鹿児島県指宿市の公立小学校に勤務する20代の女性教師が、同僚で30代の教務主任だった男性教師(当時・今月に入り懲戒処分を受けて依願退職)に呼び出されて暴行を受けた事件を巡り、問題の加害男性が、過去に学校関係者と不倫関係になったことが露見して離婚していたことが分かった。
周辺取材や残された記録から、女性教師と加害男性が勤務していた小学校の校長・教頭が、加害者のこうした不適切行為を知っていたことも判明。学校側は、加害男性の悪い癖を承知した上で、「教務主任」という重要なポストに就けていた。
過去の不適切行為を見逃さずに処分していれば、今回の事件を回避できていた可能性が否定できず、鹿児島県教育界の身内に甘い体質が何人もの被害者を生むことにつながったのは確かだ。
■市教委関係者も知っていた加害者の「不倫」
ハンターの取材によれば、今回の事件を起こした元男性教師は数年前、学校関係者の女性に無理やり交際を迫り「不倫」の関係になっていた。
不適切交際のことは加害男性の家族の知るところとなり、離婚。一連の出来事は学校関係者の間で噂になり、しばらくして元教師は勤務先の学校から異動などの形で姿を消したという。
こうした事実について加害男性は、校長、教頭が立ち会った被害女性の両親との面会時に認める発言をしており、その際教頭は加害男性のことについて「不倫がわかって離婚されたと聞いています」と明言していた。教頭や校長は、加害男性の過去の行状を知っていたことになる。
不倫で問題を起こした教員が、なぜ教頭の一歩手前である教務主任になれたのか――。ある指宿市の関係者は、声を潜めてこう話す。
「市内の多くの人が、『ああ、不倫のセンセイね』と反応するほど問題の教員のことは知れ渡っていました。もちろん、今回の事件の前からです。だいたい、かつては学校の先生だった指宿市教委の職員も、加害者が過去に不適切な男女交際を行っていたことを知っていたんです。なのに、なんであんな先生が教務主任になれたのか……。裏に市の権力者の力が動いたという話もありますから、まともな人事じゃなかったんでしょうけど」
たしかに、今回の強制性交未遂事件を、無理やり「セクハラ」で済ませようとする学校や教育員会の対応は疑問だ。教職という子供たちを指導的する立場にありながら不適切な男女関係をもって元の家族を不幸にし、反省もなく今回の暴行事件を起こした加害者を、最後まで庇おうとした学校長や教育委員会の歪んだ姿勢は理解できない。
校長は、被害者である女性教師に、「(加害者の)●●先生を追い込むつもりか!」と逆切れしたあげく、あろうことか加害者との「示談」を持ち掛けるという非道さ。ハンターの取材に答えた県教委の担当は加害者の話だけを判断材料にし、「わいせつは認められない」と断言していた。
県教委が加害男性の処分を決めるまでの過程で、暴行を受けた女性教師の被害状況や気持ちは、まったくと言ってよいほど考慮されていない。被害者の人権を否定し、加害者だけを守ろうとする「不正義」が、まかり通っているのが現在の鹿児島だ。次の配信記事では、事を矮小化するために作成されたとしか思えない、学校側が県教委に提出した「事故報告書」について詳報する。