【産廃不法投棄事件】全量撤去の措置命令は「妥当」行政不服審査会

2014年に鹿児島県志布志市の山林で見つかった産業廃棄物の不法投棄事件。
廃石膏ボードを不法投棄した産業廃棄物処理業A社役員らが鹿児島県の行政処分に対し、行政不服審査請求を行ったことで、事態は硬直化していたが、まもなく一定の方向性が示される。

 

志布志の不法投棄事件に関して環境省は審査請求をする

鹿児島県が2017年2月にA社および関係者に求めた廃石膏ボードなどの廃棄物の全量撤去措置命令(行政処分)に対し、A社役員2名が処分を不服とし、「全量撤去は違法」「自らは措置命令対象外」と主張し、行政不服審査請求を行なっていたが、審査庁である環境省は2019年11月審査請求を棄却すべきと諮問。
翌月行政不服審査会も環境省の判断を「妥当」として答申していることがわかった。
環境省はこの答申を踏まえ、審査請求の裁決を行う。

 

A社も鹿児島県も、不法投棄の撤去を含めた今後の対応を、同審査請求の結果を待って考えるとしていただけに、ようやく事態は動きをみせそうだ。A社役員らによる不服申し立てから2年半以上経過していた。その間、鹿児島県はA社に産廃処理を委託した排出事業者約500社に対し、自主撤去を求める説明会などを実施。処理費用を支払い処理委託していた排出事業者からは「納得できない」という声が上がっていた。

 

行政審査会の答申に対し、A社と鹿児島県は同様に「最終的な裁決が届くまでは今後の対応についてはコメントできない」としている。排出事業者の1社は「ずいぶん待たされたが、ようやく動くことで先が見えてきた。とはいえ、問題解決までまだまだ道のりは長く、頭が痛い」と話している。

事件の概要とその後

事件が発覚したのは2014年8月。鹿児島県志布志市の山林に廃石膏ボード100tあまりを不法投棄したとして、谷山達男容疑者(当時)が廃棄物処理法違反の疑いで逮捕された。
石膏ボードは砕かれた状態で、80の袋に分けて埋められており、A社から運ばれてきたものだった。谷山氏への聴取でわかったのが、A社から鹿児島県へ搬出された不法投棄の期間と量で、12年5月から14年8月までの約2年3カ月で、鹿児島県志布志市内の山中2カ所に、合わせて8,500m3が埋められていた。

 

谷山氏が逮捕されて起訴、判決確定後、17年2月、鹿児島県はA社に対して全量撤去の措置命令を出したが、A社は不服申し立てを理由に応じなかった。
18年3月、措置命令の履行期限が過ぎ、鹿児島県は責任の所在を排出事業者に移した。
鹿児島県は排出事業者を特定し、搬入量などをヒアリング。これを基に排出事業者リストを作成し、18年7月、排出事業者に自主撤去を求める説明会を実施。撤去方法を提案し、排出事業者からアンケートによる回答を得ていた。

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