【江差看護学院パワハラ問題】道議会議員が「お役所仕事」を厳しく批判

学生へのハラスメントについて調査が進んでいる北海道立江差高等看護学院の問題で3日、学院を所管する道の担当部局が地元議会で改めて質問を受け、学生の個人情報開示請求に「のり弁」で対応した理由などを答弁した。同日はこれまで報告されていなかった元教員の告発などもあきらかになり、過去の被害をその後の運営改善に繋げられなかった結果に、議員からは「お役所仕事」と鋭い批判の声が上がることになった。

■文書非開示理由「調査に支障」

江差看護学院に関する質疑があったのは、3日午後招集の道議会保健福祉委員会。質疑に立った立憲民主党の平出陽子委員(函館市)は、2日付の本サイト記事が採り上げた個人情報「非開示」問題について質問、本年3月に江差の学生が道保健福祉部から聞き取りを受けた記録が当の学生自身に一切開示されなかった理由などを質した。

これを受けた保健福祉部は「条例の規定に基づき、今後の調査に支障をきたすおそれがあることから非開示とした」と答弁、当事者にもそのように説明しているとしたが、平出委員は「当事者は、道から『職員の主観が含まれているため非開示とした』と説明されている」と指摘、いわゆる音声記録の文字起こしなど「一言一句そのまま」の記録が残っていないことに呆れつつ、調査の姿勢や情報開示のあり方に苦言を呈した。

■職員へのパワハラも調査へ

保健福祉委員会では7月上旬、過去にも江差でパワハラ告発があった事例として、9年前の学生の保護者が道に苦情を寄せていた事実が明かされている。平出委員は今回、その2年ほど後に退職したという元教員と接触し、学生へのパワハラに抵抗した元教員が当時の上司らから壮絶なハラスメントを受け、仕事を辞めざるを得なかった経緯などの証言を得たという。

「その教員は精神的に参ってしまって、転勤を申し出たと。ところが道はこれを認めず、結果として退職せざるを得なくなったんです。子供を庇った先生もまた、パワハラにやられてしまった。この時の訴えを、学生からの告発と関連づけてちゃんと調べていたら、子供へのパワハラも明るみに出ていたのではないか」

指摘を受けた道は、現在進められている第三者委員会の調査について「過去の事案も含め、学生へのハラスメントとの関連性が認められた場合は、教員間のハラスメントについても調査の対象とする」と答弁、調査の結果を踏まえて必要な対策を講じるとした。

過去の複数の告発が奏功しなかった結果に、平出委員は「だから『お役所仕事』と言われる」と厳しく批判、「公務員の常識は世間の非常識。世間がどう見ているかを肝に銘じて対応して欲しい」と改めて注文をつけた。

江差の問題をめぐっては、先の第三者委が7月中に加害教員の聴き取り調査を終えたとみられ、調査結果の取りまとめに入っている可能性が高い。道はこの結果を受け「1カ月程度を目途にハラスメントの事実認定を行う」としている。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

*「江差高等看護学院の正常化を求める父母の会」公式サイト⇒https://esashi-seijo.main.jp/

 

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