ハンターの事務所が、鹿児島県警の警察官による地方公務員法違反事件の関係先だとして家宅捜索を受けたのが昨年4月8日。その時の状況について、報道他社から必ず確認を求められるのが「捜索差押許可状=ガサ状」のことだ。繰り返し述べてきたが、ガサ入れを受けた際、筆者はガサ状の記述内容を聞いてもいないし、読ませてもらってもいない。警察官による読み上げを拒否して、「見せろ」と言ったが、目の前にかざされただけで内容を把握することはできなかった。
事件から1年、県警が筆者に『適正に示した』としているガサ状を確認するため「個人情報開示請求」を行ったところ、鹿児島県警からは隠蔽組織らしい回答が返ってきた。
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筆者が請求したのは、昨年4月の家宅捜索時に、県警が筆者に示したとするガサ状だ。別紙になっていた可能性があることから、念のため「差し押さえるべき物」が記載された文書も請求した。
それに対する県警の回答が下の「保有個人情報不開示決定通知書」である。つまり、開示しないということだ。
県警が非開示理由にしたのは「刑事訴訟法第53条の2第2項」――《訴訟に関する書類及び押収物に記録されている個人情報については、個人情報の保護に関する法律第五章第四節の規定は、適用しない》という条文だ。「個人情報の保護に関する法律第五章第四節の規定」とは、個人情報の開示請求権や開示義務などについて細かく定めたもの。つまり県警は、ハンターに対するガサ状が“訴訟に関する個人情報”だから開示しないと言っているのだ。しかし、これが合理的な非開示理由とは思えない。
前述したように、ハンターに対するガサ入れは「地方公務員法違反事件」の関係先として裁判所が許可したものだ。ガサ状が“訴訟に関する書類”になるのかどうか判然としないが、その事件の裁判は昨年の段階で処分が確定している。いまさら隠す必要などあるまい。そもそも、いったん筆者に「示した」――つまり見せたはずのガサ状を、もう一度見せることに不都合があるわけがない。不開示には、『見せられない理由』があると考えるのが普通だろう。
鹿児島県警によって数々の組織的な隠ぺいが行われてきたことは、ハンターの記事だけでなく、多くの報道や鹿児島県議会での議論によって明らかになっている。ガサ状開示によって出てくる不都合な真実とは何か、察しはついているのだが……。
(中願寺純則)