徳島市長の“怪しい”東京出張|「要望活動」の証拠は不存在

内藤佐和子(36)徳島市長の、不透明な東京出張の実態に疑念が広がっている。

徳島市議会12月定例会、10月中旬に行った東京出張について出張目的とされる「関係機関への要望活動」の詳細を答えるよう求められた内藤市長は、具体的な訪問先や要望、陳情内容を一切明かさず事実上の答弁拒否となった。

質問した市議は、市が市長のスケジュールを一切把握していなかったことなどについても追及したが、内藤市長は完全スルー。「(公務で)市民の血税が使われている以上、その内容は報告されるべきであり、それが市政を預かる者の義務だ」との指摘も黙殺した。

東京陳情、じつは自民党野田聖子氏への挨拶

12月4日、徳島市議会12月定例会において一般質問が行われた。当日最後に登壇した増田秀司市議(無所属)が問題視したのは、10月13日と翌14日に市長が東京に出張した目的とその中身の詳細。当日の市長のスケジュールは市のHPや出張に関する公文書に記載されていたが、「関係機関への要望活動」とあるだけだった。

細かい訪問先や日時、活動内容などは記載がなかったことに加え、市の秘書課が市長のスケジュールを一切把握していなかったことも判明。同市議は、危機管理や市民の血税が投入された公務の重要性を問いただした。

ハンターが市秘書課に確認したところ、市が把握していた出張内容は「13日上京のみ、14日は午前と午後にそれぞれ国の省庁に対し、市の施策に係る要望や陳情を行い、午後に帰市」という簡単なものだった。

このため、東京出張の詳細を確認するため、10月の東京出張に関する公文書を開示請求。市が開示したのは、出張命令書とその決裁文書、出張指示書や交通や宿泊に関する旅行内訳明細書など計6枚だった。

命令書は、「関係機関への要望活動」を目的とした市長の出張が10月6日に起案されて決済されており、支出総額は交通費、宿泊費を合わせ計6万8,860円となっている。

旅行内訳明細書によれば、10月13日の20時30分に飛行機で徳島空港を出発し、21時45分に羽田空港に到着。モノレールや私鉄を利用して宿泊地の東京に着いた後は、公務はなし。翌14日は、判然としない“公務”をこなしたあと、往路と同じ手段で徳島まで帰っていた。帰りの便は18時30分羽田発。14日の行動時間は朝から夕方5時頃までとなるが、この間、内藤市長がどのように「行動」していたのかは不明だ。

唯一分かっているのは、自民党本部の野田聖子幹事長代行を訪問したこと。野田氏と内藤氏がフェイスブックに投稿した写真が残っているのだが、どうみてもただの挨拶。両人の書き込みのどこにも「陳情」「要望」といった文言は出てこない。

 

要望書、陳情書は不存在

関係機関への正式な要望や陳情がなされたのであれば、当然証拠となる「要望者」や「陳情書」が残る。改めて市に対し“市長が東京出張の際に市が関係機関へ提出した文書”を開示するよう求めたが、返ってきたのは「不存在」の通知だった。

訪問先は「挨拶」に出向いた自民党本部以外不明。さらに要望書や陳情書が存在しないとなれば、「公務出張」との主張の根拠は無きに等しい。私的な女性政治家同士の交流だったとすれば、税金を使うのは筋違いだろう。

市長答弁を傍聴席で聞いたという30代の男性市民は次のように話している。
「聞かれた事に答えるだけなのに、何故答えられないのか分からない。難しい質問では無かったはずなにの……。本当に公務で行ったのなら、簡単に自分が行った省庁ぐらいは答えられたはず。答えていないのは、やはり不適切と言うしかない。市民に言えないような要望、陳情があるとも思えない」

ちなみに、内藤市長は11月20日にも東京に出張しているが、その際のスケジュールは「午前午後とも都内で徳島自動車道と四国横断自動車道、阿南安芸自動車道の早期整備に向けた提言活動、のち帰市」と詳しく公表されている。

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