今月8日、国民民主党の代表選挙が告示され、玉木雄一郎現代表と参院議員の伊藤孝恵氏が立候補した。新代表は18日に決まる予定だが、透明性を欠く組織の体質は数が減っても変わっておらず、政治資金の使い道に疑問を抱く関係者は少なくない。
■不可解支出に疑問の声
2018年に国民民主党の共同代表に就任した玉木氏は、立憲民主党とは合流せず、16人の国会議員とともに残留する道を選んだ。スンナリ代表留任となりそうなものだが、所属議員の一人は不満をもらす。
「玉木氏が代表になって以降、党勢は低迷するばかり。それは、公表された政治資金収支報告書をみれば、よくわかります。旧民主党が絶頂期の時からため込んだカネを、『なんでそんなものに?』と思うようなことにつぎ込んでいるんです。玉木氏の動画配信もそう。決まった業者が担当しているんですが、不可解です」
たしかに、先月公表された国民民主党の政治資金収支報告書には、奇妙な支出が散見される。
例えば、国民民主党のマスコット「こくみんうさぎ」に関するもの。それへの支出とみられるのが、東京都に本社を置く着ぐるみ製作会社Kに対する3回、約140万円の支払いである。
2019年7月②5日、同じ日に約41万円を2回、合計82万円を《着用ぬいぐるみ製作費》という名目で支払っている。つまり2体購入したということだ。だが前出の国民民主党所属議員は、首をひねる。「こくみんうさぎは、それなりの評判。けど毎日、どこか出るわけじゃないし2体も製作するの必要はない」
次に、京都市に本社がある「AI SOLUTION KYOTO」(以下AI社) という会社には《ソフトェア管理。開発》などの名目で、19年だけで10回、合計で3,000万円を超す金額が支払われていた。(*下は、収支報告書の一部)
国民民主党の政治資金収支報告書をさかのぼると、AI社と同党の付き合い始まったのは、おそらく2018年11月22日。約250万円の支払いが一回目だったとみられる。
法人登記を確認したところ、その後AI社は本社所在地を大阪、さらに東京へと移転。今年9月には社名を「メディアカウンター」に変更し、ジャーナリストなのか政治家なのか分からない上杉隆氏が代表取締役社長に就任していた。
上杉氏の前の代表取締役は、ネット上でユーチューバーや元ナースなどと紹介されている女性のU氏。U氏は「NHKを国民から守る党」(以下、N国)の関係者で、19年11月にはフェイスブックなどに、「N国党公認候補予定者として衆議院選立候補予定です!」などと投稿していた。
一方、上杉氏は19年8月にN国の幹事長に就任。国民民主党のAI社への最後の支払いは同年9月25日で、上杉氏のN国幹事長就任後となっている。
別の国民民主党関係者は、こう話す。
「なぜ、国民民主党とは相容れないN国の幹部が経営している会社にカネを払うのだろうか? そもそも、AI社にはどんなものを開発してもらったのか、誰に聞いてもよくわからない。何をどう管理していたのかさえ知らされていない。おかしな支出だ」
会合費にも不思議な支出がある。同年5月に68,900円が銀座のバーに支払われているのだが、そのバーのホームページによればマジシャンがマジックやトークを披露して楽しませてくれると紹介されている(下の画像は同店のHPより)。マジックに拍手をしながら、何を打ち合わせしていたのだろう?
「まさか、政権交代のマジックがないか相談していた、なんてことはないでしょう。先日公表された政治資金収支報告書は、コロナ禍の前ではあります。しかし、国民が苦境に陥る中、こんな政治資金の使途で大丈夫なのか、とても疑問に思います。玉木氏が代表になって、カネ使いが荒くなったと事務局は言っています。代表戦では、なぜこんなカネの使い方をするのが玉木氏に説明を求めたい。玉木氏が代表のままでは未来はないですね。まさに、お先真っ暗。カネはあっても人気がないのではねぇ……」(国民民主党所属議員)