郡医師会長、わいせつ事案「よくあること」「人騒がせ」|鹿児島県医師会に問われる規範意識(4)

 新型コロナウイルス感染者の療養施設として鹿児島県が提供したホテルなどで県医師会の男性職員が女性スタッフに不適切な性的行為をしていた問題を巡り、先月開かれた医師会内部の会議で同会の幹部が、「よくあること」「話題になったのは一瞬」「あまり大きな問題ではない」などと事件を過少評価する発言を行っていたことが分かった。

 県医師会の池田琢哉会長や常務理事が主張している「合意に基づく性行為」に沿った発言で、療養中だった患者や「被害」を訴えている女性スタッフへの配慮は皆無。責任を軽くしようと目論む県医師会上層部の、歪んだ姿勢を象徴する事実と言えそうだ。

◇   ◇   ◇

 問題の発言が飛び出したのは、先月22日に開かれた県医師会の「郡市医師会長連絡協議会」の席上。発言したのは大島郡医師会の会長だった。会議の中で同氏は、池田会長の「(男性職員によると)昨年8月下旬から9月上旬にかけて当該医療機関と宿泊療養施設内で複数回行為を行った。そのうち、性交渉が5回で全て合意の基であった」との報告を受ける形で、次のようなことを述べたという。

・「降って湧いたようなことで、非常に驚いた」
・「そういうことは、よくあること」
・「大島郡の医師会がでは、驚いたが一瞬」
・「みんなも似たようないい加減なことを経験している」
・「新聞に出たときも話題にならなかった」
・「いきなり強制性交だと怒鳴り込んでくる〇〇〇(女性スタッフが勤務する法人の代表者)も〇〇〇。人騒がせ」
・「〇〇〇(女性スタッフが勤務する法人の代表者)の行為は、脅迫行為。〇〇〇を告訴」

 発言の中で信頼回復の重要性にも言及したというが、男性職員擁護を続けている池田医師会長や常務理事と同じ考え方に立っていることは明らか。「よくあること」「新聞に出たときも話題にならなかった」との発言からは、事件の矮小化を狙っているとしか思えない県医師会の思惑が透けて見える。

 郡市医師会長連絡協議会での発言内容に間違いはないか――?ハンターの電話取材に答えた大島郡医師会の会長は、「『よくあること』と言ったのは確かだが、それは、その手の問題はよくあること、よろしくない、という意味」と説明、「『人騒がせ』という発言はしてません」と一部を否定している。(*否定された『人騒がせ』という一言については、今後の配信記事の中で事実を明かしていく)

 前後を含めて発言の流れを確認してみたが、大島郡医師会の会長が池田氏や常務理事による男性職員擁護に沿ったものであるのは確か。改めて、県医師会の規範意識が問われる状況だ。

 問題の郡市医師会長連絡協議会の最後には、県医師会を間違った方向に導こうとする池田会長の「指示」が出ることになる。

(つづく)

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