二階幹事長の地元で浮上した「疑惑」の背景

「ついに、二階さんのウラが出てきましたね」と話すのは、自民党の幹部。一部の週刊誌が、二階俊博自民党幹事長絡みの「疑惑」を報道、永田町で注目を集める事態となっている。

週刊誌が報じた「疑惑」とは、二階幹事長の有力支援企業である株式会社「和通」が、和歌山県が誘致を目指しているカジノを含む統合型リゾート(IR)事業の候補地に隣接している土地(山林約3,000坪)を所有しており、その和通が運営している「社会福祉法人きのくに福祉会」の評議員や理事に幹事長の秘書を務める長男の俊樹氏が就任しているというもの。政権中枢でIR事業の推進を図ってきた二階幹事長と地元の支援企業が組んで、IR利権を創り出したと言わんばかりの書きぶりだった。

実際のところはどうなのか――関係先を取材した。

■献金実態などが物語る、ある企業と二階氏の「親密な関係」

和通は二階氏とは非常に親しい関係にある。その関係は、和通の先代社長、中田實宏氏(故人)からだという。

地元の地方議員は、その関係の深さをこう話す。
「和通は、もともと広告制作を中心にした映像関連会社でした。實宏氏は二階さんの写真係のようなもので、どこに行く時も同行していました。二階さんが使えると思ったようで、選挙のポスターなどいろいろ相談するようになったんです。二階さんの奥様が亡くなり昨年2月にお別れの会が地元、御坊市で開かれましたが、その時も和通が式の仕切りをやっていたほどです」

それを裏付けるように、二階氏が代表の「自民党和歌山県第三選挙区支部」が提出した2011年の政治資金収支報告書には『研修会記録VTR作成費 210,000円 和通』の記載がある。

その和通は20年ほど前から、広告とは畑違いの病院や老人ホーム経営、介護事業などに乗り出す。前出・きのくに福祉会が法人化されたのは2011年のことだ。

12年、和通の運営する訪問介護事業所「ケアランド紀の川」(和歌山県紀の川市)が、介護保険法に基づいて指定を取り消された。和歌山県が調査したところ、ケアランド紀の川は2007年9月から11年10月にかけて、実際には行っていないサービスを行ったかのように記録を偽造。さらに、スタッフが自分の家族を介護していたのもかかわらず、介護報酬の請求を行い、約190万円を不正受給していた。

「架空のサービスで請求をしたり、1人のスタッフが同じ時間帯に複数の場所で介護している。あからさまな二重請求で、酷いものでした。和通にも県の特別検査が入り、改善勧告を実施しました」(和歌山県関係者)

その後、ケアランド紀の川は廃止されたが、他の事業所や老人ホームの運営は続けられている。

「和歌山では、和通ほど二階さんの力を背景に、ええ商売しているところはないと思われています。税金をだまし取って取り消しまでされた後に、平然と医療法人や社会福祉法人まで設立。そら二階さんの後ろ盾なくしてはありえないでしょう。ケアランド紀の川が処分になった時もあまり大きく報じられなかった。亡くなった和通の實宏氏も『二階先生のおかげや』と話していたのを聞いたことがあります」(前出・地元の地方議員)

二階氏と和通の深い関係は、政治献金収支報告書をみてもよくわかる。二階氏の自民党和歌山県第三選挙区支部と資金管理団体「新政経研究会」の政治資金収支を調べてみたところ、07年から18年にかけて、和通関連や中田氏側から約678万円を受領していた(下は2016年の自民党和歌山県第三選挙区支部の収支報告書の一部)

ケアランド紀の川で不正が行われていたのは、07年から11年にかけて。記者が確認した限り、その期間における和通関連と中田氏側の献金合計は121万円だった。

税金から介護報酬を受け取り、儲けの一部を自民支部に政治資金として提供して二階氏の身内まで引き入れ、さらなる“商売を拡大”していた形だ。地元和歌山の関係者からは、「やりすぎ」「福祉を食い物」という厳しい批判の声が上がっている。

(山本吉文)

 

 



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