兵庫県知事選後、斎藤元彦氏を待ち受けているのは・・・

パワハラや「おねだり」を内部告発され斎藤元彦前兵庫県知事が失職したことを受け、10月31日に出直し選挙が公示された。

立候補したのは、斎藤氏に加えて前尼崎市長の稲村和美氏、前参院議員の清水貴之氏、共産党推薦の大沢芳清氏、会社社長の福本繁幸氏、政治団体・NHKから国民を守る党党首の立花孝志氏、会社社長・木島洋嗣氏の7人。選挙戦は、斎藤氏に加えて、立憲民主党県議や自民党県議の一部などが支援し連合も支持する稲村氏、維新は離党したが「兵庫維新の会」が支援する清水氏の3人が中心となる見込みだ。

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斎藤氏は、神戸市の繫華街で第一声。「(内部告発)文書問題、メディアの報道に負けるなという声をいただいた。いろんな政党、政治家が斎藤に勝たせるなさせるなという強い声がある。斎藤か斎藤以外かというが、絶対負けるわけにはいかない。改革を止めるわけにはいかない」と訴えた。斎藤氏が失職に追い込まれたのは、メディアによる報道のせいだというのだから呆れるしかない。

知事選告示の前日、JR明石駅前で挨拶をしていた斎藤氏。その後、前明石市長で斎藤氏批判の急先鋒、泉房穂さんとテレビで激突する予定だった。明石駅前を選んだのは、泉氏に対する“当てつけ”のようにしか見えなかった。

夕方の民放テレビ局で泉氏と相まみえた、「道義的責任はかつてなかったと言ったが今はどうですか」と問われた斎藤氏は、「職員の方が亡くなられたのは今も悲しい」と言いながら責任を認めようとしない。泉氏が厳しい口調で「責任はありますか? 責任を問います」と追及すると、「県政がこういう状況、その責任は私にある」としてはぐらかした。

泉氏は「(内部告発した県民局長を)追い込んだという批判が強い」「結果的に、というのはご遺族に対してどうなのか。告発者を追い込んだと言われてますよ」と畳みかけたが、斎藤氏は「(県民局長が)亡くなった理由がわからない」と逃げを打つばかりだった。

悪名高い斎藤氏が知事選に打って出たことについて「ネットの人気が高い、それが励みになっている」と同氏の陣営関係者は話す。第一声で「1,000人が集まった」(同陣営関係者)はどう見ても嘘八百だったが、300人ほどの人が集まったのは事実でそれなりの盛り上がりをみせていた。

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知事選が終われば、勝敗には関係なく兵庫県議会が設置した文書問題特別調査委員会(百条委員会)の追及が斎藤氏を待っている。先月24日の百条委員会では、阪神・オリックスの優勝パレードと地元信用金庫などから受けた金融機関からの寄付についての問題がとりあげられた。

地元の信用金庫を束ねた「幹事社」だと内部告発で指摘された但陽信用金庫のX理事長は、2023年11月に斎藤氏の指示でやったきた片山安孝副知事(当時)とのやりとりを証言。非公開とされた百条委員会だったが、ハンターの取材によれば「片山氏から事前に連絡があってうちにやってきた。寄付のことは聞かされていた。そこで金額を聞いたら『優勝パレードの寄付で2,000万円』と具体的な金額を言われたので、信用金庫の連携で連絡をして金額の割り振りを決めた。翌日だったか了承がとれたので、各信用金庫の寄付額を兵庫県に連絡した」という趣旨の発言を行ったという。

刑事告発されている優勝パレードと兵庫県からの融資については「関連がない」と否定している。

その後、百条委員会に証人として呼ばれた片山元副知事への質問に立ったのは日本維新の会の増山誠県議。既報の通り、内部告発していた元県民局長の「プライバシーを暴こう」とした許しがたい言動を行っていた議員だ。この日の百条委員会では、片山氏に「聞き取りやパソコンなどのデータから、斎藤氏を倒すクーデターというような内容があったのか」と聞いた。

すると、片山氏はなぜか質問には関連性がない元県民局長の公用パソコンのデータについて、話し出した。この後の顛末を兵庫県幹部がこう話す。

「(片山は)個人情報に関することなどをペラペラ言い始めた。増山県議はすでに公用パソコンのデータを開示するよう執拗に求めたことで問題になっている。しかし、片山元副知事は“そんなこと関係がない”とばかりに、元県民局長の個人情報までしゃべりはじめた。あまりに、詳細に語るので百条委員会はいったん休止。委員全員で協議して『片山氏が何を言いだすかわからない。百条委員会では対象ではない元県民局長のプライベートなことを言い始めると問題だ』との結論に達し、片山氏の証人尋問を終えることにした。それを事務局が片山氏に伝えに行くと『なんで終わるのや』など強硬に反論。知事選前なので、斎藤擁護のため元県民局長を悪者にしようとしたのかもしれないが……。片山のとんでも発言で問題になる前に(百条委)をストップしてよかった」

現在は知事選のため、斎藤氏の証人調べは延期されている。選挙終了後に再度、同氏を証人として呼ぶかどうかが論議される予定だ。再び百条委員会で追及されるのか否か判然としないが、そもそも、出直し知事選に立候補していること自体がおかしいのではないか?選挙結果にかかわらず、彼にはさらに厳しい状況が待っているはずだ。

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