自民党「裏金処分」への厳しい視線

自民党は今月4日、党紀委員会を開催し、裏金議員に対する処分を決めた。今年1月に東京地検特捜部が乗り出し、裏金4,000万円超の池田佳隆被告は逮捕までされるという信じがたい事態。だが、裏金議員85人中、金額が500万円以上の39人しか処分対象になっておらず、幕引きには程遠い状況だ。

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岸田派の会計責任者は略式命令を受けたが、派閥のトップだった岸田文雄首相は処分されず、「政界引退」を表明した二階俊博元幹事長もおとがめなしで終わった。

一方、安倍派の塩谷立座長と世耕弘成前参院幹事長は、安倍晋三元首相が存命時の2022年春の会議で「キックバック中止」の指示を受けながら「継続」させたことで、最も責任が重いとみなされた。除名に次ぐ「離党勧告」という処分になった。

また、安倍派幹部の下村博文元文科相、西村康稔前経産相、高木毅前国対委員長、松野博一前官房長官は派閥の事務総長を経験し、2022年春の会議にも出席していたなど、責任が重いとして「党員資格停止」となった。

安倍派5人衆の一人で裏金2,700万円の萩生田光一前政調会長は「党の役職停止」。前述の5人より格段に軽い処分になったことで、世論の反発を招いている。ある安倍派の参議院議員がこう話す。
「世耕さんと塩谷さんは猛反発している。党紀委員会に弁明書を出せるのですが『とんでもない処分だ』と抵抗する意味で出さない方針だと聞いた。離党を拒めば除名になるので、考えてるでしょうね。派閥があれば、そこを通じていくらでも岸田首相に文句が言えるのですが、安倍派は解散してしまっている。官邸にパワーが集中したので、岸田首相も思い切った処分で支持率回復を狙っているのでしょうが……」

安倍派は、裏金500万円超の議員が36人。他にも、橋本聖子元五輪相、丸川珠代元環境相、山谷えり子元国家公安委員長、柴山昌彦元文科相など大物が名を連ねる。ある裏金議員は、腹に据えかねたらしく「岸田首相は、安倍派の支援のおかげで総理の座についた。それが一転して徹底した処分。恩知らずだ」、「あれは裏金じゃない、政治資金収支報告書への記載をミスしただけ」などとハンター記者に怒りのメールを送信してきた。特捜部が乗り出すほど大きな事件で、国民からこれほど怒りを買っているという認識がない証だ。

厳しい処分となった西村氏は、今年1月から地元の兵庫9区で「党役職停止で3か月か半年くらい」と勝手に自ら処分を決めた上で、「しばらくは地元に帰ることが増える」と地方議員らを集めて傲慢に語っていた。その場に取材に出向いた某全国紙記者は、「記者が来るところじゃない」とつまみ出されたという。兵庫9区・明石市の自民党市議があきれ顔で語る。
「偉そうに振る舞う西村さんに対し、ざまあみろと思っている有権者は少なくない」

会計責任者が略式処分を受けた二階派への処分は、実に軽いものだった。前述の通り、二階氏はお咎めなしで逃げ切り。事務総長だった武田良太元総務相も、役職停止で事実上の放免だ。武田氏は裏金事件が報じられた昨年11月ころから、メディアに追及されるのが嫌なのか、よく地盤の福岡に帰って、こまめに集会などを回っているという。ただし評判は最悪。ある自民党関係者は「2,000万円近い裏金で、役職停止じゃ国民は納得しないでしょ。今度の選挙は総投票を減らすはずですよ」と話している。

岸田首相は裏金処分で支持率回復を目論んでいたようだが、4月28日投開票の衆院補選では3つの選挙区のうち、2つは不戦敗が確定。唯一、公認を立てた島根1区も世論調査では10ポイント以上離されという厳しい状況だ。9月には自民党総裁選も控える。「岸田を絶対に再選させない」と息巻く議員も多く、党内には大嵐が吹き荒れそうだ。

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