筑後市の怪文書騒ぎ|副市長と前議長の関与明らかに

 怪文書騒ぎで揺れる福岡県筑後市。騒ぎの裏で動いていたのは、市議会の前議長と現役の副市長だった。

 ハンターは、全農パールライスが取得した土地の疑惑に絡め、地元の県議や市議らに濡れ衣を着せる形の印刷物をばら撒いてきたグループに、副市長や前議長が加わっていることを示す告発文書を入手。告発した筑後市在住の男性の自宅で、告発の経緯や背景について詳しく聞いた。以下、衝撃のインタビュー結果である。

■利用された告発人

 告発文を作成し、筑後市議会関係者に配布したのは筑後市に住む高井良孝久氏。防大出身の元自衛官だという同氏は、新たに作成した時系列に沿った文書を確認しながら、記者の質問に答えた。以下、その概要である。

Q:はじめに、なぜ告発ということになったのかをお聞かせ下さい。
A:端的に言うと、信じていた人間に裏切られたということ。そのせいで、私が支援してきた市議会議員の名誉を傷つけ、市議会にも迷惑をかけることになった。とんでもない陰謀に加担させられたことに憤りを覚えましたし、贖罪の意味でも本当のことを申し上げるべきだと考えました。

Q:市議会議員に配られた高井良さんの文書を拝見しましたが、大変な内容です。関係者から訴えられるのではないか、という心配はなかったですか?
A:まったくありません。私は自分が残した記録の通りを文書にしたまで。内容が嘘だとか、間違いだと言われるはずがないからです。

Q:裏切られた、という点について、詳しく話していただけますか?
A:ご存じとは思いますが、筑後は、去年から例のパールライスが買った土地の件で、ゴタゴタが続いてきました。おたく(ハンター)も記事に書かれとったでしょ。何種類も文書が出て、まず県議の蔵内(勇夫)さんが土地取引に介在したかのような話が出回った。それが否定されたら、今度は貝田義晴議員が蔵内県議の話や漏れるはずのない土地の取引額の情報源だとするビラがまかれた。やっているのは同じメンバーですよ。で、貝田議員が濡れ衣だったことを説明する集まりを開いたんですが、私がその会に参加することを知ったメンバーの代表者の下川良彰さんが、「絶対に迷惑はかけない。確認するだけだから」というので信用して、その会の様子を録音してCDにして下川氏に渡しました。ところが、その直後に問題の文書(下、参照)が出回ったんです。この内容は、録音データを使わないと絶対に分からない。書いた人間も文体から想像がついた。騙されたあげくに、長く支援してきた貝田議員を裏切った形になった。そりゃ、誰だって怒るでしょ。利用されたんだから。

■スタートは「農業の自立を考える会」の怪文書

Q:なるほど。信用した相手に裏切られて告発に至ったということですね。ところで、高井良さんが市議会側に配った文書には、別紙が添付されていました。その内容について、おうかがいします。
A:時系列に沿って話します。まず、昨年秋に「農業の自立を考える会」という団体名で、パールライスの精米工場建設にまつわる疑惑を伝える文書が配られました。そのころ、私は疑惑が事実ならけしからんことだと考え、その会に入会したんです。その時は、「全農パールライスに説明を求める会」に名前が変わっていましたけどね。

Q:団体名が変わった理由について、聞いていましたか?
A:「農業の自立を考える会」のビラには代表者の名前も住所もありませんでした。記者さんがお持ちのビラ(下の画像)は、つまり怪文書だったわけです。会の関係者に聞いた話では、きちんと文書の出所を明からにするようにとの弁護士の指導があり、新しい名前にしたということでした。

■暗闘の背後にいたのは・・・

Q:誰からの誘いだったんですか?
A:親戚の者から誘われました。

Q:メンバーは?
A:代表が市長(西田正治筑後市長)の後援会長の下川良彰さん、事務局長が市会議員に落選した北島一雄でした。

Q:北島一雄さんは、いまの筑後市副市長で間違いありませんか?
A:そうです。市議を落選した人が、なぜか副市長(笑)。

Q:ビラに書かれている内容を、信じていましたか?
A:信じるの何も、下川さんも北島も、昔からよく知っている関係ですから、それに議長も加わっておったわけだから……。最初は信じてましたよね。

Q:議長というのは、今年3月まで市議会議長だった原口英喜市議会議員のことですか?
A:そうそう。

Q:他のメンバーは?
A:昨年の11月9日に久留米市の弁護士事務所に行って、パールライスの問題の作戦会議をしたんですが、その時には私も含めて10人が参加しました。その時のメンバーというのが、下川、原口、北島、それに市会議員の永松孝信、共産党の貝田義博、あとは農政区長が何人かいたですね。農政区長は下川さんの関係でしょうね。

Q:なるほど。それだけのメンバーがいたことで、ビラの内容を信じたわけですね。ところで、久留米の弁護士事務所に行ったのは1回だけですか?
A:いやいや、4回。4回行ってます。

Q:原口前議長も?
A:原口は2回。間違いない。北島は1回。その頃、北島を副市長にという話が出始めていたから、表にでるとまずいと判断したのかもしれない。

Q:弁護士さんも含めてですが、下川さんたちのグループは土地代9億5千万の根拠はお持ちだったんですか?
A:いや、ないから、どうやって証明していくかという相談が続いたわけで、いろんな策を示されてましたが……。

Q:根拠は得られなかったと――。
A:なかったですね。

Q:蔵内県議が土地取引に介在したという証拠も?
A:ないない。あるもんですか。噂だけでしたから。それも、貝田(義晴)市議から聞いたとか、いい加減なものだった。結局、貝田(義晴)市議は原口議長(当時)から聞いたというんですから、信憑性はどこにもない話ばかり(笑)。

Q:整理すると、前議長や副市長さんたちは、下川氏の名前の裏に隠れて、地元選出の県議に濡れ衣を着せたことになります。さらには、情報源を貝田晴義市議だと断定するビラまでまき散らした。パールライス問題を利用し、二人の政治家を陥れたんですね。
A:そうです。人間として許されることではないですね。しかも、平気で人を利用して、裏切る。下川さんも利用されているだけでしょうが、残念です。北島氏に副市長としての資格があるとは思えんし、原口氏も大言壮語する割には、後ろで動くだけ。人間としていかがなものか、私はそう思います。

 高井良氏へのインタビューは約1時間半。昨年から続いてきた土地取引きに絡む暗闘の裏に、副市長と前議長が関わっていたという証言は極めて重いと言わざるを得ない。証拠もないのに地元選出の県議に疑惑の目を向けさせ、関係のない市議に濡れ衣を着せて陥れようとした罪は決して軽くはあるまい。

 原口前議長は昨年12月、取材で自宅を訪ねたハンターの記者に、パールライスの土地取引を巡る怪文書騒ぎについて、こう語っていた。
私がなんか、後ろでしよる(やっている)という噂があるんですよ。まったく、私はタッチしてないんですよ。私はまったくタッチしていない」――原口氏は、“嘘つきは泥棒の始まり”ということわざを知っているのだろうか。

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