初当選・馳浩石川県知事に向けられる厳しい視線

今月13日に投開票された石川県知事選挙で、自民党の馳浩元文科相が初当選を果たした。

現職最多、7期を務めた谷本正憲知事の後継を争った選挙。昨年7月に馳氏が最初に立候補を表明し、その後、自民党の参議院議員だった山田修二氏と元自民党の金沢市議で現職の金沢市長だった山野之義氏も出馬を表明した。保守系候補が三つ巴になるという異例の展開だった。

■安倍の圧力で劣勢跳ね返し当選

当初、馳氏は山田氏や山野氏にリードされ、劣勢を伝えられていた。情勢調査では、山田氏、山野氏に差をつけられ3番手という時もあったほどだ。自民党安倍派(清和研)のある衆議院議員は、声を潜めてこう話す。
「よく逆転勝利できたなと思う。トップである安部さんが、なりふり構わず『絶対に勝つぞ』と派閥だけでなく党内に大号令をかけていた」

馳氏と山田氏はともに安部派所属の国会議員だった。派閥が割れ、かつ二人とも落選となれば自民党最大派閥のメンツは丸潰れだ。石川県知事選挙には、あまり関心がない安倍氏だったが、馳氏を知事にと目論む石川県が地元の森喜朗元首相に背中を押され、山田氏に「撤退」を求めた。

「安倍氏は山田氏をわざわざ呼んで『困らせるようなことは避けてほしい』『同じ仲間でどうして争うのか』と説得。それでも折れない山田氏に『どうなっても知らないぞ』とまで声を荒げた」(前出の衆院議員)

選挙がはじまると、安倍氏は清和研所属の幹部に石川県に行き、馳氏の応援に入るように厳命。安倍氏の意を受けて、下村博文元政調会長、西村康稔元経済再生相ら幹部が相次いで馳氏のために駆け付けた。

その後、安倍氏の大号令は党内にも響き渡り、小泉進次郎前環境相、河野太郎元防衛相に菅義偉前首相まで馳氏の応援に出向いていた。

安倍氏本人も金沢市の決起集会で馳支援を訴えたが、山田氏も参議院当選2回、政務官や参議院農水委員長を歴任した中堅政治家。自民党内はもちろん、一部の清和研所属議員からも支持されていた。「ところが――」と、山田氏を支持していた石川県議が打ち明ける。
「何人もの大臣経験者らから『応援に行きます』と言われていた。しかし、直前になって『なかったことに』と連絡が入るようになった。それも1度や2度ではなく、何回も。安倍さんらが『山田の応援に行ってはならない』と圧力をかけていたそうです。それでも、こっそり来てくれた議員もいました。すると安倍さんは側近に命じて『山田氏の応援をしてどうするんだ』『自民党は馳でやっている。山田を応援なら裏切りだ』と恫喝してきたそうです。東京で石川県の知事を決めようとしていたのですよ」

2月17日の配信記事で報じたように選挙戦は当初、山田氏が先行して馳氏が追いかけるという構図だった。安倍氏の圧力や大物の応援で、後半になって馳氏に風がふきはじめると、山田氏は「東京の自民党本部で石川の知事を誰にするかとやっている。これでは民主主義は崩壊してしまう。ロシアがウクライナ侵攻しているが、それと同じことが石川県知事選挙でも起こっている。こんなひどいことはない」と嘆いた。

■スキャンダル予想する声も

最後は、馳氏が薄氷を踏む小差の勝利で決着。しかし、選挙期間中から馳氏にはスキャンダルがささやかれていた。

ハンターが独自に入手していたメールなどには、2016年12月18日に馳氏がこう発言したと記されている。<俺の嫁の母はめかけだった。めかけが入る墓がないので、何百万円もかけて建ててやった>

馳氏の妻は、人気タレントの高見恭子さんだ。さすがにまずいと考えた支援者がとがめると――「馳氏から『本当のことを言って、何が悪い!』と突き放されました」

また、2020年4月に地元石川県の施設を視察した時に“10代の少女の腰を両手で左右からさわり、少女はその場から逃げ出した”とセクハラまで告発されている。

「馳氏の行状に怒り心頭だった地元の女性グループは、選挙直前に馳氏への抗議の記者会見まで準備していた。それも圧力があったそうでドタキャン。そういう暗闘もあり、当選しても馳氏には冷たい視線が向けられている。選挙では炸裂しなかった爆弾が飛んでくるかもしれない」(前出・県議会議員)

安倍氏も、当選後まで馳氏の面倒は見ないだろう。馳新知事のお手並み拝見だ。

 

 

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