新型コロナで投票率低下 現職有利の現状に選挙日程延期論

今年7月に東京都知事選挙と鹿児島県知事選挙が行われる予定だが、ここに来て、政界の一部などから「延期すべきではないか」との声が上がり始めた。

■各地の選挙で過去最低の投票率

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため緊急事態宣言が出されてきょうで1か月。政府は5月末までの期間延長に踏み切った。「自粛」や3密を避けるなどの対策を続けるよう呼びかけを強めているが、ウイルスを撃退することは困難で、感染者をゼロにする目算さえ立っていない。

この間、全国26の自治体において市長選挙が行われたが、無投票となった7市を除く19市のうち15の選挙で過去最低の投票率を記録する状況となっている。先月19日の鹿児島市議会議員選挙と26日の衆議院静岡4区補選も過去最低を記録。静岡4区の補選は34.10%で、2017年総選挙の投票率から20ポイント近くげている。新型コロナが、公平・公正な選挙に制限を加えた格好だ。

投票率が下がるのは当然だろう。安倍政権や地方自治体は、「密閉」「密集」「密接」のいわゆる3密を避けるよう呼びかけている上、感染を恐れる人はそもそも外出をしない。投票所によっては典型的な3密会場となるケースもあり、有権者の足は遠のくばかりだ。

候補者名の記入に使う鉛筆や記載台をこまめに消毒するなど、各地の選挙管理委員会も対策に余念がないが、いずれも不特定多数が触るもので、嫌がる有権者は少なくないという。政府が3密回避、外出自粛を奨励している中、「選挙に行きましょう!」は矛盾する訴えでしかない。

こうした状況を受けて、公明党は地方選挙の延期を提案してきたが、安倍自民党は「選挙は不要不急の外出にあたるものではない」として否定的な考えを示している。しかし、国民の命より重い選挙など存在するはずはなく、「不要不急」か否かで論じること自体がナンセンスと言えるだろう。

■問われる「選挙の公平性」

今年7月には、注目される二つの知事選が予定されている。6月18日告示7月5日投開票の東京都知事選と、6月25日告示7月12日投開票の鹿児島県知事選だ。

新型コロナで最も多い感染者を出している東京都では、対応策を巡り国を抵抗勢力に仕立てて露出パフォーマンスを繰り広げている小池百合子都知事が圧勝するとの見方が圧倒的。希望の党立ち上げ時の「排除発言」で下落した人気を取り戻す勢いで、対抗馬の擁立を目指していた自民党東京都連も、指をくわえて見ているしかない状況となっている。

一方、新型コロナの感染者が九州で一番少ない鹿児島県は、反原発派を装い「政策合意」で野党陣営や県民を騙して知事に初当選した三反園訓氏が、なぜか前回の知事選で敵対した自民党の推薦を得て2期目に手をかけた。都市部での人気は歴代最低といわれる三反園氏だが、コロナ対応で露出が増え、独壇場となった感じだ。

災害などが発生した場合の首長選挙は、露出が増え、予算措置などで恩を売れる現職が極めて有利な立場になる。さらに、投票率が下がるため組織票をもらえる自公推薦候補は勝利に近づく。事実、鹿児島でも緊急事態宣言の発令以後、ニュースに登場するのは三反園知事ばかり。出馬予定の前九州経済産業局長の塩田康一氏(54)や伊藤祐一郎前鹿児島県知事(72)についての報道は、すっかり影を潜めている。

新型コロナは、新人や元職から政治活動の場さえも奪っている。3期に渡る実績で知名度のある伊藤前知事はまだしも、新人の塩田氏と有川博幸氏(61)は知名度を上げることが至上命題。しかし、集会や握手、近付いての語りかけなどが事実上禁止された状態で、後援会活動は思うに任せない。6月の告示まで2か月を切ったというのに、現職以外の立候補予定者には、とてつもなく不利な状況が生まれているのである。これで公平・公正な選挙が行えるとは思えない。

地方自治体で予定されている選挙を延期すべきとの主張には、正当性がある。憲法で規定されている国政選挙と違って、公職選挙法や地方自治法の改正などで対処できるからだ。実際、1995年1月の阪神淡路大震災に際しては、同年4月の統一地方選挙が特例として2ヶ月延期され、2011年3月の東日本大震災に際しては、東北地域での統一地方選挙が当初は最大9月まで、その後12月まで延期された。

緊急事態宣言下の鹿児島県において、三反園知事は何らイニシアチブを発揮せずに受け身の発表をしているに過ぎない。パフォーマンスに走るあまり、県がホームページ上で公開しているコロナ絡みの動画から、記者団との質疑場面を割愛していたことも分かっている。この件に関して県は、「記者会見を開く」として報道機関の記者を集めておきながら、「会見ではなかった」と平気で嘘をついている。まさに、「魚は頭から腐る」の典型。新型コロナで現職が漁夫の利を得るとしたら、鹿児島県民にとっては極めて不幸なことになる。



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