詐欺で立件の前自民党参院議員・広瀬めぐみ被告に求刑2年6月

昨年8月、公設秘書の給料などを騙し取ったとして詐欺罪で起訴された前参議院議員・広瀬めぐみ被告(58)の初公判が2月6日に行われ、同被告は公訴事実に対して「間違いございません」と罪を認めた。

◆   ◆   ◆

国会議員だった広瀬被告は弁護士でもある。しかし、検察の冒頭陳述からは、そうした経歴とは無縁の、法秩序を無視した犯行実態が浮かび上がった。

2022年7月の参院選挙で岩手選挙区から当選した広瀬被告は、東京の議員会館に政策秘書、地元の岩手県の事務所に公設第2秘書としてA氏を採用。しかし、第1秘書は確保できなかった。

広瀬被告はメッセージアプリで「お金出るのに!!もったいない」「第1(秘書)はとりあえずうちの娘にしてでも、ちゃんとお金はもらわないとなあと思う」などと支援者に向けて発信。長女名義で公設第1秘書の給与を受け取るという、詐取計画を明かしていたのだ。

8月、長女に「第1秘書として支給される給与を私がとり、私設秘書の給与にあてる」と打診。しかし長女は父親、すなわち広瀬被告の夫に相談して、「それは違法ではないか」と反対していた。9月にも再度長女に打診したが拒絶されたという。

広瀬被告は「年間1,000万、損する」とメッセージアプリで送信。その後、地元の事務所で私設秘書を2人採用したことで台所事情がますます苦しくなる。被告人質問で広瀬被告は、「ぽっと出の議員で、後援会や組織がなくカネもなかった」と犯行動機を説明している。

そんな広瀬被告が、第2秘書のA氏を第1秘書に格上げし、その妻を形だけの第2秘書にして秘書給与を詐取するというとんでもない方法を思いついたのは22年10月上旬のこと。「Aさんを第1秘書に格上げする。第2の枠が空くので、Aさんの妻・Bさんをどうか。その給料は私がもらう」と打診。Aさんが了承したため、Bさんは同年11月29日に“形だけの”第2秘書となる。

次いで、第1秘書になり給料がアップAさんからは「事務所にカネがかかる」という理由で10万円を“徴収“。そしてBさんは22年12月23日から23年8月10日まで11回にわたり第2秘書として参議院から340万円あまりを振り込ませていた。詐取に手を貸したBさんは、夫であるAさんの本業である事業を手伝っていたため秘書としての勤務実態は皆無。その給与のほぼ全額を、広瀬被告が懐に入れていた。

23年7月、広瀬被告は松川るい参議院議員、今井絵理子参議院議員らとともに自民党女性局のフランス研修に参加。エッフェル塔前でポーズを作って撮影した写真がSNSで拡散され「まるで観光旅行だ」と、大きな批判を浴びる。24年2月には、サックス奏者と赤いベンツに乗って不倫するシーンをデイリー新潮にスクープされるなど、議員活動とは関係ないところばかりで悪目立ちするようになる。

検察側の冒頭陳述では、Bさんにさも第2秘書であるかのように、振る舞うように命じていたことも明かされた。後援会長名で「Bさんは第2秘書である」と自身の公式ホームページに掲載するなど“偽装工作“。24年7月に岩手県で開催された政治資金パーティーでは、Bさんに第2秘書であるかのように振る舞わせ、支援者に紹介して回っていた。

その後、Bさんが“幽霊秘書“で秘書給与を詐欺している疑惑を週刊誌が報じる。すると、広瀬被告はBさんを辞めさせた上で支給された退職金16万円あまりを“上納“させるという守銭奴ぶりだった

さすがにAさんも嫌気がさして辞めたというが、その際には「合意書」を作成。秘書給与詐取のことについて「口外禁止条項」を記し、隠蔽工作を図っていた。

検察は即日結審で、広瀬被告に2年6ヶ月を求刑。「被告人は弁護士であるにもかかわらず、国会議員の立場を悪用し、勤務実態のない名義貸しで公金を詐取した。議員秘書制度の根幹を揺るがす極めて悪質な犯行」、「被告人は詐取した金銭を長女の小遣い、クレジットカードの支払い、飲食など個人的なものを、公金を詐取して充てている」と厳しく断罪した。

ある自民党の幹部は、「とんでもない人を議員にした我が党の責任は確かに重い。広瀬は弁護士でありながら、これほど酷いことをやっていたとは……」と絶句する。自民党も、日本維新の会同様に「粗製濫造」だったようだ。

判決は3月27日に言い渡される予定だ。

この記事をSNSでシェアする

関連記事

最近の記事一覧

  1.  今月6日、田川市議会定例会一般質問において、公明党の山野義人市議が、一部事務組合「田川地区広域環境…
  2. 今月10日、自民党の岸田文雄前首相、麻生太郎最高顧問、茂木敏充前幹事長の3人が東京都内の日本料理店で…
  3. 3月13日深夜、石破茂首相が急遽記者会見。政治とカネについての釈明に追われた。問題になったのは、3月…
  4.  今月10日に開かれた田川市議会の総務文教委員会で、公明党の山野義人市議が、村上卓哉市長と不適切な関…
  5. 北海道警察で昨年最後の四半期(10~12月)に処分などがあった不祥事の中に、警察官の性犯罪を懲戒処分…




LINEの友達追加で、簡単に情報提供を行なっていただけるようになります。

ページ上部へ戻る