安倍晋三「五輪反対は反日」に通底する「こんな人たち」

安倍晋三という政治家にとって、意見を異にする人たちはすべて「敵」。かつて街頭演説で「帰れ」「辞めろ」とやじった人たちを指さし、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と言い放った安倍晋三元首相が、今度はオリンピック開催に反対する国民のことを「反日」と決めつけ攻撃した。相変わらずのレベルの低さに呆れるしかないが……。

■櫻井氏との対談で暴論展開

月刊「Hanada」8月号誌上で櫻井よしこ氏と対談した安倍は、オリンピック開催に慎重な姿勢をとる野党の話をする中で、次のように述べた。

《彼ら(野党)は、日本でオリンピックが成功するすることに不快感を持っているのではないか。共産党に代表されるように、歴史認識などにおいても一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対しています。朝日新聞なども明確に反対を表明しました。》

つまり、オリンピック開催に反対している人たちは「反日」というわけだ。いい歳をして、短絡的というか、無知というか、世間が見えない二世のボンボン丸出しの幼稚さである。

つい最近まで、報道各社の世論調査でオリンピック開催に賛成していたのは3割以下。6割以上の国民は、コロナ禍でのオリンピック開催に懐疑的だった。何がなんでも五輪開催という菅義偉政権の強硬姿勢にあきらめムードが漂っているが、もろ手を挙げて「オリンピック万歳」を唱えているのは、安倍や菅義偉を支えるあぶない思想の持ち主ばかりだ。

例えば、Hanadaで安倍と対談した極右の論客・櫻井よし子氏や、今年5月に新型コロナの感染状況を「さざ波」とした上で「これで五輪中止とかいうと笑笑」とSNS上に投稿して炎上し、その直後に「日本の緊急事態宣言といっても、欧米から見れば、戒厳令でもなく『屁みたいな』もの」と発信して、内閣官房参与をクビになった高橋洋一氏。いずれも、安倍や菅の政権運営を絶賛する一方で、大多数の国民を見下して憚らない。

■異なる意見は「反日」「左翼」

櫻井氏をはじめとする極右の論客たちや安倍に共通しているのは、自分の考えと違う主張を展開する人を、すべて「反日」あるいは「左翼」と一括りにして激しく攻撃する態度だ。従軍慰安婦や南京大虐殺を否定し、原発を擁護し、現行憲法を欠陥品扱いする姿勢も共通である。

原爆の悲惨さを知り、なおかつ福島第一原発の事故を経験した日本の国民が核の恐ろしさに怯えるのは当然のことだ。だが、安倍とそのシンパは原発に懐疑的な人すべてに「左翼」のレッテルを貼る。彼らにとっては、原発反対を唱える小泉純一郎元総理や福島の避難生活者も「左翼」ということになるのだろう。安倍政権が長く続き、こうした乱暴な主張が幅を利かすようになったことは、この国にとっての不幸と言うしかない。

コロナ禍に苦しむ国民の大半が「なんでオリンピックなんだ」と思っていることは確かで、かつて五輪出場を決めたアスリートに向けられてきた熱い応援は影を潜める状況となっている。東京に4度目となる非常事態宣言が発出される中、五輪開催に異を唱えるただけで「反日」と攻撃されれば、ますます熱が冷めようというものだ。そもそも、使えない“アベノマスク”を配るなどコロナ対策に失敗して総理の座を去った安倍が、五輪反対を咎める資格などあるまい。

もっとも、安倍が意に沿わない国民を敵視するのは、今に始まったことではない。2017年の都議選の街頭演説で安倍は、「帰れ」「辞めろ」とやじった人たちを指さし、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と言い放って激しい批判に晒された。その結果が、都議会自民の歴史的惨敗。安倍には、人差し指の先にいた数千万人の有権者が見えていなかった。「五輪反対は反日」は、この時の安倍の指差しに通底している。国民を敵視する子供じみた姿勢は、“狭量”の裏返しである。

 集団的自衛権の行使容認、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設、原発再稼働、憲法改正……。大多数の国民が感じる疑問や批判を「サヨク目線」だと切って捨て、「反日」だの「国益」だのと叫んで愛国者を気取ってきた安倍元首相。この人が言っていた「美しい国」は、ずいぶん歪んだ国家なのだろう。ちなみに、私はコロナ禍が収束しないうちの五輪開催には反対ですが、やっぱり「反日」なのでしょうか?

(中願寺 純隆)

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