福岡県宗像市の建設会社「大島産業」が、中日本高速道路(NEXCO中日本)から受注した跨道橋(こどうきょう)の耐震補強工事で強度確保に必要な鉄筋8本を使わずに、手抜き工事を行っていたことが発覚した。「施工ミス」で済まされるような軽い話ではない。
地元選出の国会議員も絡んだ疑惑に発展しているが、滑稽なことに、重大な違反工事を行った同社が、国土交通省から「工事成績優秀企業」として認定を受けていたことが分かった。
■調査後、認定取り消しも
国土交通省九州地方整備局は、今年7月「令和2年度工事成績評定企業ランキング」を公表し、「工事成績優秀企業」を認定した。
同ランキングは、民間事業者の技術力の向上を図ることなどを目的として毎年発表されているもので、過去2年間に完成した工事成績の点数が平均80点以上となった企業が「工事成績優秀企業」の認定を受ける仕組みだ。令和2年度は126社が認定を受けている。
認定された企業は1年間、工事成績優秀企業として認定マークを使用することができる他、中間技術検査の減免や総合評価方式での入札で加点されるなどの措置を受けることが可能となる。
大島産業は平均評定点80点を獲得し、工事成績優秀企業に認定されていた。
今回の問題発覚を受けて、「優秀」とお墨付きを与えていた九州地方整備局は、過去10年間に同社が施工した耐震補強やコンクリート工事について配筋状態を確認するとしている。
法令遵守違反など不適切な行為が発覚した場合は認定自体が無効となる規定になっており、今後の調査により取り消しとなる可能性もある。
NEXCO中日本の発表を受け、大島産業に耐震補強やコンクリート工事を発注した実績のある西日本高速道路(NEXCO西日本)や九州地方整備局、さらには福岡県なども調査に乗り出している。
(東城洋平)