【2025参院選】兵庫選挙区で自・公の候補が落選危機
今月20日に投開票される参議院議員選挙で、全国屈指の注目区となっているのが兵庫選挙区。定数3のところに、自民党の現職・加田裕之氏、公明党の現職・高橋光男氏、日本維新の会新人の吉平敏孝氏、国民民主党新人の多田ひとみ氏、さらには無所属で前明石市長の泉房穂氏など13人が立候補するという激戦だ。
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あるメディアの情勢調査では、テレビやラジオで人気を博してきた泉氏が断然リード。残る2議席を加田氏と高橋氏が追う展開だが、僅差で参政党新人の藤原誠也氏と維新の吉平氏が続いている。あまりの接戦と参政党の支持率急伸に、「このまま抜け出せなければ、与党の候補者が二人とも負けてしまうかもしれない」と苦し気に話すのは自民党のある地方議員だ。
7月5日昼前後、神戸の繁華街・元町で、泉氏、加田氏、高橋氏が相次ぎ支援を訴えた。元町の商店街を練り歩いた泉氏が「泉房穂が選挙事務所のある皆様にご挨拶にまいりました」と声をあげると、黒山の人だかり。次々に握手を、写真をと引っ張りだこになった。
対照的だったのが自民の加田氏。同じ商店街を衆院兵庫1区選出の盛山正仁元文科相と一緒に歩いたのだが、多くの人は目もくれない。公明の高橋氏は商店街の入り口付近で演説をはじめたが、集まったのは支持母体である創価学会から動員されたと思われる100人ほど。中には「こんな暑い午後に呼ばれるなんて、たまらんわ」と聞こえよがしに愚痴る人もいた。
兵庫選挙区は2016年の参議院選挙から定数3となり、過去3回の選挙ではいずれも自民、公明、維新の「指定席」になっていた。前出の自民党地方議員は「今回は、うち自民党だけじゃなく、公明党も維新も、本当に危うい。泉さんの人気があまりに高く、大量得票でトップ当選する見込みだ。焦点は2番手、3番手争いに絞られている」と話す。
一方、地元の創価学会幹部は「6年前の選挙ではうちの高橋と加田さんはともに当選した。加田さんが3位で高橋が2位だった。だが、今回はうちが一番苦しい。驚異的な強さを誇る泉氏に加えて、人気急上昇の国民民主党と参政党の候補の追い上げが急だ」と危機感を隠さない。
一躍注目される存在となったのが全国で議席増が見込まれる参政党だ。同党新人の藤原氏は、自民・加田氏に3ポイント差、公明・高橋氏には1ポイント差と肉薄している。国民民主・多田、維新・吉平氏も3位の高橋氏と3ポイント差で、逆転圏内に位置する。
自民党は不人気の2万円給付金や裏金事件などで苦戦しており、公明党もそれにつられる形で支持を落とす状況だ。前出の学会幹部が苦しそうにこう話す。
「自公政権への支持がない大きな要因は、安倍晋三元首相に代表される保守層の票が、参政党や国民民主党などに分散していること。特に、参政党がうまく取り込んでいます。公明党に絞っていえば、政治に熱心な創価学会員が高齢化していること。さらには、親をから言われて公明党に入れてくれていた子ども世代から見放されているということ。この2点に尽きる。創価学会員の親に反目する格好で、その子どもがSNS上で参政党を熱心に支援するといった事例もある」
兵庫選挙区といえば、昨年11月の知事選で斎藤元彦知事が再選。NHK党の立花氏が“2馬力選挙”を展開して、大きな問題となった。今回、兵庫選挙区から立候補している立花氏はXで、《立花孝志は兵庫県で落選して、更に選挙区か全国区で2%得票できなければ政治家を引退します》述べているが、これが本当なのか嘘なのか判然としない。
今回、立花氏がターゲットにしているのが泉氏だ。立花氏やその周辺が《泉房穂を探せ》と何度もXに投稿。立花氏は、昨年の知事選で連日斎藤知事の街頭演説後に乗り込み「斎藤支援」を訴えたが、今度は泉氏の街頭演説に乗り込み、それとは真逆の「落選運動」を狙っているともいわれる。泉氏の熱心な支援者は、次のように懸念を示す。
「泉さんは立花と話したこともなく、なんら関係はありません。ただ、これまで立花は何度もSNSなどで泉さんにつっかかっており、汚い手法で来ることは十分予想できていた。選挙活動の一環なので『やめろとはいえない』と泉さんも冷静にみています。ただ、立花がこちらの街頭演説に割って入ることで、不測の事態が起こることもありえます。立花さん自身も襲われたことがありますからね。おまけにこの猛暑。心配の種は尽きません」
混とんとする、兵庫選挙区。「定数3の兵庫で自民党と公明党がどちらも落選となれば、それが国民の声ということになる。なんとか、自公で2議席とりたいが……」――自民党幹部の表情が曇った。















