鹿児島県警、質問取材に回答拒否(上)|強制性交事件絡みでハンターだけに不当対応

 隠ぺいや証拠隠滅が得意な腐敗組織らしい対応だ。鹿児島県警が、2021年に起きた鹿児島県医師会の男性職員による強制性交事件に関するハンターの質問取材に回答を拒否した。同様の質問を行った他のメディアには一部を回答しており、県警の腐敗を厳しく追及してきた本サイトだけを不当な扱いで排除した形だ。

 ◆   ◆   ◆

 県警に取材した目的は、問題の強制性交事件を巡り鹿児島県医師会が会見を開いて明かした内容など、根拠が示されたものについて確認するためだった。先月27日、ハンターは鹿児島県警に対し、FAXで以下の内容を記した質問書を送付した。(*原文では伏字は実名)

鹿児島県警察本部
総務課広報係 御中

質問書

 前略 福岡市の本社を置き、インターネットのニュースサイト「ハンター」を運営しております株式会社ハンターの代表で中願寺純則と申します。ご多忙のところ申し訳ありませんが、取材のため以下の点について質問致します。

1 令和4年1月7日、――――の看護師である〇〇〇〇氏が、鹿児島県が設置した新型コロナウィルスの療養施設となっていたホテルなどで、当時鹿児島県医師会の職員だった●●●●氏より強制性交の被害をうけたとして告訴状を提出しようとした際、応対した鹿児島中央署の「マエゾノ」と名乗る女性警察官が、数時間話を聞いた末に、様々な理由を付けて告訴状の受理を断念するよう申し向け、事実上の門前払いにしたという情報があります。意図的な不作為が疑われますが、これは事実ですか?

2 令和3年12月から令和4年1月までの間に、前記●●●●氏と鹿児島県警の元警部補だった父親の●●▲▲氏が鹿児島中央警察署を訪れ、上記新型コロナウィルス療養施設で起きたわいせつ事案について相談したのは事実ですか?事実だとして、相談は何回でしたか?

3 この相談の際、●●▲▲氏は同席していましたか?

4 令和5年1月7日以降、●●●●と●●▲▲氏が同席の上、当該強制性交事件か●●●●氏が□□□□氏を名誉棄損で刑事告訴した事案のいずれかの件で、事情聴取または取調べを受けたことはありますか?あるとすれば同席は聴取の際ですか、取調べの際ですか?

5 令和3年2月10日、鹿児島県医師会の池田琢哉前会長が、当該強制性交事件について県のくらし保健福祉部で説明して「強姦」を否定する発言をし、大西浩之副会長(前・常任理事)が同年2月22日に県医師会郡市医師会長連絡協議会で、●●氏側が鹿児島県警の警察官より「刑事事件には該当しない」、「暴行と恐喝で負けることはない」などと申し向けられた旨を明言されています。県警側がこうした発言を行った事実はありますか?

以上
*勝手ながら、ご回答はFAXもしくはメールで、本年8月30日までにお願いします。

 福岡市南区―――――――――――――
株式会社ハンター       代表:中願寺純則
FAX:092-512-♦♦♦♦
メール:chuganji@―――――――

 質問取材の目的は、これまでハンターが報じてきた2021年に起きた県医師会の男性職員による強制性交事件を巡り、捜査を担当した鹿児島中央署が、告訴状提出に出向いた被害女性を門前払いにしたことや、男性職員と元警察官の父親が事件発覚前に同署に相談していたか否かの確認だ。もう一点、県医師会の池田琢哉前会長や大西浩之副会長(前・常任理事)が男性職員から聞いたとしていた県警の見立て――「刑事事件には該当しない」、「暴行と恐喝で負けることはない」――が実際に警察側から発せられたものかどうかを確かめる必要があった。

 周知の通り、質問内容は、何らかの形で事実であることが明らかになったものばかり。県警は県議会総務警察委員会での質疑の中で「門前払い」を「受け渋り」という言葉で認めている。また、男性職員と元警察官の父親が、2021年の12月に中央署に行って事前の相談に行っていたことも、8月6日の県議会質疑で県警側が認めている。

 事前相談とその時の「事件性なし」という結果については、県医師会が6月27日に開いた記者会見の席上、同会の顧問弁護士である新倉哲朗弁護士が「男性職員からそう報告を受け、(池田)会長に伝えた」などと明言しており、県警が、門前払いや事前相談の実態を隠さなければならない理由は見当たらない。

 そもそも、ハンターが質問書を送付した先月27日、週刊金曜日のウェブ版が「鹿児島県警、強制性交事件もみ消し疑い 元警察官の父親が相談後、警察署が女性の告訴状受理拒否」という見出しで、強制性交事件に関する記事をウェブ上で記事を配信。その記事は、2021年12月に男性職員が相談のため中央署に出向いた際、同席者が元警察官の父親と弁護士だったことを県警が初めて認めたと報じていた。元警察官の父親が同席したという事実が、開示された情報だったことは明らかだ。

 唯一県警が答えに窮するとすれば、「刑事事件には該当しない」、「暴行と恐喝で負けることはない」などという見解を本当に示していたかどうか、という点だろう。

 医師会側は事件発覚当初、男性職員が、相談した警察から「刑事事件には該当しない」と言われたとして強制性交を否定する一つの材料に挙げていた。池田前会長は県の担当部局で、大西副会長は医師会内部の会議で同様の発言を行い、警察のお墨付きがあることを匂わせていた。事実なら、被害者側の話を確認する前に、県警が「事件性」を否定していたことになる。その結果が「門前払い」だ。すると、調べを遅らせ1年半以上かけて渋々検察に送った捜査資料や調書の信憑性は崩れる。

 一方、県警が「刑事事件には該当しない」、「暴行と恐喝で負けることはない」などという発言を一切していなかった場合、県医師会は虚偽の事実を公表したことになる。池田前会長や大西副会長に、一定の責任が生じるのは言うまでもない。もちろん、一番重い責任を負うのは、「事件性なし」の報告をあげた男性職員だ。どちらの言い分が正しいのか、徹底追及する必要がある。質問書送付は、そのためだった。

 ところが、県警が出した答えは回答拒否。他のメディアには答えて、その内容が報じられているにも関わらず、ハンターにだけは答えないという不当な扱いだ。猛然と抗議し、回答拒否の理由を追及したハンターの記者に対し、県警の広報はとんでもない「ウソ」をつく。(つづく)

<中願寺純則>

 

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