「動画の人」中本隆志広島県議会議長に噂される口利き疑惑

昨日、岸田文雄首相のお膝元、自民党広島県連ナンバー2の会長代行という要職を兼務する中本隆志県議会議長が登場する“疑惑”の動画について報じた。ラブホテル前で落ち着きなくうろつく姿は、とても県政のボスとは思えないものだ。議長として「信頼」という言葉を繰り返してきた中本氏だが、現在、それを揺るがす“口利き疑惑”が浮上しているという。

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広島県は、休日や夜間でも精神疾患の救急対応が可能な救急医療センターを1か所だけ指定している。詳細は《広島県精神科救急医療システム整備事業実施要項》で定められ、現在は広島市安芸区の精神科病院に救急医療センターが設置されている。

「毎年、指定している病院の継続を審査する会合があります。それを前に、中本議長が急に動きはじめて、担当部局がざわついています」と話すのは広島県庁の幹部だ。取材したところ、現在の指定されているのはA病院。「ところが」と県の関係者が声を潜める。
「広島市のZ病院に変更せよという“天の声”が降ってきたんです。発しているのは中本議長だそうで、担当局のトップが圧力をかけられているようです。担当部局の責任者は東京の役所から来ており、『地方ではこんなことがあるのか』と対応に苦慮していると聞いています。実はこの口利き疑惑、県庁内で公然と語られているんです

「広島のドン」からの“天の声”とあれば、幹部職員も無視はできない。しかしZ病院側には、指定されない相応の理由があるそうで、問題はさらに複雑化しているという。

指定を受けるには《広島県精神科救急医療システム整備事業実施要項》をクリアしなければならない。中身は詳細で、A4サイズの用紙5枚分にものぼる。これ以外にも、細かな点をクリアし、運営委員会でチェックを受けて指定へという運びになる。

「救急医療ですから、夜間や休日の診療実績の数字、診療報酬の請求、病床の使用率、コンプライアンスなど様々な数字や要件が加味されていきます」(前出・広島県の関係者)

例えばコンプライアンスの面で見ると、Z病院では2010年春、看護師が認知症で入院している患者の財布からキャッシュカードを盗み、承諾なくATMから120万円を窃取したことが露見し事件化。当該看護師の有罪判決が確定している。

2016年には、広島県労働委員会がZ病院を運営する医療法人に対して不当労働行為を認める命令書を発出。それを巡る訴訟では、裁判所がZ病院側に損害賠償するよう命じていた。それでもなお、中本氏のZ病院「推し」が続いているという。

さらに調べてみたところ、中本氏とZ病院の幹部は、広島市内にある高校の先輩と後輩の間柄。また、Z病院はかつて、看護師の能勢和子氏を自民党衆議院議員として国会に送り込んでいた。地元関係者は「Z病院は政界の事情、人脈にも精通している」と指摘する。

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一方、中本氏は他の事案でも強引さを発揮している。

2020年、山口県は県議会議長の公用車に2,090万円もする高級車「センチュリー」を購入。市民から裁判で訴えられるほどの問題となった。広島県議会でも同じ年、議長公用車に1,830万円を費やしてセンチュリーを購入し、県民から批判があがっていた。

また、昨年春の広島県議選後には、世界的な金価格の上昇を理由に14金製の議員バッジの作成費用が1個44,000円と高額になったことが判明したが、全国の地方議会で見直しの機運が高まる中、中本氏は現職議員含めて、県議64人全員にバッジを配布した。2023年7月4日の中国新聞は次のように報じている。

一部の県議から14金製をやめるよう声が出ていることについて、中本氏は「高いとか安いとか何を観点に言っているのか」と反発。「値段じゃない。バッジを着け、誇らしい議員として活動してくださいという意味合いだ」と必要性を強調した

県議会での検討や論議もないまま、自分たちのバッジに多額の税金を投入したということだ。

2021年、県議会の委員長・副委員長ポストに公職選挙法違反で立件された河井克行・案里夫妻からカネをもらった6人の被買収議員が選任された時も、「(被買収県議は)起訴されていないので、職務をまっとうしてほしい」と強気に出て批判を黙殺。当時のことを、ある広島県議が振り返る。
「6県議のうち少なくとも4人が自身の会派、自民議連の所属だった。議長選挙のお礼の意味でポストにつけたのではないか、という話があちこちから聞かれた。それでなくとも、中本さんはさんざん河井夫妻を批判していた人物。身内には甘かったのは、議長にしがみつきたかったからだろう」

そんな中本氏が「広島のドン」として君臨できるのは、岸田首相との関係があるからだ。かつて中本氏自身は、岸田首相の父、岸田文武元衆院議員の秘書をしていた時代があり、首相とも昵懇だという。昨年11月22日の「首相動静」(時事通信社)に、このような記述が出てくる。

《午後5時18分から同24分まで、中本隆志広島県議会議長から全国都道府県議会議長会の委員会に関する要望》

《午後7時42分、東京・東麻布のうなぎ料理店「五代目 野田岩 別館」着。中本広島県議会議長ら全国都道府県議会議長会の経済産業環境委員と会食》

1日に2度も面談。おまけに「この日は広島県商工会連合会の懇親会という会合もあり、岸田首相はこちらも中本氏の顔を立てて出席したと聞いています」(前出・広島県関係者)だったという。

河井夫妻の公職選挙法違反事件で岸田首相に「謝罪」を迫り、その名を知られるようになった中本氏。だが、Z病院の問題については自らの地位を振りかざしているようにみえる。

地元の医師会幹部はこう語っている。
「Z病院は広島県だけではなく、全国的に見てもトップクラスの病床を誇る大きい精神科です。しかし以前、診療報酬を巡る問題が浮上して経営への懸念が示されました。救急対応ですから、休日や夜間の患者数、医師数などもポイントで曲げたりはできません。年間で5千万円ほど診療報酬がアップしますから、確かに指定は魅力ですが、Z病院が指定されていないのは、簡単に言えば指定の要件を満たしていないから。しかし“天の声”に担当部局がどう対応するのか……。河井夫妻の事件のような大ごとに発展しないことを祈るばかりです」

 

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