【速報】「鹿児島市明和地区」地元市議主導の集会所建替え計画に疑惑|助成金申請時の自治会議事録に虚偽の可能性
- 2025/8/21
- 社会
- コミュニティ助成金, 伊地知紘徳市議会議員, 疑惑, 集会所建替え, 鹿児島市, 鹿児島市地域づくり推進課
鹿児島市内にある集会所の建替えを進めるとして地元地域選出の市議会議員が代表を務める自治組織が市に助成金の申請を行った際、地元の同意に関する事項を偽って総会議事録を作成し、提出していたことが分かった。市に提出された議事録では集会所建替え計画が承認されたことになっているが、ハンターが入手した議事録原本の画像や複数の証言によれば、集会所の建替え計画は承認されておらず“継続審議”になっていた。市議は議事録原本の重要部分を切り取ったり、作成し直して都合よく加筆するなど不適切な変造を行っており、“虚偽”に基づく助成金申請だった可能性が否定できない。
自治組織側から提出された議事録の内容に疑義があるとして事業を所管する市地域づくり推進課に確認を求めたところ、「問題ない。粛々と事業を進める」と回答。取材で得た証拠や証言をもとに追及したところ、当事者である自治組織代表の市議に話を聞いただけで裏付けはとっていないと明言した。さらに、記者の質問に平気で嘘をつくなど市議と市側の癒着を疑わせる状況となっている。
■議事録「抄本」への疑問
問題の集会所は、鹿児島市明和の永吉団地にある「親和会館」。老朽化に伴い、建設費約4,300万円をかけるという建替え計画が進行中だ。事業費の半分近くを占めるのが2,000万円にのぼる「コミニュティ助成金」。伊地知紘徳市議会議員が代表を務める自治組織「永吉団地親和会」が、事業を所管する市地域づくり推進課に助成金の申請書を提出していた。(*下が申請書の表紙。次の画像、赤いアンダーラインが添付書類を示した箇所)
記者が注目したのは、添付書類の中の《コミュニティセンター(集会所)建設に関する総意が分かる議事録(写)等》である。住民の総意が示されたことを証明する議事録の写しが提出されたことになっている。


そして、下が市への情報公開請求で入手した『議事録 (抄本)』(*赤いアンダーラインはハンター編集部)。“抄本”である以上、議事録の一部を抜粋した文書ということになる。
その抄本の「総会に付した事項」の最後には《集会所の建設を令和6年度ではなく7年度に実施することについて》。「総会の審議概要」には《上記の議案について、出席者の決議承認を得た》とある。「総意を得た」というわけだ。しかし、この《決議承認を得た》という記述が虚偽だと証言する地元関係者が複数いる。

■論より証拠
ハンターに情報提供してきた地元の関係者によれば、市に提出された議事録は事実関係を偽っており、会館建替えについての議論は終わっていないという。別の総会出席者も「継続審議」だったと断言する。現地取材でその証拠を確認した。論より証拠だ。
下は今年1月26日、建設計画の経緯に疑問を抱いた住民6人が伊地知市議に議事録などの提出書類を見せるよう頼んだ際、同氏が示したとされる「議事録 R6.4.28」だ。これが議事録の原本だが、途中から下が切り取られているのが分かる。

残された記録によれば、伊地知市議と対峙した住民らが“なぜ議事録の下が切り取られているのか”と尋ねると、市議は「何も書いていなかったから切ってメモに使った」と答えていた。鹿児島市の自治会には助成金=公金が投入されているが、代表者である伊地知氏は、そこで話し合った内容を証明する議事録の一部を切り取ってメモ紙にしたと釈明しているのだ。常識的にはあり得ない話だろう。
不正を感じ取った住民らがさらなる議事録の開示を求めたのは言うまでもない。そうした声を無視できなかったらしく、4月13日に開かれた自治会年次総会の終了後に伊地知市議が出してきたのが下の「議事録 R6.4.28」である。

