やっぱりあった積算書類|破綻した永原大任町長の主張|ごみ処理施設開示請求で新たな展開

 福岡県田川市と大任町の不正や違法行為を追及し始めて2年半。明確になったのは、疑惑が持たれるすべての事業に、指定暴力団「太州会」の企業舎弟から筑豊の独裁者にのし上がった永原譲二大任町長とその周辺の取り巻きたちが絡むということだ。その永原氏が頑なに情報開示を拒否してきたのが、入札結果表をはじめとする「公共工事」に関する資料。“意のままに動く業者やファミリー企業を使って、工事費の一部を吸い上げているのではないか”との噂が真実味を帯びる状況だ。

 数ある疑惑の中で、永原氏にとって命取りになりそうなのは、田川郡内の8市町村で構成する「田川郡東部環境衛生施設組合」(組合長:永原譲二大任町長)が整備を進めるごみ処理3施設(「大任町ごみ処理施設」「汚泥再生処理センター(田川地区クリーンセンター)」「大任町一般廃棄物最終処分場浸出水処理施設」)の建設工事を巡る問題。永原氏は、ごみ処理3施設建設工事の事務管理を委任された大任町の町長と環境衛生施設組合長の立場を利用し、屁理屈を並べては事業費の詳細を示す積算書や施工体系図の隠蔽を図ってきた。

 「積算書なんてどこ探してもない」――そううそぶいてきた永原氏だったが、ここに来て積算書と同じ内容の文書が存在することが明らかとなった。

■突破口は会計検査院の公表資料

 突破口となったのは、会計検査院が公表した「2021年度決算検査報告」。会計検査院は、《循環型社会形成推進交付金事業において、交付対象事業費に対象とならない建築物等の整備に要した費用を含めていたり、現場管理費等の算定が適切でなかったため交付金が過大に交付されていたりしていたもの》として4県の4ケースを明示。その中で、大任町が「田川地区クリーンセンター」の建設に絡み、国の交付金3,600万円を不当に請求していたことを指摘していた。下が、検査報告の該当記述だ。

 大任町は、循環型社会形成推進交付金事業として有機性廃棄物リサイクル推進施設を整備するため、田川郡大任町大字大行事地内において、汚泥等の資源化に必要な設備等に係る処理棟の建屋を建設するなどの工事を事業費9,017,010,685円(交付対象事業費7,098,475,000円、交付金交付額2,341,173,000円)で実施していた。

 同町は、処理棟建屋工事費(直接工事費)865,801,000円について、建屋内に交付金の交付の対象となる特定の設備のための部分と対象とならない受入設備等のための部分とが混在していることから、建屋の全床面積(8,169.8m²)に占める、交付の対象となる特定の設備のための建築物の床面積の割合(以下「交付対象割合」という。)を処理棟建屋工事費に乗ずるなどして交付対象事業費を算定することとしていた。そして、同町は、交付の対象となる特定の設備のための建築物の床面積を5,106.5m²と算出し、交付対象割合を62.5%として、交付対象事業費を541,127,000円と算定していた。

 しかし、同町は、交付対象割合の算出に当たり、交付の対象となる特定の設備のための建築物の床面積に、誤って、交付の対象とならない受入設備等である計量装置等を設置するための建築物に係る床面積の一部である1,347.8m²を含めていた。そして、同町が交付の対象となる特定の設備のための建築物の床面積としていた5,106.5m²から上記の1,347.8m²を除いて適切に交付対象割合を算出すると46.0%となる。

 したがって、前記の処理棟建屋工事費に交付対象割合46.0%を乗ずるなどして適切な交付対象事業費を算定すると6,915,512,000円となることから、本件交付対象事業費7,098,475,000円は、これに比べて182,963,000円過大となっており、これに係る交付金相当額36,003,000円が過大に交付されていた。

 会計検査院の指摘を受けた大任町は、22年に補正予算を組んで不当請求分の3,600万円を返還していた。ハンターが注目したのは、会計検査院が公表した決算報告の中にあった下の図、「交付対象事業の構成」が記されている。

 つまり会計検査院は、この図にある工事費の細かい内訳を精査し、過大請求を確認したというわけだ。すると大任町は、交付金事業であるごみ処理3施設の工事すべてにおいて、同様の資料を保有していることになる。そこでハンターは10月11日、同町に対し以下の情報公開請求を行った。

① 汚泥再生処理センター、ごみ処理施設、最終処分場のそれぞれの建設工事に関する直接工事費(材料費、労務費、直接経費)、間接工事費(共通仮設費、現場管理費)事務費、付帯工事費、一般管理費の詳細が分かる文書。

② 汚泥再生処理センター、ごみ処理施設、最終処分場のそれぞれの建設工事に関する見積書及びコンサルが提出した成果物。

 ②については、永原町長が公式の場で、事業費を決めるまでの過程で「ネゴをかけた」と明言してきたからだ。この場合の“ネゴ”とは価格交渉を意味しており、業者が提出した見積書やコンサル提出の成果物が存在するものとして請求をかけた。当然ながら業者の見積書には、見積額の根拠=積算書類が添付されていなければならない。

 ハンターの開示請求に対し大任町は、①と②の開示決定を1カ月延長、11月25日付で①については開示、②については部分開示と結論付けた。しかし今月4日、役場に出向いて文書を確認したところ、①では求めてもいない国への事業報告書が数枚、②については、肝心の積算根拠を省き見積金額が記されたペラ紙の写しを出してきた。事実上の非開示。強く抗議したのは言うまでもない。

 町側は開示対象となる文書の見直しを示唆。その後、対象文書の存在を認めて情報公開をやり直す姿勢を示したが、20以上日経っても文書開示は行われていない。

 25日、大任町役場の総務企画財政課に確認を求めたところ、「対象文書(建設工事に関する直接工事費《材料費、労務費、直接経費》、間接工事費《共通仮設費、現場管理費》事務費、付帯工事費、一般管理費を指す)を精査しており、開示・非開示の決定に時間がかかる。見積書についても精査中」とコメント。記者の“文書が大量ということで時間がかかるのか?”という問いには、「(担当者から)そう聞いている」と答えている。

 ごみ処理3施設の「積算書」というタイトルの文書があるのかどうか判然としないが、工事費の詳細を記した文書は確かに存在する。大任町は、ハンターにだけでなく、ごみ処理3施設の事業主体である「田川郡東部環境衛生施設組合」を構成するすべての自治体と住民に、工事の詳細を知らせるべきだろう。開示を拒む理由が「不正の隠蔽」にあるとすれば、できないだろうが……。

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