迷走する日本維新の会 

日本維新の会は、特別国会終了後、今月17日告示、12月1日投票の日程で代表選挙を実施することを決定。衆議院選挙で44から38へと議席を減らした馬場伸幸代表は、自身のXに《私はこの代表選には今般の衆議院選挙の結果を受け『出馬をしない』ことを決意致しました。この際、人心を一新し日本維新の会が再スタートを切る事が肝要であると思います》と投稿。次期代表選に出馬しないことを明らかにした。

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11月9日、維新は代表選の説明会を実施した。出席したのは、大阪2区選出の守島正衆議院議員の関係者と、広島4区選出の空本誠喜衆議院議員。13日に代表選出馬を表明した大阪府の吉村洋文知事は、親しい関係にある守島正衆議院議員を代理に立てていた。

空本氏は当選3回。今回は広島4区の小選挙区から勝ち上がった。「代表選を演出して、なんとか分裂を回避したいという思惑ではないか」と、ある維新の国会議員が苦しい党内の事情を説明する。

これまで報じてきたように、維新は馬場氏を中心とした現在の執行部グループと東徹衆議院議員や浅田均参議院議員らの国会グループの2つの勢力がある。馬場氏が衆議院選挙投票日の記者会見で自公連立政権の与党が過半数割れしたことで「その一翼を担った」と自慢げに語ったことで、批判の大波に飲み込まれたのは周知の通りだ。当初は代表選の必要性なしとしていた馬場氏だったが、対抗できずに自ら代表の座から退くというしかなかった。

「大阪維新の会」の代表を務めてきた吉村知事は、国政政党である日本維新の会では共同代表という立場。2022年の代表選で馬場氏が選出された際、求められて就任したという経緯がある。前出の維新議員がこう解説する。

「大阪に専念するとして国政から一歩引いていた吉村知事だったが、共同代表になってからも、ほとんど馬場さんに任せっきりだった。しかし、国政を巡るもめ事があるたびに吉村知事が火消しに走るなど、馬場さんとの関係は芳しくなかった。吉村知事は『政治はもうこのへんで』と口走ることもあり、次の知事選に出馬するかどうか不透明な状況なのは党内でも知られるところ。ただ、今回は執行部グループと国会グループで根強い対立が続いていることもありこのままでは維新が分裂しかねないと覚悟を決めたということでしょう。人気は折り紙付きの吉村知事がトップに就任することで混乱を回避しようという動きなのです」

 また、党内では立候補者が2人となって激突すると、「しこりが残り、分裂の火種になる」として、第3の候補となる松沢成文参議院議員が会見して出馬の意向を表明。その他、金村龍那衆議院議員も意欲を見せている。仮に代表選の構図が吉村知事VS空本氏となり、そこに松沢氏、金村氏が加わったとしても吉村知事の「勝利」はほぼ動かないものとみられている。

そうした状況について空本氏は出馬会見で、次のように話して複数立候補で代表戦を盛り上げることの必要性を訴えた。
「吉村知事が出馬すれば、代表選はほぼ決まり。全国的にも維新が低調なので、吉村知事が相手なら誰も立候補しない、無投票ではいけない。吉村知事が代表になって大阪は注目されるでしょうが、全国ではどうか。代表選が行われること、無投票にならないこと自体が大事だ」

反馬場の急先鋒で国会グループの東徹衆議院議員は、2022年の代表選で出馬の意向を示しながら、松井一郎氏が馬場氏への「一本化」を図ったために断念。党内では支持が厚いとされるが、東氏とも近い維新の大阪府議はこう語る。
「人気とカリスマ、影響力、発信力を兼ね備えた吉村知事が出馬すれば、いくら国会議員を束ねている東さんでも勝ち目がない。万が一、吉村知事が出ない時に備えようという構えだった」

吉村知事の出馬表明を受けて、党内の大勢は決まったと前出の国会議員は言う。
「吉村知事に代表になれば、ダントツの発信力で維新は一つにまとまる。東氏は吉村知事とケンカしてまで党を割って出る覚悟はない。反対に、吉村知事と協調して、国会議員団のトップ、共同代表などに収まって牛耳ろうという考えもあると聞こえてきます。吉村知事は大阪をあけられませんから。国会議員でない吉村知事は、党分裂を避けるためと、大阪主導の維新に戻すために出馬を決意したのだろう。これ以外、維新の分裂を阻止する方法がないからですよ」

結局、国会議員ではない吉村知事頼みとなった維新が、人材不足を露呈した格好だ。維新の未来は暗い。

 

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