宮路総務政務官の自民支部が「運転代行」「初穂料」支出

宮路拓馬総務大臣政務官が代表を務める自民党の支部が、「運転代行」や神社への「初穂料」を支出していたことが分かった。税金を原資とする政党交付金の受け皿を利用し、飲酒の尻ぬぐいや選挙区内への寄付を行っていた形。政党が初穂料を支払ったことで政教分離の原則にも触れる可能性がある。

■頻繁に「運転代行」利用

贈収賄事件を引き起こした鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)側から政治資金を提供されたり、関連政治団体が東京都内にある企業の本社内に事務所を置きながら、家賃にあたる“事務所費”を支払っていないことが明らかとなっていた宮路拓馬総務大臣政務官(九州比例)。当選二回の若手ながら、「政治とカネ」の問題がつきまとう。

ハンターは今年2月、その宮路氏が代表を務める「自由民主党鹿児島県衆議院比例区第一支部」の、平成29年、30年、令和元年分少額領収書(1件1万円以下の支出に係る領収書等)を開示請求。開示決定期限を2度も延長されたが、先月末になってようやく領収書等の写しが送付されてきた。

精査する中、記者が注目したのは「運転代行」と「初穂料」。政党交付金の受け皿となっている同支部の支出としては、不適切だと考えた。運転代行の領収書は、平成30年が7件20,700円、令和元年が10件29,700円である。

運転代行は、車で出かけて飲酒に及んだ人が、違反摘発を避けるため自分の車を代行業者に運転してもらうサービスだ。その代金を、政党支部が支払っている。

一方、宮路氏の自民支部には平成30年に1,200万円、令和元年に1,300万円の政党交付金が振り込まれている。つまり、飲酒の尻ぬぐいを、税金で賄ったと言われてもおかしくない形だ。どう考えても不適切だろう。

■税制上、初穂料は「寄附」

次に、神社への支出だが、令和元年に集中していて、5件13,000円が「初穂料」として計上されていた。

初穂料は、税制上の「寄附」にあたる支出だ。政治家の選挙区内での寄附は禁じられており、宮路氏の政党支部が政治活動の一環として初穂料を支払ったのであれば、違法の疑いがある。また、政党が神社に寄附したことは政教分離の原則にも触れかねない。

■質問書に対する“お粗末な回答”

上掲の領収書で明らかなように、初穂料領収書の宛名は宮路氏本人が2枚、残り2枚は誰が支払ったものかも分からない。やむなく、宮路氏の議員会館の事務所に、「運転代行」と「初穂料」に関する疑問点を列記した質問書を送った。質問は、以下の6点である。

1 総務省への開示請求で入手した「自由民主党鹿児島県衆議院比例区第一支部」の少額領収書の中に、別紙の通り運転代行業者への支出が多数含まれていました。これらは、政党の政治活動に伴う支出としては不適切と思料いたしますが、貴殿のお考えをお聞かせ下さい。

2 総務省への開示請求で入手した「自由民主党鹿児島県衆議院比例区第一支部」の少額領収書の中に、別氏の通り神社への初穂料が含まれておりました。神社への初穂料等につきましては税法上の「寄付」となります。神社への当該支出は不適切と思料いたしますが、どのようにお考えですか?

3 前記初穂料など神社への支出については、政教分離の観点から議論のあるところだと認識しておりますが、貴殿はどのように考えられますか?

3 前記初穂料等、神社への領収書の中には、宮路議員本人あての領収書が含まれています。これを政党支部の支出として処理されたことは、適切とお考えですか?

4 神社への初穂料の領収書の中に、あて名が黒塗り非開示になっているものがあります。当該領収書はどのような立場の方が支出したものですか?秘書の方であるか、身内の方か、あるいは全く関係のない第三者のものであるか、可能な範囲でお答え下さい。

5 少額領収書の中に「宮路拓馬事務所」あてのものが含まれていますが、これらは政党支部の支出で間違いありませんか?

6 少額領収書の中に、「宮路拓馬後援会」宛てのものが含まれていますが、これは政党支部の支出ではなく、宮路拓馬後援会の支出ではありませんか?

 

これに対する宮路氏側の回答が、下の文書である。

結論から先に述べると“答えになっていない”。正直、この程度の答えしか出せない方が、国政を担えるとは思えない。

まず1の回答。交通法令を守るのは当然で、運転代行を頼むのが悪いわけではない。問題視されるのは、その代金を政党支部の政治資金から支払うことの是非なのだ。“問題なし”が宮路氏の考えならば、国民感情とはかけ離れていると言わざるを得ない。

次に2の回答。初穂料を「祈祷に対する対価」だから問題ないとお考えのようだが、全国の神社を束ねる神社本庁のホームページには、こう記されている。

日本は古来、稲作をはじめ農業を中心に国づくりを進めてきました。ですから、みのりの秋には「ありがとうございました」という感謝の気持ちを込めて、その年に初めて収穫された稲穂などの穀物を神さまにお供えします。これを初穂といいます。野菜や果物、魚などの初物も同様です。神社にお供えするお初穂という言葉は、ここに由来します。いまでは、季節にかかわらず、お初穂としてお金を上げることが多くなりました。その場合、包みの表書きには「初穂料」と書きます。

神社本庁のホームページに記されているように、「初穂料」は神社にお包みをする場合の一般的な表書きで、必ずしも「祈祷の対価」とは限らない。国会議員ともあろう者が、「実態」がどうのと姑息な言い訳で事を済ませるべきではあるまい。そもそも、祈祷が行われたという確証自体がない。

問題はまだある。「祈祷」という言葉を持ち出すのなら、政教分離への疑義がより強まるのではないか。祈祷は、神職と祈祷師にのみに認められる宗教儀式。ならば、その宗教儀式への対価を、政党で賄うというのは明らかな政教一致だろう。もっともらしい言い訳が自分の首を絞めることに、宮路氏は気付いていない。

政治資金規正法には、領収書の宛名の記載方法を規定した条文はない。しかし、「政治資金監査マニュアルに準拠」しているという説明は極めて不親切。念のため宮路氏の事務所に同マニュアルのどこを指して回答したのか確認を求めたところ、「文書回答の通り」の一点張りで、説明を拒否された。説明責任を放棄するところは、安倍・菅政権の姿勢そのままだ。

神社の初穂料を、政党交付金を受け取っている政党支部が支払うことは決して「適切」とは言えない。ましてや、宮路氏以外の人間が支払った初穂料まで政党のカネで賄っているとすれば、どうみても不適切だろう。初穂料の領収書の宛名が宮路氏の秘書なら、改めてその是非が問われることになる。

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