裏金問題で「元秘書・不起訴不当」の萩生田氏と大樹総研の関係

裏金2,728万円に加え、衆議院選挙時に自民党本部から2,000万円の資金を政党支部で受領していた萩生田光一衆議院議員。非公認で出馬した東京24区では勝ったものの、立憲民主党の有田芳生衆議院議員に8,000票弱まで迫られるほどの接戦だった。

萩生田氏や元秘書らは、裏金事件に関連して政治資金規正法違反容疑で刑事告発されていたが、検察不起訴で「無罪放免」とはいかなかった。

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萩生田氏側に対する刑事告発は、東京地検特捜部の捜査で不起訴となったあと、検察審査会に「申立書」が出されていた。11月5日までに、萩生田氏は不起訴相当となったが「裏金作り」に関与したという元秘書のU氏に関しては、「不起訴不当」と議決された。東京地検特捜部によって再捜査が行われる。

議決書によれば、萩生田氏の事務所を統括していたU氏が会計責任者に虚偽の金額を伝え、政治資金収支報告書に記入させていたと認定。一連の裏金事件について《清和会という国政を担う与党の中でも極めて影響力の強い会派が会計責任者等に指示して行った組織的な犯行》と断罪している。

《判明している限りでも平成30年から令和4年までの分合計2,728万円の不記載となっており(中略)一般的な感覚からすれば極めて高額であることから、被疑者も刑事責任を負うべき》

《清和会の指示であるとして安易に従い(中略)漫然と抱え込んで行った責任は重大で悪質性は相当程度高いと考える》などと厳しい指摘がなされている。

昔から萩生田氏を支持してきたという八王子市在住の男性はU氏について、「萩生田さんの事務所を一手に仕切る敏腕秘書です。例えば萩生田氏関連のメディアの記事は常にチェック。ちょっとでもおかしな点、間違いがあればすぐに抗議し、必要なら訂正などを要求。そうやってメディアにプレッシャーをかけて、萩生田さんの悪口書かせないようにし、逆になびかせようとする作戦のようです。細かいことに気を配るU氏のことですから、高額な裏金に問題があることは承知していたはず。萩生田氏が大臣の時は大臣秘書官まで務めているほどですから」と話す。

U氏のSNSをチェックすると、《東スポが訂正・謝罪記事を掲載しました》、《本日、TBS news23からいわゆる旧統一教会について質問状が届きました。TBSとは一昨年の「芸者会食」報道から信頼関係が損なわれたままになっており、マスコミ全社を対象とする記者会見以外での個別取材には応じておりません》、《週刊新潮には萩生田が大臣に就任してから度々記事が掲載されましたが、今度ばかりはあまりにも酷い内容でしたので、ブログに反論文を掲載しました》などと投稿しており、支援者の話とも符合する。前出の男性はこう話す。

「裏金事件でもメディアにプレッシャーをかけるような対応でした。それでなくとも偉そう見える萩生田さんのイメージが、有権者からはより上から目線に感じられ、危うい選挙戦になったという声が支援者の間からもから出ていました」

萩生田氏を刑事告発している神戸学院大学の上脇博之教授が提出した告発状やメディアの報道では、同氏側が5年間せっせと“蓄財” した裏金2,728万円を「事務所の引き出しで管理」していたとされる。高額な裏金を引き出しで管理していたという話を、信じる国民がどれほどいるだろう?本サイトでは、裏金事件発覚後に政治資金収支報告書に「訂正」を繰り返す、萩生田氏側の資金管理の杜撰さを以前に報じている(既報)。

上脇教授の告発状には“キックバックを受けた寄附金収入がそもそも収支報告書に記載しないことになっている裏金であるということは、「清和政策研究会」所属の萩生田光一と同人の秘書であるU氏こそが知っており、両人は、当該寄附金をその他の政治資金とは別にして「事務所の引き出しで保管」するよう会計責任者に命じ、会計帳簿に明記することも領収書を保管するおとも必要であるわけではないと伝えたに違いない”、“収支報告書不記載・虚偽記入及び領収書等不提出の判断は、事務方の独断ではできないほど重大な判断だから、萩生田光一と同人の秘書であるUの主導によるものであるに違いない》とある。

上脇氏は「なぜ元秘書だけが不起訴不当で、萩生田氏は不起訴なのか。萩生田氏の了承なくしてこれほど高額な裏金をつくることはできないはず」と不起訴となっている萩生田氏の議決に疑問を呈する。

萩生田氏に対する政治とカネの問題はこれだけにとどまらない。上脇教授は、自民党東京都連でもパーティー券を販売したにもかかわらず、記載していないことを突き止め刑事告発している。萩生田氏は今年夏まで自民党東京都連の会長。こちらの裏金事件にも関与したのではないかと、刑事告発をされている。

「すでに東京都連の幹部などが特捜部から事情を聞かれています。ターゲットになっている関係者に携帯電話をかけても電源が切られていることが何度もあった。実際、会って話しても沈痛な表情で『清和会と同様に都連もアウトなのか』と言っていた」と自民党の都議は打ち明ける。

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ところで、今回の衆議院選挙では不思議な光景があった。選挙戦最終日の10月26日、東京24区にやってきたのは静岡県知事の鈴木康友氏。鈴木氏はもともと旧民主党で衆議院議員を務め、静岡知事選では連合などの支援で当選した。わざわざ遠く静岡から裏金議員である萩生田氏の応援に出向いてきたのは何故か――。

東京地検特捜部のターゲットにされてきた民間のコンサルタント会社「大樹総研」の創業者は“政界フィクサー”と呼ばれる矢島義也氏だが、かつて同氏とともに大樹総研を立ち上げたのが鈴木知事だ(既報)。また、萩生田氏も矢島氏との関係があるらしく、2019年11月に発行された大樹総研の機関誌で、《巻頭インタビュー 国内外の課題はこれからが正念場》と当時、文科大臣だった萩生田氏がインタビューを受けていた。

鈴木知事は、大樹総研つながりともいえる萩生田氏への応援演説で、「私は5年間国会議員だったが相手側(旧民主党)にいたんです。この私がこんなすごい、素晴らしい政治家はいないというのですから、ものすごく説得力があるでしょう」と、裏金議員の萩生田氏を褒め称えた。

萩生田氏と争った有田氏の陣営は、「立憲民主党の支援で知事になって、衆議院選挙になれば自民党の裏金議員を応援する。あり得ない」と怒りを隠さない。

さすがに鈴木氏の支援母体だった連合静岡は黙っていられなかったのか、「鈴木知事には厳重注意をさせていただき、(知事からは)申し訳ないという謝罪があった」と明かしている。

大樹総研の名前まで浮上する萩生田氏の「政治とカネ」の問題は底なし沼だ。

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