「万博」の失政と維新の無責任政治|膨れ上がった事業費は1.8倍の2300億円

 2025年4月に開幕予定の大阪・関西万博。当初、1,250億円と算定されていた建設費は、設計変更などで2020年に1,850億円に増加。先月になってまた大幅に増え、当初予算の1.8倍となる2,300億円に上振れすることが確実となった。万博の費用は、国、大阪府と大阪市、経済界で“3等分”される。大阪府民、大阪市民は、他自治体の住民以上に負担を背負うことになる。

 松野博一官房長官や西村康稔経産相が建設費の上振れを認めているにもかかわら、大阪府の吉村洋文知事は「上振れしないように、精査していく」と逃げの一手。都合の悪い話になると話をすり替えたり、怒ったりしてゴマかすのが維新の会の流儀だが、さっそく吉村氏が実践している。

 ◇   ◇   ◇

 会見で「上振れしないように、知事がハッキリおっしゃったこともあった」と質問されると「上振れしないと断言しました?」と逆ギレした吉村知事。しかし、2020年12月に1,850億円への増加が決まった時には、確かに「何度も増加するとなると、府民市民もどうなのという話になる。これが増加の話としては最後」と断言していた。

 維新のキャッチコピーは「身を切る改革」。しかし、万博の建設費増加は明らかに「身を切る改革」と相反するものである。だが、維新の会は「恥」という言葉を知らないらしい。吉村知事の意を受けた維新の会の府議団は、9月26日に開かれた大阪府議会の本会議で、「増額部分は国の責任。負担を強く求めていくことを要望する」と訴えたのだ。

 しかし吉村知事は、万博の主体である「日本国際博覧会協会」の副会長。いわば国側の役員という立場でもある。“3等分”は決まっていたことであり、増加した分は国の責任で払えというのはあまりに身勝手な主張だ。維新の創設者である松井一郎元代表は9月の講演会で、「万博の予算、2,300億円というが、経済効果は2兆円」とまるで他人事。関係者からは、無責任な姿勢に呆れる声が相次いだ。経済効果2兆円はあくまで試算、万博を取り巻く厳しい状況から考えても、あてにできる数字ではない。

 JNN(TBS系列)の10月の世論調査では「万博に関心があるか?」という質問に対する答えは、次のようなものだった。

・「大いに関心がある」  10%
・「ある程度関心がある」 28%
・「あまり関心がない」  37%
・「全く関心がない」   25%

 「あまり関心がない」「全く関心がない」を合計すると62%、半数以上は興味がないというのが実情のようだ。

 また、万博の予算増加については――

・「納得できない」 64%
・「納得できる」  23%

 数字が示す通り、税金の負担が増えることへの拒否反応は強い。こうした状況では、松井氏の語る「2兆円」については懐疑的にならざるを得ない。こうした事態に、ある大阪府幹部は「吉村知事は『マスコミから集中砲火だ』などとご機嫌がよろしくありません」と打ち明ける。

 困った知事が便乗したのが、18年ぶりにリーグ優勝を飾った阪神タイガースとオリックス・バファローズの優勝という、関西にとっての朗報。そこで吉村氏は、“優勝パレード”を持ち出した。阪神が先に優勝を決め、その後オリックスも優勝を決めたのだが、「万博の2,300億円でマスコミに批判ばかりされている。そこで、阪神とオリックスの優勝パレードを打ち出せば、お祝いムードで批判も緩和されるのではないかというアイデアでした」(前出の大阪府幹部)

 9月22日、吉村知事は維新が支援して初当選した兵庫県の斎藤元彦知事と関西経済連合会の松本正義会長を横に記者会見。《兵庫・大阪連携「阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード」~2025年大阪・関西万博500日前!~》と名付けたパレードの開催を発表した。

 会見場には万博の旗が掲げられ、マスコットキャラクター「ミャクミャク」の着ぐるみがポーズを決める。吉村知事は、「大阪・関西万博を盛り上げる意味のパレード」と胸を張った。しかし、野球と万博とはダイレクトな関係にない。頓珍漢な内容であるのは一目瞭然だ。「パレードの前倒し発表で2,300億円のニュースは一瞬消えたがすぐに逆戻り。策を弄したわりに、野球ファンからのバッシングが凄まじく、逆効果でした」(前出の大阪府幹部)

 自分たちの面目だけを優先して都合の悪い話から逃げる一方、ごまかしの材料にうってつけと見るや、何でもかんでも利用するというのが維新政治。勢いだけで各級議員の数を増やしてきたが、国民は、この政党の危うさに気付くべきだ。

 

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