緊迫する大石長崎県知事の周辺|「政治とカネ」、次々浮上 

「切迫しています。知事はぴりぴりしており、声をかけるのも、ちょっと……」――人目を気にしながらそう小声で話すのは長崎県庁の幹部だ。2020年の長崎県知事選挙をめぐって、長崎地検が捜査に着手していることはこれまで報じた通り(既報)。記事を配信した直後、A県議が「誰かが大量にコピーして、県議会中にもかかわらず配りまくっていました」とSNSで送信してくれた。実は、その捜査が大詰めに入ってきたようだ。

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長崎地検が狙っているのは、大石賢吾知事の選挙資金に関する内容だとされ、元東京地検特捜部の郷原信郎弁護士と神戸学院大学の上脇博之教授が、選挙コンサルタントの費用の問題を刑事告発していた。

さらに取材したところ、長崎地検から事情聴取を受けた県議だけで10人近くに上っており、秘書、そして県内の別の首長までが呼び出されたという。次に長崎地検が事情聴取するとみられるのが、山本啓介参議院議員だ。

山本氏は知事選当時、自民党県連幹事長の県議として大石陣営の戦いにかかわった。ある県議は「長崎地検が事情聴取しているが、すべてのカネの流れを知っているのは山本さんしかいないと、他の県議も答えているようだ」と言う。大手メディアの検察担当記者が次のように話す。
「山本氏の事情聴取なのか、それともXデーなのか判然としないが、最短で28日金曜日ではないかと噂になっている。すでに長崎地検の3席検事などが上京し、取り調べの準備をしていると聞いています」

捜査の動きを察知しているらしく、参議院議員会館にある山本氏の部屋の前に行くと、すでに先着の記者たちがいた。そんな中、知事選挙をめぐって新たな疑惑が浮上している。

大石知事の政治団体「大石けんご後援会」が2022年の政治資金収支報告書で、ごうまなみ県議の政治団体「ごうまなみ後援会」から286万円を借り入れたというのだ。たしかに、大石知事側、ごう県議側双方の政治資金収支報告書には、長崎県知事選投票日の2日前、2022年2月18日に286万円を貸借したとの記載がある。

そして、同年12月26日に大石知事から、ごう県議の政治団体に286万円を返済し、73,106円が《貸付利息》として計上されている。

さらに調べると、ごう県議の政党支部「自民党長崎県長崎市第8選挙区支部」から「ごうまなみ後援会」へ、同年2月18日に同額の286万円が《寄付・交付金》名目で資金移動していることもわかった。

問題は複数ある。まず、ごう県議が政党交付金を使う形で大石知事に貸し付けを行った点だ。自民党のベテラン秘書に聞くと「国会議員の場合、支部には政党交付金が年4回支給されます。原資はもちろん税金です。地方議員も同様で、長崎県議なら自民党長崎県連から各支部に政党交付金が支給されます」という。

ごう県議側の収支報告書の記載が事実なら、税金を原資とする政党交付金を大石知事に貸し付けた可能性が浮上する。また、ごう県議が政党支部から自身の政治団体に迂回させていることも問題だ。

大石知事はごう県議側に返済する際、73,106円の貸付利息も合わせて入金している。政治団体には非課税の「特権」がある。ごう県議側は、大石知事側から貸付金利という「利益」を得ていることになる。

6月24日の長崎県議会、田中愛国議員が286万円の借入金について、大石知事に「政治倫理上、大変問題があるのではないか」と質問した。大石知事は「選挙コンサルタントから会計処理する提案を受けた。違法性がないと確認して貸し付け処理を了承した。迂回寄付でも税法上問題ないが、節税の抜け穴、有権者、納税者の理解がえられないと反省している」と述べている。

さらに大石知事は、県議会の質問が行われた24日、《長崎県議会議員後援会から大石賢吾後援会への286万円の貸付の経緯》という書面をプレスリリース。286万円の貸付に使用された銀行通帳などの画像も公開した。振り込みは22年2月7日から18日にかけて、9回に分けられ、送金されるという不自然な動きだった。

書面には、《選挙コンサルタントの誤った指導》によっての政治資金収支報告書に記載したと書かれている。何が誤っていたのか。大石知事側とごう県議側は、選挙コンサルタントの指導で、問題の286万円が貸し借りだとして22年2月18日付の「金銭消費貸借契約」を同年12月16日にバックデートして一度は作成。外部監査で処理方法に問題だと指摘を受け、今度は《確認書》を作成。286万円を寄附扱いにして、貸付金利についてはごう県議側から大石知事側に戻された。

《確認書》の日付を見ると今年6月17日。おまけに公証人役場の印鑑まである。「大石知事はハンターの記事を見てうろたえたと聞きました。ハンターが鹿児島県警の問題で大きく脚光を浴びていることで、より記事の効果があったもようで『ハンターに内部告発があったのか』とも噂されていた。ごう県議はすでに長崎地検の事情聴取も受けているようで、大石知事との貸し借りを詰められたのではないしょうか。6月17日は長崎県議会6月定例会の初日。なんとかそれまでに恰好をつけたいとの意向だったようです。しかし、県議会の質問で実態を暴露され、プレスリリースの公表になったと思います」(前出・長崎県庁の幹部)

大石知事が県議会や書面でも明かしている「選挙コンサルタント」というのは、すでに郷原弁護士らが刑事告発している「大濱﨑卓真氏」のこととみられる。東京都内の大濱﨑氏の自宅周辺には、「Xデー」に向けてかメディアの記者が張り込んでいる。あるメディアの記者は「家から出てきた大濱﨑氏に話を聞こうとしたら、スマホで動画を撮り始めた。ご自身はマスコミのコメンテーターなどをしているくせに、都合は悪くなるとこういう行動をとるというのは、まさに暴挙ともいえますよ」と不満そうに語る。

大濱﨑氏のSNSには《論座(朝日新聞社) 筆者》《Yahoo!ニュースにも緊急寄稿》とある。大石知事から「誤り」を指摘されている以上、あまりに情けない対応といえるだろう。

長崎地検の捜査は着々と迫っている。「事情聴取された県議の一人は『携帯電話も検察にとられ、丸裸にされている。一網打尽、みんなやられる』と泣きそうに言っていました。次の知事を探したほうがいいんじゃないか」(前出・A県議)

 

 

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