自民党パーティー券キックバック問題を受け囁かれる「岸田後継」

岸田文雄政権と自民党を直撃した派閥のパーティー券キックバック問題を受け、永田町では「年内に内閣総辞職」といった声まで上がりはじめた。キックバックを受けながら政治資金収支報告書に記載していなかった閣僚、党役員の名前が次々に判明する事態となっており、それを容認していた派閥の領袖、事務総長の監督責任が問われている。

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後手に回ってしまったが、岸田文雄首相がようやく岸田派の会長を退任することを決めた。次期会長は「空席」とすることとし、防御体制を築く構えだ。

「安倍派が狙われているのは、キックバック分を政治資金収支報告書に記載していなかったからだ。岸田派や茂木派は事務方がおりこうさんで、きちんと記載していた。不記載の分も安倍派ほど高額になっていない。ただ、岸田派や他の派閥でもそうだと思うが、パー券を振り込みではなく現金のやり取りで売った分が裏金になっているケースもある。安倍派だけ傷が深いのは、やり方があまりに派手で、億単位のごまかしとなっていたことだ」と話すのは自民党の大臣経験者。「内閣総辞職やキックバック議員の排除だけで収まるとは思えない」と肩を落とす。

岸田政権の支持率は、今年秋から急落を続けてきた。12月2日と3日にJNN(TBS系列)が実施した世論調査では、岸田内閣を支持すると答えた人は28.9%、不支持は68%に上っている。

派閥のパーティー券キックバック問題については、9割の人が「問題あり」と回答しており、国民の目が非常に厳しくなっていることが分かる。

一部には内閣の要である松野博一官房長官の更迭で十分との声もあったが、ごく少数。それどころか問題を抱える安倍派5人衆全員が政権中枢から追放されることが確実となっている。しかし、岸田首相の首も危ないとみる関係者がいるのは確かだ。

「岸田首相も2年以上やったから十分だろう。来年2月には、かつて宏池会(現在の岸田派)を率いた鈴木善幸元首相の在任期間を上回る。そのあたり辞任するという“花道論”を唱える幹部もいる。ギリギリ2月まではやらせるから、さっさと辞任しろという岸田おろしの声は確実に増えている」(茂木派の国会議員)

だが、岸田首相の後継となると、これまた大きな難問だ。安倍派は会長がおらず、5人衆全員がキックバック問題で危うい状況。また、安倍派で高額のキックバックを受けていた衆参の国会議員は立件される可能性が濃厚とも伝えられ、安倍派の衆議院議員がこう嘆く。
「うちの派閥はしばらく休憩だ。総理・総裁候補を出せるような状況ではない。派閥分裂を防ぐので必死だ」

派閥の領袖も監督責任を問われる事態になれば、後継候補の一番手といわれていた茂木派の茂木敏充幹事長も難しくなる。そうなると、無派閥で2021年の総裁選で、岸田首相と争い2位に躍進した高市早苗経済安全保障担当相の名前が浮上する。11月に自らが主催する勉強会を立ち上げた高市氏は、閣僚でありながら「岸田首相にケンカを売っている」(党内の評価)と不評だったが、一躍、注目される存在になっている。

永田町の関係者が「自民党の救世主になれる可能性がある」とみているのが、世論調査でも支持が高い石破茂元幹事長だ。「岸田首相がこれだけ支持率が低いと、国民的人気があって清潔さをアピールできる人物がいい。石破さんは派閥に属していないので無傷。極右の安倍路線できた高市では国民の支持は得られない」と同氏を推す議員は少なくない。

一方、総裁選となれば当然、モノを言うのは議員の数。キックバック問題に大きく関与がない派閥が主導する政権ということで候補になるのが、鈴木俊一財務相と上川陽子外相だ。鈴木氏は麻生派を率いる麻生太郎副総裁を義兄に持つことが最大の武器。父親の鈴木善幸氏も大平正芳元首相が急逝後に総理の座についた。

上川氏は、法相時代にオウム真理教の死刑確定囚に対して「指揮書」にサインしたことで知られる。岸田派所属ということが強いカードになるのか疑問だが、鈴木、上川両氏とも派閥所属ではあるものの事務総長のような要職にはなかったので、傷は浅いとみられている。

「小泉純一郎元総理のように、変人だが国民に圧倒的な支持を得るような候補がいれば岸田さんの後継はすぐ決まる。だが、高市さんや石破さんには、小泉さんほどの人気はない。総裁選は派閥の結束が勝負。今、岸田政権を支える安倍派、麻生派、茂木派がまとまっていれば、おそらく談合で決まるでしょう。その場合、麻生先生の意向を反映すれば鈴木さん、初の女性首相というフレッシュ感なら上川さんでしょう。岸田総理は岸田派から、という思いが強く上川さんなら文句はない。鈴木さんでも父親の善幸氏が宏池会だったのでそう不満はないでしょう。鈴木さんか上川さんなら、茂木幹事長も林さん(芳正・前外相)もまだ次の目が残りますから、丸く収まるという算段です」(麻生派の国会議員)

自民党は、キックバック問題で当面、派閥主催によるパーティーの中止を申し合わせた。12月に岸田首相は地元、広島でパーティー開催を予定していたが、急きょ中止。しかし、先週報じたように(既報)、二階派の事務総長を務める武田良太元総務相は、きょうのパーティーを決行するという。自民党に、国民の怒りの声は届いていないようだ。

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