【2025参院選】国民民主、日本維新の現状

4月23日、6月の東京都都議選と7月とみられる参議院選挙でさらに議席増が見込まれる国民民主党が、NHKアナウンサーだった牛田茉友氏を参院東京選挙区に擁立することを表明した。

NHK在籍中は「日曜討論」のキャスターを務め、知名度抜群の牛田氏。同氏は、「政治家になりたいと思っていたのではない。ただ、番組などを担当していて日本の様々な制度を変えられたらいいなと感じていた。4月13日に国民民主党から打診があり、大変迷ったが翌日に決断をし、18日にNHKを退局となりました」と出馬の経緯、動機などを話している。

参院選に向け候補者擁立を急ぐ各党。勢いに乗る国民民主党と党勢回復の見込みもない日本維新の会の現状について、関係者に取材した。

■国民民主に相次ぐ不倫スキャンダル

定数6プラス補選分1の7議席を巡って早くも牛田氏にはトップ当選の呼び声が高い。同氏を擁立した国民民主は、直近の世論調査でも支持を伸ばしている。

4月15・16日に行われた朝日新聞の調査による政党支持率は、自民党23%、国民民主党12%、立憲民主党7%、維新:3%。同時期のフジ・産経グループによる調査では、自民22.9%、国民民主11.4%、立憲民主党7.4%、維新2.8%という結果になっており、世論調査では、国民民主党が「野党第一党」だ。

勢いに乗る国民民主は、泉房穂氏の出馬で注目の兵庫選挙区に元官僚の多田ひとみ氏をあてる他、比例代表の候補として須藤元気元参院議員を検討するなど急ピッチで選考作業を進めている。同党のある国会議員はこう話す。

「東京都議選でも牛田氏と同様に、人気キャスターなど知名度ある候補者の出馬が決まっている。都議選は2021年の前回はゼロだったが、今回は15以上とれそうな見込み。参議院選挙では前回議席ゼロだったが、比例票で1,000万票、10議席はいけそうな手ごたえだ」

急上昇の国民民主党だが、スキャンダルも事欠かない。同党の平岩征樹衆議院議員が、既婚者であるにもかかわらず偽名を使って女性と不倫していたことが、週刊現代の独自記事で判明。平岩氏は無期限の党員資格停止処分になった。

4月19日のJR大阪駅前、その平岩氏が街頭に立つ姿がみられていた。横で演説していたのは玉木雄一郎代表。平岩氏は満面の笑みで玉木氏を出迎えていたが、直後にスキャンダルに見舞われる。

平岩氏は近畿比例で当選したばかりの1年生議員。週刊現代の記事によれば、平岩氏は名前だけではなく「関西国際空港勤務」「独身」などと身分まで偽っていた。

「国民民主党の名が売れると、こういうスキャンダルは増えてくるよね。そのたびに、昨年11月に報じられた玉木さんの不倫が蒸し返され微妙に票が減ってしまう。なんとか、調子のいい間に選挙をやってほしいものです」(前出の国民民主党議員)

そんな国民民主党の動向は、自民党も気になるところ。少数与党の石破政権にとっては、国会で動くにも、国民民主もしくは新年度予算案に賛成した日本維新の会の協力が必要不可欠なのだ。自民党の中堅幹部が次のように話す。

「今、衆議院では維新の方が国民民主より議席数が上。だが、夏の参議院選挙をやれば、参議院だけでは国民民主が上に行くでしょう。少数与党である以上、野党の細かな議席まで注視しなきゃいけない。困ったもんだ」

■議席減必至の維新

参院選を経て議席を減らしそうなのが維新。世論調査の数字を見ても明らかだ。そうした時に新たなニュースが飛び込んできた。

昨年11月の兵庫県知事選に無所属で出馬して落選した清水貴之前参議院議員が、維新公認で出馬予定だった兵庫選挙区から撤退したというのだ。維新の関係者が重い口を開く。

「清水さんが無所属で知事選に出た時から党内がゴタついていた。無所属でも実態は維新なのに、一部が斎藤元彦知事を支援したからです。清水さんの参議院選挙への出馬は既定路線だったが、党への信頼が取り戻せなかった。一時は、国民民主党からの出馬も噂されていたが、結局国民民主党が女性候補を擁立すると決めたため、清水氏の出番がなくなった。兵庫選挙区は泉氏の出馬で混とんとしており、勝ち目がないと考えて出馬辞退を決断したようです。維新はこれから新たな候補者を探すことになりますが、低迷するうちから出たいと名乗りを上げる人はそういないでしょう」

2021年の参議院選挙で維新は選挙区4、比例代表で8の12議席を獲得した。国民民主党は選挙区2、比例代表3の5議席。この構図がそっくり逆転しそうな実情だ。この点について別の自民党議員は、現状を交え次のように予想する。

「維新は3議席か4議席しかとれないという調査結果がある。国民民主は逆に20議席近くをとり、立憲民主党よりも上をいくという数字さえあるほど。一方の我が党は前回、選挙区と比例代表を合わせて63議席だったが、20近く減るとも党内で囁かれている。参議院は解散がなく6年間議席はそのまま。選挙後、与党は維新を切り捨て、国民民主を取り込む形の政権運営を行う可能性がある。立憲民主党の動向いかんでは大連立も視野に入ってくる。つまり、事実上の政権交代。維新が万博の失態でさらなる支持率低下を招けば、国民民主がその分の票をかっさらうかもしれない。まあ、一寸先は闇ですがね」

前回の総選挙直後のように、国民民主党が再びキャスティングボードを握る日が来るのか?

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