3月27日、大阪市議会は、一般社団法人の理事に就いて社会保険に加入し、月額約10万円超の国民健康保険料支払いを免れる「国保逃れ」をしていた松田昌利市議とその「勧誘役」佐竹璃保市議に辞職勧告決議案を提出、全会一致で可決した。
「まさか維新まで賛成するとはね……」と苦笑しながら話すのは自民党のある大阪市議。「国保逃れ」の当事者である日本維新の会の大阪市議団までが賛成に回ったからだ。大阪市議会の定数は81議席。維新は最大会派として41人を擁するだけに自らが「国保逃れ」という犯罪性の高い“脱法行為”を認めたことになる。
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維新は、すでに兵庫県の地方議員4人と東京都の元地方議員1人の合計5人を、「国保逃れ」に関与していたとして除名処分にしている。
大阪市議会の辞職勧告決議は、《大阪市議会議員は、市民全体の奉仕者として高い倫理観と法令遵守が求められる立場にあり、社会保険制度の適正な運用を確保する責務を負っている。しかしながら、本件により大阪市議会が社会保険制度をめぐる不適切な行為や疑念に関与したと受け止められていることは、市民の市政に対する信頼を著しく失墜させるものであり、その責任は極めて重大》と指摘、2人に辞職を強く求める厳しい内容だ。
このタイミングで、大阪市議会が辞職勧告決議に乗り出した背景にあるのは、3月18日に厚生労働省から出された《法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて》という通達。厚労省は、《本来国民健康保険及び国民年金の適用を受けるべき者であるにもかかわらず通常よりも低い保険料で健康保険等の適用を受けている可能性があるところ、法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて、下記のとおり明確化したので、遺漏のないように取り扱われたい》と「国保逃れ」を厳格化。見逃さない姿勢を示している。
維新の「国保逃れ」が厚生労働省の通達のきっかけになっていることは言うまでもない。
維新は自民党と連立を組む政権与党。本拠地である大阪市議会に加え、大阪府議会でも与党だ。前出の自民党市議が裏事情を明かす。
「維新は3月24日、『辞職勧告決議を取り下げてくれ』と自民党をはじめとする他の会派に申し入れてきた。理由は、松田と佐竹に対する辞職勧告が度々出るのは困るとの理由でした。松田の除名は維新が発表し、佐竹の『国保逃れ』は自らが認めて離党をしている。維新がどうこう言う話ではなくなっており、断りました。それでも維新は粘った。それならうち(自民党)の会派などが中心になって国保逃れについての議論を重ねると言ったところ引き下がりました」
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3月23日、かつて維新に所属していた国民民主党の足立康史参議院議員は、参議院本会議で「公党による組織的な違法行為と疑われる事件について取り上げざるを得ない。いわゆる国保逃れであります」と追及。自民党は維新の“尻ぬぐい”に追われた。ある維新の国会議員は渋い表情でこう話す。
「与党の重みをひしひしと感じる。国会でも、大阪市議会などの地方でも、『国保逃れ』の火消しは容易ではない。重大な問題であることはわかっているが、野党ならとっくに終わっている問題のはず……」
ごまかし、すり替え、隠ぺいは自民党が本家本元だ。維新は、そんな自民党中心の政治に嫌気がさした国民から支持を受け、大阪ローカルから全国政党に脱皮した。その基本政策ともいうべき「維新八策」のトップにあるのは《徹底した透明化》。しかし維新は、大阪市議会の辞職勧告決議を巡り、透明化どころかもみ消しを図っていたというのだから開いた口が塞がらない。
維新は自民党と連立を組む際に「社会保障改革」を打ち出し、社会保険料を下げるという公約を衆議院選挙でも掲げた。その一方で「国保逃れ」という脱法行為――。社保改革を唱えながら、一部の議員たちは社会保険料を自ら下げていたという呆れた話だ。
維新では、地方議員も国会議員も、出馬を前提とする特別党員となる時に「誓約書」にサインを求められる。そこには《今後、いかなる理由があろうとも、日本維新の会から除名処分を受けた場合は、議員又は首長の公職を辞職します》とある。しかし、松田氏と佐竹氏は、今も大阪市議のバッジを外していない。それどころか、同じく除名処分を受けた兵庫県の4人の地方議員もその座にとどまったまま。誓約が、バッジを付けるための“形だけ”のものであることを証明した格好だ。
昨年、斎藤元彦兵庫県知事の内部告発問題に絡む名誉毀損容疑で逮捕・起訴された元NHK党代表立花孝志被告に、特定の人物を「黒幕」などと記した誹謗中傷文書を手渡したことが明らかとなったのは岸口実兵庫県議。彼も除名処分となったが、現在も辞職していない。誓約を守らせることさえできない維新に、国政与党として国をたばねていく資格があるとは思えない。















