鹿児島県医師会(池田琢哉会長)の政治組織「鹿児島県医師連盟」(同)が、自民党二階派に入会した三反園訓衆議院議員の資金管理団体「みたぞのさとし後援会三訓会」に行った200万円の献金が、同団体の政治資金収支報告書に記載されていないことが分かった。政治資金規正法上の「不記載」の状態。三訓会の会計責任者に確認しようと議員会館の三反園事務所に取材を申し入れたが、出稿までに連絡はなかった。
■消えた医師連盟の200万円
鹿児島県医師連盟が鹿児島県選挙管理委員会に提出した令和2年度分の政治資金収支報告書によれば、同年4月30日、県医師連盟は当時鹿児島県知事だった三反園氏の資金管理団体「みたぞのさとし後援会三訓会」(以下、三訓会)に対し「200万円」の献金を行っていた。(*下が収支報告書の表紙と支出の該当ページ)
200万円は、鹿児島県医師連盟による同年の政治献金の中では突出した金額。令和2年は、県政トップだった三反園氏が2期目に挑んだ知事選が行われた年で、三反園氏の後援会長を務めていたのが県医師会と県医師連盟の会長を兼ねている池田琢哉氏だったことから、現職知事に対する手厚い資金援助が行われたものとみられる。
一方、献金を受けた三訓会が総務省に提出した令和2年分の政治資金収支報告書を確認したところ、該当する収入の記載はなく、医師会関係は政治団体「川内市医師連盟」から同年6月12日に寄附された50万円だけだった。
県医師連盟から三訓会に渡った200万円の献金は不記載の状態。念のため、三反園陣営が県選管に届け出ているもう一つの支援団体「みたぞのさとし後援会」の令和2年分政治資金収支報告書も確認したが、該当する寄附の記載はなかった。
下は、三訓会が鹿児島医師連盟に発行した200万円の領収書。県医師連盟の政治資金収支報告に間違いがない証拠だ。
では、三訓会の収支報告書に県医師連盟から受けた200万円の寄附の記載がないのは何故か――?11日、三訓会の会計責任者に話を聞こうと、同会の主たる事務所のものとされる電話番号にかけてみたが、呼び出し音が鳴るだけ。やむなく永田町の議員会館にある三反園氏の事務所に取材を申し入れたが、12日夜の出稿時間までに連絡はなかった。
■疑惑の政治資金
「三訓会」の政治資金処理には問題点が多い。問題の令和2年分政治資金収支報告書によれば、同団体がこの年に集めた政治資金は3,035万円。内訳は、150万円が他の政治団体からの寄附で、残り2,885万円が個人からの寄附。個人からの寄附2,885万円のうち330万円は三反園氏個人からのもので、約9割にあたる2,555万円が報告書に記載義務のない5万円以下の「その他の寄附」となっていた。寄附者の確認ができないカネが、2,555万円もあるという、常識では考えられない集金実態だった。(*下が三訓会の政治資金収支報告書の該当ページ。赤い書き込みはハンター編集部)
5万円以下の寄附だけで2,555万円を集めたという記載が事実なら、少なくとも511人が5万円を、金額がまちまちならそれ以上の人が寄附したことになる。政治資金パーティー以外の方法で、これだけ多くの個人から5万円以下の寄附を集める政治家はまずいない。政界関係者の多くが、「虚偽記載」を疑っているのは言うまでもない。