「ここで頑張れる」1割未満の衝撃|北海道新聞・若手記者らの会社離れ浮き彫り

 この11月に創刊80周年を迎えたブロック紙・北海道新聞(札幌市、宮口宏夫社長)で、同社労働組合が実施したアンケート調査の結果が衝撃をもって受け止められている。3択の設問「この会社で頑張っていける」「退職を考えるかもしれない」及び「どちらでもない」のうち「頑張っていける」と答えた若手社員が回答者全体の7%に留まったのだ。自由記述では「転職サイトに登録した」「辞めることにする」などの回答も見られ、ここにきて深刻な会社離れが浮き彫りになった形だ。

■192人の6割――「退職を考えるかもしれない」

 同社関係者などによると、アンケート調査は労組と会社との冬期末手当(冬のボーナス)交渉をきっかけに緊急実施。会社側が11月10日に回答した同手当の平均支給額が前年実績から10万円以上減額されていたことを受け、労組が同青年部員(35歳以下の全社員)に社の回答額などへの評価を求めた。

 対象者192人のうち、回答を寄せたのは141人。うち「この会社で頑張っていける」としたのは僅か10人で、全体の6割以上が「退職を考えるかもしれない」と答えた。冬期末手当の満足度については、回答者の75%以上が5段階評価で最低の「1」を選択、満足を示す「4」「5」を選んだ回答は皆無で、全体の評価平均は1.3となった。

 自由記述式の回答は92件寄せられ、社への失望感や退職・転職の決意を示す意見が目立った。回答を見る限り、必ずしも期末手当の問題のみが会社離れを招いたわけではなく、これまでの社の不祥事対応や幹部人事などへの不信が若手の間でピークに達しつつある実情が垣間見える。筆者が入手した情報から、おもな回答を下に引いておく。

《パワハラ、セクハラ、飲酒運転、横領などを行った人が一定数いるという劣悪な状況にも耐えながら働いている私たちに対して正当な評価をしてもらわなければ、確実に会社を辞めます》

《冬期末手当が41年ぶりの80万円台というのは理解できません。退職を考えている私からすると意思を固める十分な引き金です》

《また転職サイトを開いてしまいました。きょうにも会員登録をしたいと思います。今までありがとうございました》

《やりたい仕事は山ほどありますが自分を守るためにもこの会社から離れるしかないのかと考えることが増えました》

《新社屋の着工のメドが立たないなど、今後の会社経営について経営陣は真摯に考えていないと思います》

《わずか数年で期末手当が激減していて、「もう会社も限界なのかな」と思っています》

《本気で転職を考えようと思った。役員だけで新聞発行をつづければよい》

《もう辞めることにします。来春新人を不憫に思う》

《「やりがい搾取」という言葉も浸透しています》

 問題の冬期末手当の回答額について、道新労組は受け入れ拒否を表明。その後さらに3回の団体交渉を経て会社側は計1万8,000円の増額回答を示したが、これも妥結には到らなかった。労組は現在「闘争準備態勢」に入っているといい、30日に予定されている5回目の団交の行方が注目されるところだ。同本社に勤務する現役記者の1人は「会社にはもう増額を検討する考えがないのでは」と見つつ、現在の待遇には決して納得できていないようで「組合は今こそ存在意義を示し、いざとなったら新聞発行を止めるぐらいの気概を見せて欲しい」と話している。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。
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