福岡県田川郡大任町(永原譲二町長)と田川市(二場公人市長)が、6月にハンターが行った情報公開請求の詳細な内容を、国会議員の事務所や指定暴力団の関係者に漏らしていた。守秘義務違反があったことは明白だ。
ハンターが田川市と大任町に情報公開請求を行ったのは6月14日。請求したのは、二場公人田川市長と永原譲二大任町長の選挙運動費用収支報告書、「田川市一般廃棄物(ごみ)収集運搬業務委託」の事業者選定に関する文書、大任町が過去5年間に発注した工事の入札結果表、大任町汚泥再生処理センター整備事業(事業費:約90億円)及びごみ処理施設整備事業(事業費:約220億円)の関連文書だった。
請求の翌日となる6月15日、自民党国会議員の事務所からハンターの記者に電話。用件は、記者が両自治体に開示請求を行ったことや請求内容の詳細を示した上での、「なかったことにして下さい」という請求取り下げの要請だった。
記者は、田川市と大任町の“誰か”が守秘義務違反を犯したことを指摘した上で要請を拒否。逆に、「請求した文書を、当たり前の方法で、当たり前に開示するよう伝えて下さい」と申し入れていた。
別の方向にも情報漏洩が行われたのは確かで、6月15日~17日の段階で、指定暴力団の関係者がハンターの情報公開請求を知っていたという情報がある。
両自治体に情報公開請求した案件のうち、田川市が実施したごみ収集運搬事業者を決めるプロポーザルには、提案評価の段階で採点に不正があった可能性が浮上。大任町は、発注工事の検証を拒否するための非開示決定を繰り返したあげく、最終的には町の情報公開条例を改悪して町外からの請求を拒む内容に変えている。
唯一まともな情報開示が行われた永原町長と二場市長の選挙運動費用収支報告書にしても、その内容には不記載や虚偽があった可能性が高い。永原氏の選挙に関しては、事後買収の疑いがあるコロナ禍でのエロ宴会が発覚。二場市長にも、後援会活動にかかった実際の支出と収入を隠して政治資金収支報告書に虚偽の記載を行っていた疑いが出ている。
取材対象となった両自治体の発注事業は疑惑まみれ、公選法や政治資金資金規正法を無視したデタラメな活動実態――。探られたくなかった案件に手をのばしたハンターによる一連の開示請求を、「なかったこと」にするための守秘義務違反であったことは疑う余地がない。
地方公務員法は、(秘密を守る義務)として第34条で『職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする』と規定、違反した場合は『1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処す』と定めている。証拠も証言もそろっており、守秘義務違反での刑事告発も視野に取材を進めている。