コロナワクチン開発失敗で問われる吉村大阪府知事の責任|囁かれる株価操作への疑念 

大阪の創薬ベンチャー企業「アンジェス」(大阪府)は今月月5日、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて実施した治験で効果が得られず、最終治験を取りやめると発表した。開発に失敗したということだ。

アンジェスのホームページなどによれば、大阪大学の森下竜一教授が中心となってアンジェスが開発していた新型コロナウイルスのワクチンは昨年6月から治験を実施。参加した560人分のデータを解析したところ、すでに接種されているファイザー、モデルナ製のワクチンより効き目がなく、有効ではないことが判明したという。赤っ恥をかいたのが、大阪府の吉村洋文知事である。

■アンジェスの社名を挙げてPRしてきたが・・・

知事はこれまでの記者会見で、「日本初、大阪産コロナワクチン」、「今年春から秋には国産ワクチンとして接種」と「アンジェス」の社名まで上げて、大々的にPRしてきた。

昨年4月、大阪府と大阪市は、アンジェスと新型コロナウイルスのワクチンを共同研究している大阪大学などと<新型コロナウイルス感染症にかかる予防ワクチン・治療薬等の研究開発に係る連携に関する協定>と題した協定を締結。5月20日の記者会見では、パナソニックから新型コロナウイルスのワクチン開発に大阪府に寄付された2億円のうち、1億5千万円を大阪大学に割り当てたことを公表し、「まず大阪大学においては、DNAワクチンの開発を今進めています。これは7月に現実に、動物実験はやっていますから、7月からは現実に治験として人に打つ、そういったことを開始していく予定です。10月には対象者を拡大した治験というのもやっていく予定です」と説明していた。

さらに、6月17日の記者会見ではより踏み込んで、「日本産、そして大阪産の新型コロナのワクチンの開発をこの間進めてまいりましたが、6月30日、今月末に人への投与、治験を実施いたします。これは全国で初になると思います」、「今、大阪大学の森下教授が中心になって進められているワクチンです。これはDNAワクチンと申しまして、そのDNAを組み込んだワクチン、非常に安全な部類に入ります」とぶち上げた。

11月の記者会見では「大阪産ワクチンは安全性重視。日本人にあったワクチンになります。これができればゲームチェンジャーになると思っている」――吉村氏は専門家でもないのに、アンジェス製ワクチンの安全性にまでお墨付きを与える始末だった。

しかし、今年になって日本でワクチン接種が開始され、提供されたのはファイザーやモデルナ製など海外のものばかり。今年10月にアンジェスのホームページに掲載された株主の意見内容から開発経過を読み解くと、<弊社のDNAワクチンは、早く製造できるなどの利点がある、と思っていましたが、投与量を上げながら臨床試験を繰り返している結果、当初の見込みより遅れているのが現状でございます>、<ファイザー社やモデルナ社のワクチンは想定以上の効果があり、それを受けて、当社のDNAワクチンの効能を上げるべく、投与量を上げながら臨床試験を繰り返している結果、開発の期間が延長されたということになります>などと株主からも開発のスピードが遅いことを指摘されていた。

それでも、今年11月6日の記者会見で吉村知事は、「11月から、このワクチンについて、第3相のワクチンの治験に入るということは聞いています。ですので、その大規模、第3相ですから、大規模ワクチンがこの冬にかけて行われることになるというふうに思ってます」と開発が順調に進んでいるような発言をしていた。

しかし、国の資料によれば、会見3日前の11月3日段階における2回目のワクチン接種率は68.64%。今ごろ治験をやっていても、とても先行するファイザーやモデルナ社に追いつくことができない数字だったことが分かる。

大阪府の幹部が、苦々しい表情でこう語る。
「アンジェス、森下氏の開発断念はショックです。大阪府や吉村知事があれほど肩入れしていたのにダメだったわけですから。府庁内部からも、(大阪府からの)1億5千万円はどぶに捨てたようなものだとの声が出ています」

■株価操作への疑念

問題はそれだけにとどまらない。アンジェスは東証マザーズの上場企業だが、新型コロナウイルスが流行する前の2019年12月頃の株価は600円台後半。それが、新型コロナウイルスが猛威をふるい、昨年4月にワクチン開発を大阪府が後押しすると発表してからは株価が急騰する。

前述の協定を締結した後の4月23日には1,000円台を突破し、吉村知事が記者会見した5月20日には終値が1,565円に。同社の株価はさらに上昇を続け、翌21日には一気に1,758円、26日には2,136円にまで値を上げた。

6月17日、吉村氏が会見で森下教授の名前を出したところ、さらに株価は上昇。18日には2,324円にまで急上昇していた。

だが、市場はなかなか開発が進まないアンジェスのワクチンに嫌気をさしたのか、今年11月5日の株価は507円にまで落ち込んでいる。

今回の「開発断念」の発表があってから初めての取引日となった11月8日、アンジェスの株は朝から売られて値がつかない状態で、終値は年初来安値となる407円だった。

2020年9月、ハンターで<維新・吉村大阪府知事「ポピドンヨード発言」の裏話>という記事を配信した。吉村氏が大阪市の松井一郎市長と記者会見し、「ウソみたいな本当の話をさせていただく」と切り出し、うがい薬イソジンの「ポピドンヨード」がコロナに効くと述べた際のことだ。すると、店頭からうがい薬が消えて品薄になり、必要な人に届かないという状況になった。その時も、うがい薬の有力メーカー明治ホールディングスや塩野義製薬の株価が急上昇。慌てた吉村氏が火消しに走ったところ今度は株価が急落し、株式市場まで混乱に陥れるという事態を招いていた。

アンジェス製ワクチンの開発話も、ポピドンヨードと同様の構図だ。裏付けが不十分なまま、コロナワクチンへの期待や希望を語ったために、投資家を翻弄してしまったのだ。前回の失敗についてまったく反省なしに暴走した点、よりタチが悪いと言えるだろう。

にもかかわらず吉村知事は、新型コロナウイルスの経口薬を開発中の塩野義製薬について、またしても記者会見で社名をあげている。実は、アンジェスの有価証券報告書などから塩野義製薬が大株主であることがわかっており、前出の大阪府幹部が懸念を示す。
「塩野義製薬は、一時的であるにせよ、アンジェスの株で儲けたのではないでしょうか。ただ、これほど株価が下がると、今は逆に損をしていることになる。知事は塩野義製薬に損を取り戻させようと、わざと会見で名前をあげているのではないでしょうか。塩野義製薬と裏でつながっているんじゃないかと疑念を持つ職員までいます」(前出・大阪府幹部)

 

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