浮上した消防利権疑惑|汚れた土着権力(3)
指定暴力団の企業舎弟からのし上がり、田川市・郡で強大な権力を欲しいままにしてきた永原譲二大任町長。現在は、田川市・郡8市町村のし尿処理やごみ処理を司る一部事務組合「田川地区広域環境衛生施設組合」で組合長を、福岡県田川地区消防組合では同じくトップの立場となる管理者を務める。
その広域環境衛生施設組合が管理運営するのが、し尿処理場「田川地区クリーンセンター」、ごみ処理施設「さくら環境センター」、「最終処分場」など400億円もの公費を投じて整備されてきたいわゆるごみ処理3施設。事業の裏に「利権」を巡る疑惑があることは何度も報じてきたが、いずれも工事が終わり稼動中。これで大きな利権はなくなったと考えていたが、見通しが甘かった。ここに来て、永原氏を軸に周辺業者が蠢く「消防利権疑惑」が浮上した。

■事業費20億円超、9億円建屋の落札率は99.88%
田川市川宮にある田川地区消防本部の横に、ひときわ目を引く建設中の大きな建屋がある(*下の画像)。

消防本部との境にある塀に掲示された看板を見ると、工事名は『田川地区・中間市消防指令センター新庁舎建設工事』。発注者は同組合管理者である『永原譲二』となっている。

確認したところ、建屋建設は消防指令業務の共同運用を実現するための事業の一環で、田川地区消防組合のホームページには《災害情報の一元化等による住民サービスの向上、大規模災害時の迅速な消防相互応援体制の確立化による災害対応力の強化、国の財政支援を活用した費用負担の大幅な縮減、指令員の効率的配置、専従化による専門的技術の向上及び現場要員の増員が図ることが期待できます》とある
地方における消防業務の一部を共同運用するよう勧めてきたのは国だが、さすがに永原氏は目ざとかったということだろう。2023年12月に同組合と中間市は、事業に関する基本協定書に調印。26年からの運用開始を目指し作業を進めてきていた。
調べたところ、福岡市に本社を置く溝江建設が落札した建屋工事の契約金額は税込みで8億9,760万円。永原氏の影がちらつく大型公共事業でよくあるケースだが、“1者応札”によるもの。落札率は約99.88%という常識外れの数字だった。

■土工事下請に“あの業者”
共同運用するために更新が必要な指令システムの整備費などを加えた総事業費は20億円を超えており、ごみ処理3施設に代わる利権の玉手箱と見ることも可能だ。工事現場に掲示が義務付けられた「施工体系図」(*下の画像)を見て、その見立ては間違っていないと確信した。

元請けである溝江建設の土工事下請けは「ユウセイ」1社。同社の代表者は、今年3月の大任町長選挙で永原陣営の運動員として「現金買収」に走って福岡県警に逮捕され、略式起訴により罰金50万円の処分を受けた人物だ。永原氏の実弟とは叔父、甥の関係。永原町長とユウセイの特別な関係については、以下の通り本サイトで何度も報じている。
⇒【速報】福岡県警、大任町長選挙の買収容疑で永原譲二町長の親族を逮捕|後援会事務所など家宅捜索
⇒大任町長選「買収事件」の背景|犯行男性の会社に40日間で4件約9000万円の町発注工事
⇒大任町が買収で有罪の町長派業者に指名停止前の駆け込み発注
⇒【速報】永原譲二大任町長、教育事業で中学生派遣のセブ島に選挙買収の業者を同行
選挙前後に行われた大任町からユウセイに対する工事の集中発注、昨年8月に大任町教育委員会が中学生を派遣したフィリピンセブ島への、ユウセイの代表者との同伴旅行――同社に対する永原氏の優遇ぶりは度を超えている。
田川地区・中間市消防指令センター新庁舎建設工事の土工事履行期間は今年4月21日から6月30日までの約70日間。ユウセイが一定額の利益を得ていたのは確実だ。土工事が始まったのは3月25日告示、30日投開票の日程で執行された大任町長選挙の直後となる4月だった。きな臭さは拭えない。
もちろん、以上の事実だけで「消防利権疑惑」と言い立てるつもりはない。実は、消防組合がこの事業とは別にやはり十億単位の事業を進めており、そこにも永原氏の側近業者が登場することが分かっている。詳細は次稿から。
(中願寺純則)















