合評価技術審査委員会」と「福岡市総合評価委員会」の議事録を確認したところ、肝心の情報はみごとに隠蔽されていた。

いずれの委員会も、委員名は黒塗り非開示。一部開示決定通知に記されていた“理由”は、「委員名を公表すると、不正な働きかけを受けるリスクが高まる」というものだった(下、参照)。

■隠蔽の裏には……

しかし、PFI事業者の選定などでは、選定・選考にあたる委員の氏名や所属は事前に公表されるのが普通。委員が業者から働きかけを受ける“事件”が起きたという話など、聞いたことがない。

そもそも、総合評価で決める入札の件数が多いからといって、わざわざ会社を潰すことにつながる違法行為に走る業者が出てくるとは思えない。総合評価に関する委員会のメンバーを非公表にしているのは、別の理由があるからではないのか――。そうした疑念を持たれてもおかしくない隠蔽だろう。

ちなみに、隠蔽に力を入れ過ぎたせいか、市は本来公表すべきものまで不必要な黒塗りを行っている。総合評価を担当する二つの委員会の委員の情報が非開示になっているのは述べてきた通りだが、一方で事務局を務めている市職員の役職と氏名は明記されているのだ。これでは、市の職員だけで構成されているという「福岡市総合評価委員会」の委員まで非開示にする意味がない。

「働きかけを受ける」可能性があるのは、担当部局の職員も同じ。むしろ業者との接触機会が多いのは、入札や工事を直接担当する職員らだろう。彼らの氏名を公表しておいて、同じ市の職員で構成される「福岡市総合評価委員会」のメンバーを隠すというのでは辻褄が合うまい。

これまで福岡市は、外部の有識者を構成員に加えて立ち上げた組織が市政の課題について検証、検討を行う際には、委員の氏名や職業を公表してきた。こども病院の移転問題が議論された「こども病院移転計画調査委員会」や「屋台との共生のあり方研究会」などは、委員の顔ぶれを公表するだけでなく会議自体がオープン。高島宗一郎市長の就任後は、市の重要課題を密室で決めることが少なくなっていた。前述したように、PFI事業者の選定も同じ。選定委員を隠したケースは1件もない。

なぜ総合評価の見直し作業の過程だけ、隠そうとするのか――?疑問への答えは、特定業者に対する便宜供与を疑わせる総合評価の改正内容にあった。

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