永原大任町長と請負業者の深い縁 — 田川広域水道企業団・新浄水場建設工事に不正の臭い(3)

福岡県田川市、川崎町、糸田町、福智町の1市3町で構成する一部事務組合「田川広域水道企業団」が、約150億円をかけて田川市内で整備を進める新浄水場=白鳥浄水場(仮称)の建設工事にいくつもの疑惑が浮上した。付帯工事を除く新浄水場整備事業の契約は、大きく分けて「土木・建築」、「機械設備」、「電気設備」の3件。怪しい一者応札でそれぞれの工事を受注したのは、企業団と何の関係もないはずの永原譲二大任町長と縁の深い業者だった。

【参照記事】
【速報】事業費150億円・福岡県田川市の新浄水場建設工事に重大疑惑|ちらつく永原大任町長の影
『隠蔽』— 田川広域水道企業団・新浄水場建設工事に不正の臭い
「入札参加資格」への疑念 — 田川広域水道企業団・新浄水場建設工事に不正の臭い(2)

■一者応札で100%近い落札率

まず、企業団への情報公開請求で入手した資料で調べた、それぞれの工事名と受注業者、契約金額、落札率を次に示す。

いずれの工事も、一般的に談合の結果とみられる「95%」を超える高い落札率。一者応札のせいで、余分な公費支出があったとみるべきだろう。問題は、受注した業者のほとんどに、永原譲二大任町長との関係があるということだ。

■出来過ぎた構図

土木・建築工事を受注した「飛島建設」は、1億円トイレで知られる大任町の道の駅「おおとう桜街道」を受注したことで知られるゼネコン(*下の画像参照)。かつて永原町長は同社の株を大量に保有していたと言われており、「飛島と町長は極めて近い」「道の駅整備と株主だった時の縁が続いている」などと両者の関係を語る町の関係者は少なくない。

 機械工事を受注した「水道機工」は、飛島建設以上に永原氏との密度の濃い付き合いがある。

田川郡内の8市町村で構成する「田川郡東部環境衛生施設組合」(組合長:永原譲二大任町長)が整備を進めるごみ処理3施設(「大任町ごみ処理施設」「汚泥再生処理センター(田川地区クリーンセンター)」「大任町一般廃棄物最終処分場浸出水処理施設」)の建設工事を巡って、村上卓哉田川市長が永原氏を強要未遂で訴えるという事件に発展したことは周知の通り。実は、そのごみ処理3施設のうち、汚泥再生処理センターと最終処分場浸出水処理施設の2件を請負っているのが水道機工なのだ。

ごみ処理3施設の工事費水増しやピンハネが噂される中、永原氏は、3施設に関する積算書類や施工体系図といった工事の実態を示す公文書の情報公開を頑なに拒んできた。水道機工は、前述2件の工事に関するすべての情報を握っているとみられており、それだけに関係の深さは計り知れない。同社が、ごみ処理施設を巡る疑惑の中心にいると断言する関係者もいる。

「電気設備」を受注した共同企業体(JV)の片方は、田川市に本社を置く「リクデン」。同社の筆頭株主は田川市議会の陸田孝則議長で、昨年春の議長就任以来、極端に永原氏寄りの議会運営を続けてきた人物である。12月の市議会では、陸田氏の恣意的な議会運営が問題となり、議長不信任決議が可決されている。

新浄水場整備のために田川広域水道企業団が買収し、ハンターの開示請求で隠蔽を図ろうとした土地の中に、永原町長の娘婿が代表を務めるファミリー企業「有限会社 譲」が所有していた物件が含まれていたことは報じてきた通り(既報)。別稿で詳述するが、新浄水場の建設工事には、譲の他にも永原氏のファミリー企業である別のもう1社が関わっている。

建設用地の買収段階から実際の工事まで、登場するのは永原氏と関係の深い会社ばかり。出来過ぎた構図であることに疑念を抱く関係者は少なくあるまい。「裏金10億」――ハンターには、工事で動いた裏金の額まで指摘する告発メールが寄せられている。

(以下、次稿)

 

 

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