人材の墓場|告発メールが暴く「江差看護学院」教員パワハラの実態-下-

次々に送られてくる告発メールが、被害の深刻さを物語っている。学内ナンバー2を含む複数の教員らによるパワハラで、多数の生徒が休学、留年、退学という事態に追い込まれていることが分かった「北海道立江差高等看護学院」。道庁ぐるみでパワハラの隠蔽を図ってきたことは確実で、何期も前の卒業生たちまで声を上げ始めている。ハンターに届いた、現役生と卒業生が体験した出来事を、可能な限り原文の記述に沿って紹介する。

【生徒C】
・ある生徒が、決められた時間に課題を提出するため教員に出しに行った際、たまたま教員同士で話しているところでした。すると、『今、話してるの。見てわからない?』と高圧的に言われ、仕方なく生徒は提出時間の期限ギリギリまで教員室の前で待っていました。提出時間を過ぎても教員の話は終わらず、講義が始まる為仕方なく一限が終わった後にみんなで課題を提出しに行ったところ、教員は『提出時間過ぎてるため受け取りませーん』と笑いながら受け取りを拒否。『単位いらないってことでしょ、あんたたち』と言われました。課題が出せないと単位を貰えなくなるため、どうするか皆で話し合い、自分達の何が悪かったのかをまとめ、クラス委員が代表で謝罪に行きました。その後教員からは、時間ギリギリに出しに来る私達が悪いと言われました。早い生徒は30分以上前から待機していたにも関わらず、です。こうしたことは、よくあることでした。

・ある男子生徒は、教員から『男は雑だから、他の人よりも勉強や実技の練習をしないと話にならない』『勉強の指導を受けに来た方がいい』と言われ、自己学習を持って教員のところへ行きました。すると今度は、『私の業務時間外なので無理だから』と言われ、途方に暮れていました。その男子生徒は、後日改めて呼び出され、『なんで指導を受けに来ないのか』と多くの教員の前で説教を受けました。

・別の生徒は、アルバイトが学校のルール上許されているにも関わらず、教員室に呼び出され、3人の教員に『そんなことしてる余裕ある?いつやめるの?ルール上許可出してるけど考えて行動したら?』などと30分にわたり言われ続けしました。

 

【生徒D】
・ペーパーテストに関してはみんな同じ問題を配られているため、勉強不足による留年は、自分でも理解できることです。しかし、実習や提出物で単位が貰える教科では、教員が好き勝手に判定しています。なので、実習になると生徒のみんなはターゲットにされたくない。ターゲットになったらどうしよう、という気持ちになり、同じ実習メンバーの悪いところを探そうとし、他の生徒が褒められているのを見ると「やばい。自分できていない」と焦りにつながり不安だけが募ります。年間で卒業したいなら先生の言うことは絶対。これは全生徒が思っていることです。私も間違っていることや理不尽なことも多くありましたが、それに対して「自分が悪かったです」と謝ることが多かったです。

・決まって教員らの口癖は「大学とは違う。ここは社会人を育てる学校。社会に出たらこんな人沢山いる」でした。確かに教員らの言っていることはわかります。国家試験を受けて看護師になれば人の命を預かる者、呑気な甘い考えは決して許されません。私は一応全実習を乗り越えてましたが、ある教員の精神実習が1番酷いと感じていました。その教員が、同じ病棟に配属された子1名をターゲットにし、記録物のファイルをカゴに投げている様子を見たこともあります。また、生徒が聞きたいことに対して「なんで貴方みたいな人に教えなきゃならないの?」と言っているのを聞きとても怖く感じました。

・別の教員の小児実習では、理不尽だなと思うことがありました。2チーム2名ずつになるのですが、その際も嫌いな生徒がいるグループに対し、そのグループがこの後の実習の調整を取りに行った際に「仕事中わからないの?」と言われ、何も調整を取れないまま実習に行っていました。仕事中なのはわかります。しかし、“教える身として、これはありなの”って、ずっと思って実習をしていました。実習中は、ターゲットにされるかされないか気が気ではなくて、吐き気しかありませんでした。

・副学院長と直接かかわることはありませんでしたが、研究実践という教科で関わりがあった生徒に聞いたところでは、毎日毎日先生の気分でやり直しさせられ、昨日良かったものが今日はダメという具合だったそうです。「教える価値ない」「殴るかと思った」と言われたこともあったそうで、冗談でもこれはないなと思いました。

・ある生徒は、冬休みに一度、北海道庁の保健福祉部の部長の方に教員等の実態について手紙を送ったそうです。そうすると冬休み明け、ある教員にいきなり「私たちは守ってきたつもりなんだけどね」と言われました。道庁の部長さんは、生徒の訴えを教員の方に伝えていたということです。これが「守ってきた」というやり方なのかと考えると、それは人生を歩む上で正しいのか疑問に思います。

 

先月、パワハラ被害を受けてきた複数の生徒らが立ち上がり道庁の所管課に直訴したため、問題はようやく表面化。道は、それまでパワハラの訴えを握りつぶしてきたとされる道庁の職員を逃がすように異動させ、関係者への聞き取りを行っている。

明日7日の朝には、江差高等看護学院で在校生などへの説明が行われ、夕方遅くからは保護者らに対する説明会が開かれる予定だ。しかし、道庁周辺から聞こえてくるのは、人材不足を理由に、パワハラという犯罪行為を行ってきた副学園長を含む数名の教員を残すという方針。人材育成の場を、「人材の墓場」(ある保護者の話)にした連中が、のうのうと現場に残る可能性がある。

ハンターの報道は始まったばかりで、告発メールのほんの一部を紹介したに過ぎない。とても文章に落とせないような酷いパワハラが続いていたことも分かっており、生徒の自殺とパワハラの関係を指摘する関係者も少なくない。“事件”は、これから広がりをみせる。

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