不正随契の兵庫県立淡路医療センターに重大疑惑(1)|「入札あった」と仰天情報

淡路島の公立中核病院「兵庫県立淡路医療センター」で行われた物品の不正調達は、30台のノートパソコンを、方針決裁を得ぬまま納品させるという乱暴な手口だった。実際の決裁は、納品から16日後という公的機関の調達では考えられない事後承諾。県立病院を所管する兵庫県病院局経営課も「不正調達」を認め、調査に入るとしている。

医療の最前線で行われた前代未聞の物品調達は、新型コロナウイルスの感染拡大を理由にした悪質なもの。「単なるミス」では、もちろんない。しかし最大の問題はここからで、淡路医療センターのパソコン調達を巡って、とんでもない情報が飛び込んでくる。

■疑惑の随意契約

確認しておきたいのは、問題となっているノートパソコン30台の調達が、「随意契約」によって行われたということ。県への情報公開請求で入手した決裁文書を再掲するが、随意契約の理由が綴られているのがわかる。

 令和2年度から3年度にかけて淡路医療センターが行った医療機器と薬品を除く調達の契約は5件。そのいずれもが随契で、パソコン購入はそのうちの1件だ。実は問題のパソコン購入の決裁文書だけが異質で、用紙は「兵庫県立淡路医療センター」のもの、他の調達の決栽は「兵庫県」の様式に従っていた。下は、兵庫県様式による3件の決裁文書である。

随契の根拠も違っており、パソコン購入契約だけが「地方公営企業法施行令」であるのに対し、他の契約はすべて「県立病院随意契約取扱要領」。兵庫県の様式を使った他の4件の決済には「契約書」あるいは「請書」が添付されていたが、パソコン調達においては、決裁時に最も重要であるはずの「契約書」が添付さられていなかった。情報公開でも不存在となっていることから、契約書は作成されていないものとみられる。病院とはいえ、役所の出先で、契約書なしの物品購入が容認されるはずがない。

さらに、パソコン調達の決裁文書には他の決裁書にある「検査員」についての記述もないことから、“本当にパソコンを購入したのか”という疑念も生じる。すべてが怪しいということだ。

■「入札実施」の仰天情報

では、パソコン調達は、本当に随意契約にしなければならない状況だったのか――?淡路島周辺で話を聞く中、複数の関係者からとんでもない話が飛び出した。「入札に参加した会社がある」というのである。

取材を進めてたどり着いたある業者は、随契の決裁文書を見て息をのんだ。「そんなばかな。うちは入札通知を受け、指示通りに入札書を郵送したんです。入札結果も知らされました。随契であるわけがない」――。

その業者は病院側を信じたかったのだろう。何度聞いても詳しい話はできないという。記者はやむなく、淡路医療センターの情報公開担当職員に確認を求めた。

(つづく)

 

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