増え続ける大阪のコロナ感染|パフォーマー・吉村洋文知事の失政

場当たり的、考えなし、その場しのぎ、行き当たりばったり――吉村洋文大阪府知事が打ち出す新型コロナウイルス対策の方針は、こうした言葉で表現するしかない。

■振り回される大阪府民

今年初め、感染の急拡大に慌てた吉村知事は、1月9日に兵庫・京都と歩調を合わせ、政府に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の再発出を要請。これを受けた政府は同月13日、大阪、京都、兵庫を含む7府県に緊急事態宣言を発出する。この頃の大阪府における感染者数のピークは1月8日の654人だった。

2月にかけて新規感染者が60人台まで下がると、吉村知事はどこよりも早く宣言解除に言及。宣言は3月7日までの延長が決まっていたが、2月初めごろから「解除」に向けた独自の基準作りに着手し、19日には会見で月末に宣言解除するよう政府に要請することを公表する。大阪府における医療体制の切迫や基準の緩さが指摘される中、政府は2月28日に大阪など6府県の宣言を“前倒し”で解除してしまう。

安易な宣言解除に示されていた懸念は的中し、3月に入ったとたん感染は再拡大。新規感染者は瞬く間に200人台から300人台、400人台へと増え、4月3日にはそれまでの最高654人を超える666人に達した。6日時点の感染者は、大阪での過去最高となる719人。吉村知事のリバウンド対策失敗が明らかとなる。本来なら緊急事態宣言の再々発出だろうが、そうなると2月の前倒し解除に批判が高まる。吉村氏が持ち出したのは、「まん延防止等重点措置」だった。

「まん延防止等重点措置」は、政府が定めた都道府県の知事が、「緊急事態」=「ステージ4」手前の感染状況となった市区町村や地域に限定して講じる対策のこと。飲食店などに対する時短要請やマスクなしでの入店禁止、イベントの人数制限といった予防策が要請できるようになる他、対象地域の住民に不要不急の外出や移動の自粛が求められるようになる。時短要請に従わない場合には「20万円」の過料。緊急事態宣言では可能な休業要請や全面的な外出自粛要請はできない。

大阪府は、先月31日に「まん延防止等重点措置」の適用を国に要請。政府は4月1日、同月5日から5月5日までの1か月間を同措置の適用期間とすることを決定する。腰の据わらぬコロナ対策に、大阪府民が振り回されている格好だ。

■「維新政治」の限界

感染拡大で緊急事態宣言の発出を催促した知事が、少し減ると真っ先に解除を要請。抑え込みに失敗して再拡大を許し、今度はどこよりも早く「まん延防止等重点措置」を要請する――。わずか3か月の間に、失政への反省もなく、次々と方針を打ち出す知事を、信頼する国民は少数だろう。この間、大阪府の重症病床(224床)使用率は64%程度まで上がり医療体制が逼迫。吉村知事は5日、「医療非常事態宣言」の可能性を示した。

頻繁な情報発信には熱心な吉村知事だが、振り返ってみると実効性のあるコロナ対策は皆無。実際、大阪の新規感染者は東京をはるかに超える勢いで増える一方となっている。

吉村氏といえば昨年8月、松井一郎大阪市長と会見を開き、「ポビドンヨード」を含んだうがい薬が新型コロナウイルス感染防止に一定の効果があると発表した。分かりやすく言えば、イソジンのうがい薬がコロナに効くというものだ。「ウソみたいな本当の話をさせていただく」で始まった吉村氏の会見の模様がテレビで映し出されたため国民が飛びつき、薬局の店頭には「うがい薬完売」の張り紙が出された。

会見後の混乱は周知の通りで、ポビドンヨードが品薄になった状況を重く見た大阪府歯科保険医協会は、『大阪府知事の「うがい薬に新型コロナウイルスの効果確認」会見 医療機関と府民を混乱に陥れたことを真摯に受け止めよ』という激しいタイトルの抗議文を公表している。吉村知事の先走り、考えなしの性格を如実に示す“事件”だった。

パフォーマンスに走って民意を煽るのが「維新」のお家芸だが、コロナ対策で求められているのは感染を減らす着実な対策。目先を変えるだけの政治手法では、府民の命は救えない。

 

+9
この記事をSNSでシェアする

関連記事

注目したい記事

  1. 衆議院議員の任期切れまであと約6か月。いつ解散総選挙になってもおかしくない時期にきているが、与党・自…
  2. 政財界のフィクサーとして知られる矢島義也氏が会長を務めるコンサルタント会社「大樹総研」が、新型コロナ…
  3. 国税当局による刑事告発や重加算税をゼロに――と謳った凄いサイト「国税査察専門安心」をネット上に公開し…
  4. 4月25日、元法相夫妻の公職選挙法違反事件で揺れる広島で、河井案里氏の議員辞職に伴う参院広島選挙区再…
  5. 「看護師になるための実習は、一般の人たちが考えている以上に厳しく、大変なものです」。ある現役看護師は…




最新の記事

  1. 衆議院議員の任期切れまであと約6か月。いつ解散総選挙になってもおかしくない時期にきているが、与党・自…
  2. 政財界のフィクサーとして知られる矢島義也氏が会長を務めるコンサルタント会社「大樹総研」が、新型コロナ…
  3. 国税当局による刑事告発や重加算税をゼロに――と謳った凄いサイト「国税査察専門安心」をネット上に公開し…

ページ上部へ戻る