田川・二場市政「疑惑のプロポーザル」巡り2度目の非開示処分取り消し|闇の解明、市長選の争点に
- 2023/4/12
- 社会
- プロポーザル, 二場公人, 情報公開・個人情報保護審議会, 田川市一般廃棄物(ごみ)収集運搬業務, 疑惑, 福岡県田川市
福岡県田川市(二場公人市長)が2021年5月に実施したごみ収集業者の選定プロポーザルを巡り、受注業者の業務提案書を「非開示」にした市の処分は不当とするハンターの審査請求を受けた田川市情報公開・個人情報保護審議会が、「一部を除いて開示すべき」と答申。市は3月22日付けで非開示処分の大半を取り消す裁決を下し、一部分を残して、これまで隠蔽してきた部分を開示した。
ごみ収集業者のプロポーザルに関する情報公開の審査請求で、「開示すべき」との答申が出たのは、これで2例目。しかし、依然として業者選定の実態を示す重要文書は隠されたままで、議会が設置した百条委員会でも解明されなかった二場市政の疑惑は、今月23日に投開票される田川市長選挙で争点の一つになるとみられている。
■契約書の業者名を黒塗りで隠蔽
疑惑まみれとなっている問題の事業は、「田川市一般廃棄物(ごみ)収集運搬業務委託」。A工区(市内西側の可燃ごみ)、B工区(市内東側の可燃ごみ)、C工区(市内東側の可燃ごみ)に分けて業務委託されているもので、2021年5月にプロポーザル方式での業者選定が行われていた。
選定が実施されたA、B、C三つの工区のうち、A、B両工区で第一位となった「早雲商事」は、何故かA工区の受注を辞退。C工区一位の「クリーン北部九州」も辞退届を出したことで、別々の3社が仕事を分け合う形で契約が結ばれていた。
市はホームページ上でプロポーザルの結果を公表しながら、早雲商事とクリーン北部九州の不可解な受注辞退は非公開。ハンターが同年8月に情報公開請求した3社との契約書のうち、選定下位の繰り上げ契約業者名だけを黒塗り非開示にするという異常な対応で契約実態を隠した。
ハンターは翌月、業者名の非開示を不服として田川市に審査請求。市情報公開・個人情報保護審議会が「開示すべき」と答申したため、市はようやく契約書の黒塗りを解除していた。
その後も市は、プロポーザルの審査委員名、審査の際に個別の事項ごとに点数を書き入れた「個票」など、他の自治体なら当たり前のように開示される文書を非開示にして選考の実態を隠蔽。この間、審査委員を務めた環境対策課(現・環境政策課)の池口芳幸課長が早雲商事のゴルフコンペに参加していたことや、同じく審査委員だった盛坪達人総務部長が同社の代表者と地元高校の同窓生で、飲み会の模様を何度もフェイスブックに投稿していたことが判明している。
市が隠し通そうとしてきたのは、業者選定における評価過程。他の自治体では「開示」が普通となる情報だ。隠蔽が必要だからこそ、理不尽な情報非開示に走ったとみるべきだろう。早雲商事とクリーン北部九州の採点結果に、審査委員を務めた部長と課長が下駄をはかせることで、選定結果が歪められた可能性がある。官製談合の疑いがあるということだ。
■業務提案書、開示されるも不十分
今回、新たに開示されることになったのは、早雲商事とクリーン北部九州の「業務提案書」。プロポーザルに参加した他の業者の提案書がすべてオープンにされる中、業務を受注した2社の提案書だけが非開示にされるという、あり得ない事態となっていた。
一昨年の開示請求では、提案書そのものがゼロ回答の全面非開示。存在そのものを隠すためか、のり弁状態のものさえ出なかった。すると、審査請求を前提に行った数か月後の再請求でほんの一部を開示。この時の非開示決定に対する審査請求で今回の裁決となり、およその提案内容が分かる格好となっている。ただし、非開示部分が残った形で、十分な情報開示とは言い難い。
■疑惑まみれの二場市政に審判迫る
特定業者と市幹部との癒着が明らかなゴミ収集業者選定、二場市長と近い今村寿人市議会議員が専務を務める「里ごころ有限会社」に対する市有地売却を巡る便宜供与、やはり市長派とみられる佐々木允県議が絡んだ地元無視のバイオマス発電建設計画――。いずれも、二場市政が主導してきた疑惑の事業だ。今月16日告示、23日投開票の田川市長選挙で、一連の事業に対する是非が問われることになる。