福岡市、道路清掃業務委託で業者と癒着か

“「散水車」と明記された車両が11時台にフルスピードで走っていたが、一体どんな仕事ぶりなのか”――1通の読者メールに興味を抱いたハンターの記者が取材を重ねたところ、ある業者の道路清掃業務における不適切な作業実態が判明。不正事案を調査したという市側の対応や情報公開請求で入手した文書から、『市役所と業者の癒着』を疑わざるを得ない経過があったことが分かった。

「調査したが問題はなかった」と結論付けた市環境局の担当課が作成していた、“不適切作業”を証明する文書を検証する。

■福岡市が業務委託する「道路清掃」とは

福岡市は、市内の主要な道路約370キロの清掃業務を民間企業に委託しており、仕様書ではロードスイーパー(清掃車)・散水車・ダンプの3台を1セットとし、ダンプ車の作業員は、ほうきやかごにより人力でごみを収集し、荷台に積み込んで可燃物工場や資源化センターに運ぶ。

ダンプと散水車が先行し、ロードスイーパーが仕上げを行うというのが一般的な手順で、各車両の運転手3名の他、別に3人の歩道掃き出し人員を充てることが義務付けられている。

各コースとも1日に20キロから30キロを走行することになるため、作業員にとっては大変な仕事。しかも、車両を降りて掃き出しを行うため、コースに応じて決められた『午前5時から午後1時までの8時間』・『午後9時から午前5時までの8時間』という作業時間は、かなり厳しい制約といえるだろう。

市内の幹線道路は車両の通行量も多いが、人の行き来も激しい。当然、歩道上のゴミは毎日発生する。作業時間は、どれだけあっても足りないはずだ。しかし……。

■作業、たったの「3時間」で帰社

下は、ハンターから道路清掃業務に疑念があることを指摘された市環境局が、業務の実態調査を実施した結果を記した「道路清掃業務委託 受託業者の業務の履行状況及び評価について」の一部分である。調査対象となったのは、道路清掃業務を受託している福岡市の2社。本稿では、作業実態を「良好」と評価された業者をB社、「良好とは評価しない」とされた業者をA社と表記する。「良好とは評価しない」は、つまり“不良”と書き変えることも可能だ。

A社の仕事ぶりについて市は、「良好とは評価しない」としながらと矛盾する記述を残していた。そして何故か、良好でない仕事を行っているA社を「次年度の見積合わせへの参加は可能とする」という辻褄の合わない結論だ。不可解な評価には、見積合わせへの参加を結論付ける狙いがあったとしか思えない。

さらに読み進むと、「業務の不履行等は認められない」という記述自体が、市側が確認した作業実態とかけ離れたものであることが分かる。

『散水車やダンプ車の作業時間が概ね3時間程度であり、中には作業時間が極端に短い場合が散見される状況であった』――。走行ルートすべてで車を降りての作業を行うわけではないのだが、市の調査結果にもある通り、掃き出しは「作業員が歩いて作業を行うこと」が前提だ。1回の出動で割り当てられた道路の距離は数十キロ。市の調査で判明した「3時間」で帰社できるはずがない。しかも文書にある「3時間」は、すべてを作業に充てたものではなかった可能性が高い。

■「3時間」じつは「2時間」の可能性

ハンターは昨年、A、B両社の車両を何度も追跡して、作業実態の確認を行った。作業時間が『午後9時から午前5時まで』のコースなら、A社の場合は、まず8時半前後に会社からダンプと散水車がそろって出発。9時を回る頃にロードスイーパーが会社を後にしていた。作業のスタート地点に到着するまでには、数十分を有することがほとんどだった。

市の文書にある「作業時間が概ね3時間」の起点が何時で、帰社が何時なのか判然としないが、出発から帰社までをカウントした結果なら、かなり下駄をはかせた数字ということになる。

じつは、早帰りの実態を、ハンターの記者がつかんでいた。追跡取材中の記者が、夜11時台に猛スピードで走るA社の散水車に遭遇。午前0時前に帰社するところを現認していたのである。この日の散水車の実働は、3時間未満だったということだ。そうでなければ、午前0時前には帰れない。市の調査結果にある「3時間」は極めて怪しい内容で、3時間が本当は実働2時間程度だったとしたら、「業務の不履行等は認められない」とする市環境局の評価は、かなりうさん臭いものとなる。

疑惑の核心は、ここからだ。市が開示した前掲の文書によれば、いわゆる“早帰り”が「散見」されたという。「散見」とは、ちらほら見あたること。何度か早帰りがあったが、たまたまそういうケースがある程度だったため、「業務の不履行等は認められない」という結論になったということだ。しかし、この市環境局の文書の記述は、本来なら処分に及ぶべき“クロ”の事案を、無理やり“グレー”程度に止め、再委託への道を残した不正の証でしかない。次稿で、市環境局が残した「散見」の実態を示す文書を検証する。

(つづく)

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