新型コロナウイルスの感染者が急増した鹿児島県で、三反園訓知事の対応のまずさに批判の声が上がる事態となっている。
同県では、今月1日に40代女性の感染が確認された後、2日に8人、3日には30人と急拡大。県内一の繁華街・天文館にあるニューハーフバー「NEWおだまLee男爵」でクラスターが発生したとみられており、感染者は枕崎市、指宿市、霧島市、志布志市、伊佐市など全県に広がった形となっている。
ところが、早い時間から事実関係の確認に動いていたという各自治体に県から情報がもたらされたのは、三反園知事が会見を開いて感染状況を発表した午後7時半以降。独自ルートで感染者の確認を行った自治体もあったとされ、関係者からは県の対応の鈍さを指摘する声が上がる。
ある自治体関係者の話。
「予算を盾に首長に選挙運動するよう強要する知事のことだから、言うことを聞かない市町村より、自分のパフォーマンスが先ということなんだろう。こっちは昼から情報収集に苦労していたというのに、県はなかなか詳しい感染状況を知らせてこなかった。先日まで感染者が11人で止まっていたから、甘く考えて十分な態勢がとれていなかったとしか思えない。危機管理ができていない証拠だ」
■またしても東京から政治家
こうした中、選挙向けに東京から政治家を招いて「集会」を開いた三反園陣営の姿勢にも、厳しい視線が向けられている。
同陣営は3日、2016年に大臣室で業者から50万円を受け取ったとして経済財政担当相を辞任した甘利明衆院議員を招いて建設業界の集会を開催。甘利氏が知事選で自民党と公明党が推薦している三反園氏の支援を求めるという、いわゆる「締め付け」(建設業関係者)だったという。
東京では1日から連日100人を超える新型コロナの感染者が出ており、第二波を心配する声が上がる状況だ。選挙戦の最中とはいえ感染拡大中の鹿児島に、もっと大変なことになっている東京から政治家を呼んで「三密」になりかねない集会を開く神経は理解できない。
緊急事態宣言の発令中だった5月9日、県境を越えての移動を自粛するよう訴えていた三反園氏が、鹿児島市内で行った後援会事務所開きに東京から森山裕県連会長と野村哲郎参院議員を招いていたことが発覚。「自粛要請」の張本人と、その男を推薦した自民党の議員が守るべきルールを破っていたとして、厳しい批判に晒されていた。自粛が解除されているとはいえ、鹿児島での事態がより悪化しているのは誰の目にも明らか。三反園陣営は、まったく懲りていなかったということだろう。(*参照記事⇒「三反園知事陣営が重大なルール違反 森山国対委員長ら県境超えて事務所開き参加」)