旧統一教会・霊感商法マニュアル『サミットの流れ』入手|対Sランク信者の騙し方伝授

旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対し宗教法人法による「質問権」を行使したことを、永岡桂子文部科学相が表明した。「旧統一教会の信者の不法行為責任を認めた判決が多数ある」と説明しており、12月9日までに報告を求める内容となっている。

永岡文科相によれば、旧統一教会を巡る民事事件の判決で、霊感商法などの勧誘を巡り組織的な不法行為を認定している判決が2件、使用者責任を認めた判決が20件あり、被害額は少なくとも計14億円に上るという。

旧統一教会はこれまで「質問権」に基づく国の調査について、「誠実に対応させていただきます」としてきた。だが、旧統一教会の「誠実」が吹っ飛んでしまうような、別の角度から作成された「霊感商法マニュアル」をハンターが入手した。

◇   ◇   ◇

『サミットの流れ』という表題が付いたマニュアルは、旧統一教会の信者が脱会後に作成し、霊感商法を追及している弁護団らに提供したものとされる。

「霊感商法では、セミナーを開催したり、ビデオセンターという旧統一教会の施設に連れ出して、最初は印鑑、高麗人参茶などをそう高くないものを買わせる。サミットは、勧誘した信者の中でもSランクの資産を持ち、動かせる人を対象にしたもの。とりわけ、不動産を所有している人をターゲットにしたものですね」と霊感商法に関わってきた元信者は言う。

『サミットの流れ』では、いかに信者を騙し、高額の献金を「奪取」するかという次のような手順が示されている。

ゲストリストアップ→不動産調査→定例会議→ゲスト面接→ゲスト教育→借入準備→クロージングトーク→借入実務

まず、ゲストリストアップで高額な不動産を保有するゲストをピックアップし、不動産の登記簿を取得後、現地を視察して評価額を算出。定例会議で、地区の責任者である本部長らが会合を開き、対応を決めていく。

例えば、Sランクの信者との面接については《ゲスト面接 教師が家系図を作成しながら自宅以外の所有不動産や動産全般を把握する。またルーツを開き準備(先祖の出身地、墓の所在等のチェック)とウィークポイントの把握(家族関係、家系の離婚再婚、事故、病気等)を同時に行う》――本サイトですでにお伝えした(どう見ても詐欺の指南書|旧統一教会「霊感商法マニュアル」を独自入手 )でも報じたように、家系図から弱みをつかんで、教師、霊能師を名乗る人物が因縁トークで追い込んでいく具体的な方法が記されているのだ。

マニュアルにはこうもある。《日本姓名大辞典等で先祖のルーツを調べる。ルーツは最終的に天皇につなげ、さらに韓国につなげ、ゲストに徳や功労があって教会に来れたこと家系の指名者であることを自覚させるために作る上げられる》

前出の元信者が、こう指摘する。
「天皇につなげ、さらに韓国につなげとあります。普通はつながりません。霊能師が噓八百で、ああだこうだと因縁をつけてるのです。だから、最後に書いてあるでしょう『作りあげられる』と」

そして“ゲスト教育”になると、マニュアルに、さらに細かな指示がある。《墓参り 先祖四池の墓参り。先祖供養の大切さを教育する。訪韓ツアー 韓国の霊能師との面接。本部教会、UC(旧統一教会)企業見学。懇親会 ゲスト不安解消のため企画》

そうして、信者が不動産の売却、それを旧統一教会に寄付する決断が決まれば“クロージングトーク”に移行していく。《(クロージングトークとは)きょうしの因縁清算トークである。トークはゲストの財産などの状況によってHG(借入させて教会に提供させる現金)になったり、SK(献金、献納)になったりする。HGは教会に土地で貢献することによって、人の恨みがついている土地が清まり因縁清算できると借入を強要するのが真の目的》

「人の恨みがついている土地が清まり因縁清算とあります。霊能師が例の因縁トークを駆使して『この土地に先祖の恨みがあるので、娘が離婚してしまった。売ってお金を神にお届けして清算すれば救われる』などと売らせようとする。不動産に抵当権設定などがあり金融機関から借金がある場合は、まずノンバンクなどから借入させることもあり『土地の恨みを解くにはまず借入して神に届けよう』などと諭すのです。土地に人の恨みがあるないなんて、わかりません。あたかも霊能師がそうささやいて、まわりにいる人間も『私もそう思う』『私も土地を売って神にお金を届けたら救われた』などと漫才のボケとツッコミのように、呼応。そうなると、ゲストは断れない雰囲気となるのです」(前出・元信者)

さらに生々しく書かれているのは“借入実務”だ。不動産売却、借入について《本申し込み ゲストが(旧統一教会の)スタッフに伴われて申し込む。契約 ゲストがスタッフに伴われ契約する。実行と回収 ゲストがスタッフに伴われて(不動産売買や借入の)実行の手続きをする。現金はゲストの銀行口座に入金後すぐに引き出し、組織的に回収される》――これぞまさに、日本と韓国を巻き込んで、旧統一教会が一体となって組織的にカネを奪い取る悪辣な手口ではないのだろうか。

『サミットの流れ』には、ゲストとされる信者の個人情報もついている。《土地本人名義 抵当権なし 評価額4200万円》《会社経営 土地夫名義 評価額1975万円》《未亡人》《(近く)口座に1億円入金予定》《自社ビル》などと細かくある。

『サミットの流れ』などの教団マニュアルについて詳しい旧統一教会の霊感商法を追及する弁護士は、次のように話している。
「オウム真理教は、人を殺してもいいという教義でした。旧統一教会はカネのためならなんでもやれ、やっていい、というような教義であることがこのマニュアルからは読めますよね。政府は、質問権なんて生ぬるいことでいいのでしょうか。すぐにでも解散命令を出すのが当然。信教の自由はわかりますが、こういう団体については、二度と復活できないようにすべきではないのでしょうか」

 

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