長期間に及ぶ北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で2月上旬、北海道の設置した第三者調査委員会が追加調査の結果をまとめ、新たに江差看護学院の学生1人のハラスメント被害認定を報告した。
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9日午後に結果を公表した道の担当課によると、学生は江差の卒業生で、昨年10月の第三者委報告後に改めて聴き取り調査を受けていたという。追加認定により被害事案の総数は53件となり(江差35・紋別18)、被害学生数は15人に増えることになる(江差12・紋別3)。
報告書などによれば、当該学生は在学中に学生寮を利用しており、寮外で飲食して門限に遅れたことがあった。加害教員は同学生に対し、規定に基づかない「退寮1カ月」の処分を決めたといい、これが「教育的配慮の不足」としてハラスメント認定された形。道は昨年9月に被害学生からハラスメント申告を受けたが、その後一時的に同学生と連絡がとれなくなったため、10月の第三者委報告ではこの事案が除外されていた。報告後に学生側から改めて調査の打診があり、12月に札幌市内で追加の聴き取り調査を行なった結果、今回の認定に到ったという。
道は関与教員を匿名で「A教員」としているが、追加報告によればこれはすでに加害認定されている教員で、昨年10月までに第三者委の聴き取りを受けていた1人。このためハラスメント関与教員の総数はこれまでと変わらず延べ11人となる(江差7・紋別5、1人重複)。
新たに認められた被害について道は現在、これまでの事案と同様に救済策を検討しているという。
(小笠原淳)
【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。 |