福岡県川崎町の松田孝行町議会議員側が、法で定められた「政治団体設立届」を提出せぬまま、後援会活動を行っていたことが分かった。政治資金規正法違反の疑いがある。
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下は、2023年4月に行われた川崎町議会議員選挙の直前、松田氏の陣営が関係者に送信した画像(赤いアンダーラインはハンター編集部)。出陣式への参加を呼びかける文書の発信元は「松田たかゆき後援会」、出陣式の会場も「松田たかゆき後援会事務所」となっている。
町内の関係者によれば、同陣営は町議選告示の前日まで活発な後援会活動を行っており、松田氏は定数16のところ7位で2期目の当選を果たしていた。その頃、松田氏の「後援会」あてに発行された領収書の写しもある(*下、参照)
松田後援会の活動状況を、収入及び収支から調べようと福岡県選挙管理委員会に確認したところ、「松田たかゆき後援会」という団体の設立届は提出されていないという。もちろん、町議選が行われた2023年に同後援会が提出した政治資金収支報告書も存在していない。無届けで政治活動を行っていたということになる。
政治資金規正法は(届出前の寄附又は支出の禁止)として《政治団体は、第6条第1項の規定による届出(注:「政治団体設立届」)がされた後でなければ、政治活動のために、いかなる名義をもってするを問わず、寄附を受け、又は支出をすることができない》(第8条)と規定、違反した場合には《政治団体が第8条の規定に違反して寄附を受け、又は支出をしたときは、当該政治団体の役職員又は構成員として当該違反行為をした者は、5年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金》(第23条)となる。
事務所を構え、選挙に向けた後援会活動を行っていた以上、それに見合う収入と支出があったはず。しかし、松田氏の後援会は届出がなされておらず、収支の実態が隠された格好となっている。
2日、松田氏本人に後援会活動を示す印刷物などを入手している旨を伝えた上で、“松田たかゆき後援会は選管に届けを出していないが”と質問したところ、あっさり「はい、してないですね」。政治資金規正法の条文を読み上げ違法性を指摘し、さらに確認を求めたところ「そういうことを登録せないかんということを、今聞くまでまったく知りませんでした」と返ってきた。最後は「私が悪いですね」という発言があったが、後援会活動について松田氏自身がどこまで関与していたかは不明だ。いずれにせよ、無届けの後援会活動は政治資金規正法違反。松田氏側に説明責任が生じたことは言うまでもない。