【久留米市長選】副議長辞任の十中氏に福岡県議会が異例の「非難決議」

現職・大久保勉市長の再選不出馬を受け来年1月に予定される久留米市長選挙。自民党所属の原口新五久留米市議と十中大雅県議のが立候補を表明し、保守分裂が確実視される状況だ。

問題は、十中氏が県議会副議長という要職にあったこと。議会側に相談することなく、正式な手続きを待たずに市長選出馬を表明したため県政が混乱。秋田章二県会議長はもちろん議会全体が身勝手な副議長の行動に激怒し、顛末を暴露した上で十中氏を厳しく非難する「決議」を出すという、前代未聞の騒ぎに発展している。

◇  ◇  ◇

論より証拠、下が県議会議長自ら発出した「十中副議長辞職問題の経緯について」とする文書だ。11月10日に十中氏が久留米市長選に立候補する意向であることが報道されたことから、慌てた議長が視察を切り上げて帰福し、十中氏と面談した時点からの一部始終が記されている。

 県議会の代表者会議で副議長辞任の経緯を説明するよう求めたが十中氏がこれを無視したこと、さらには議長の十中氏宅訪問が空振りに終わったことまで記されている。こうした経緯を踏まえて出されたのが、下の「十中副議長辞職問題について」とする11月24日付けの議長声明だ。

議長に事故があれば、副議長が代わって議会運営の指揮を執る。その副議長が勝手に辞任して不在ということになれば、県議会の開催ができなくなる――議会人ならずとも理解できる話を、十中氏が無視したことへの怒りは凄まじく、一カ月前(10月5日)に開かれた副議長就任祝賀会にまで言及し、「無責任」「許し難い行為」「裏切り行為」と強い言葉を重ねて非難していた。

議長声明には前掲の「十中副議長辞職問題の経緯について」の他、十中氏にあてたメッセージ(下の文書)まで添付されており、議長による情理を尽くした説得工作の経緯をすべて明かした形となっている。

 1日、十中氏への説得が不調に終わったことを受け、県議会はついに異例の決議を行い、同日付けでホームページに掲載した。

十中大雅副議長は、秋田章二議長はじめ当議会各会派の代表者等に何ら事前の相談も説明もないままに、去る11月16日、突然、久留米市内で記者会見を開き、来年1月に行われる久留米市長選挙に立候補すると表明した。さらに十中副議長の議員並びに副議長の辞職願は、秋田議長が公務出張で不在であった15日に議会事務局に預けられ、16 日には重ねて内容証明付きで郵送されるという異例かつ不誠実な形で提出されたものであった。秋田議長がようやく辞職願の内容を確認できたのは公務出張終了後の19日であったが、十中副議長は、職務上、当然、このような秋田議長の公務日程を熟知していたはずである。また、この辞職願には、福岡県議会会議規則(昭和31 年9月17日議決)に反する不備があり、記載された辞職理由も副議長という要職に照らし不明確なものであった。

議員の辞職及び副議長の辞職は議会の許可を要するのが原則であり、特に、議会で選挙され、議会運営の重責を議長とともに託された副議長の職をわずか9 月定例会の1会期務めただけで唐突に辞するのであれば、選任した議会に対し、辞職の正当な理由を説明し、その理解を求めるという説明責任も、また副議長の職責であることを自覚するべきである。

また、副議長が辞職し、不在となれば、12月定例会は、議長に事故あるときは審議ができなくなるため、新たな副議長の選任が不可欠となる。このため、選挙日程の追加等により、災害対策、経済対策、コロナ禍関連予算など重要議案の審議に多大な支障が生じることは明白である。副議長の職務は、円滑な議会運営を図ることにあり、また、辞職の許可があるまではその職務を遂行する責務を有することを決して忘れず、議会運営の混乱回避のために最大限の努力を尽くすべきである。

しかるに、代表者会議に出席し、説明責任と副議長の職責を果たすよう求める秋田議長の再三の要請にも関わらず、結局、十中副議長の出席はなく、残念ながら、今後もその職責が果たされることは期待できない。

よって、本県議会は、議会審議の責任を果たすために十中大雅副議長の辞職を許可し、新たな副議長を選挙せざるを得ないとしても、十中副議長の道義的、政治的責任を明確にし、もって県民の本県議会への信頼を確保するため、その職責放棄に抗議し、これを非難するものである。

以上、決議する。

  令和3年12月1日

選挙に出る自由は誰にでもある。しかし、十中氏は県議会副議長。久留米市長選への出馬を表明する1か月前には会費2万円の政治資金パーティー「十中大雅副議長就任祝賀会」を開き、千万円単位のカネを集めている。県議会や県民に対し、まずは副議長辞任についての理解を求めるのが筋だったろう。自分の市長選出馬を優先し、県民の代表が集う「議会」を無視した人間に政治家を名乗る資格はあるまい。

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