何も書かれていなかったはずの部分には、やはり記載の続きがあった。驚いたことに、切り取られて残っていた記載の真下にあたるところには《★今一度条件をしっかり把握し検討をする》として継続審議にしたことが明記されていた。会館建設にあたって前面バリアフリーにすれば別の助成(*議事録の記述「コミュニティ女性」は誤記とみられる)=「宝くじ補助」が受けられるとして賛同を求めたが、同意が得られていなかったという意味だ。“会館建替え計画”は合意されていない。
総会が開かれた昨年4月の時期には事業費の総額も内訳も一切示されていなかった。補助金申請の件を含めた会館建設に住民がゴーサインを出せるはずがない。継続審議は当たり前だった。ある住民は、伊地知氏が今年4月の総会で示した議事録に《★今一度条件をしっかり把握し検討をする》という記述を復活させた理由について、「総会に参加した住民を欺むくことは難しいと考えたからでしょう」と突き放す。
会館建替え計画が宙に浮いたままだったことはハッキリした。しかし、伊地知氏はしたたかだった。補助金申請を行うため、総会の実態を都合よく変えていたのだ。
比較してもらえば解るように、4月13日の総会で示された上掲の議事録の赤い四角で囲んだ部分は、1月に伊地知氏が住民に示した「原本」にない。補助金申請には地元自治会の総意が必要だが、継続審議になっている。そこで伊地知氏は、《R6年度定期総会において、R6年度活動方針・予算・特別会計予算については全会一致で可決されました。また、R5年度決算、R6年度の役員も承認されました。なお総会後出された議論は以下の通りです。》という一文を加筆、議事録原本に記載された内容を、すべて“総会後の議論”にすり替えた。会館建替え計画に同意を得たと見せかけるための弥縫策という見立ても成り立つ。
そもそも、多額の資金を要する会館の建替えという地元にとっては極めて重大な事案を、総会後の雑談で諮るわけがない。単なる話し合いに《多数決》をとるのも不自然。積立金についての決定も、正式な議事を経るのが普通だ。地元の住民たちも「予算・決算の承認は儀式のようなもの。よほどのことがない限り、そこで紛糾したりはしない。議事録の原本に書いてあるのも正式な議事であったことは間違いない」(住民男性)「最初に示された議事録がすべてでしょう。総会後の話し合いだけを議事録に残すなど、そんは話は聞いたことがありません」(住民女性)と憤る。無理を通したことで、議事録の欺瞞が露呈した格好となっている。
■市担当課は平然と嘘
一連の取材結果を鹿児島市地域づくり推進課に示して申請書の添付文書に虚偽の疑いがあることを伝えたが、市側は後日、「確認したところ問題はなかった。決議したことを示す総会資料も確認しており、粛々と事業を進める」と連絡してきた。その理由について市側は、次のように話す。
・伊地知氏に聞き取りをした結果、総会があったこと、総会の議決がされていることを確認した。
・コミュニティセンター建設を決議したとする総会資料も確認した。
・議事録抄本に議事録署名人の方も署名している。
疑惑が持たれているのは『議事録 抄本』の記述内容であり、それを作成して市に提出したのは当該自治組織の代表である伊地知市議だ。にもかかわらず、市側は当事者である伊地知氏に聞き取りしただけで「問題ない」という決論を出したと言う。とんでもない確認方法だ。記者は担当課長を追及した。
記者:議事録署名人が署名しているというが、署名された方に確認がとれたということか?
課長:そうですね。記者:「そうですね」じゃなくて、署名をした人に確認したということでいいか?
課長:いや、そこはしてないですね。記者:あなた、いま「そうですね」と言ったじゃないか。
課長:ああ、そうじゃなくて・・・。記者:適当なこと言ったらだめだろう。
課長:いえいえ。記者:確認したと言っただろう?実は、してないんだろう?
課長:はい。そこはですね。記者:そんないい加減な話をわざわざ電話してきたのか?
課長:いや、それは・・・・・・。
開いた口が塞がらないとはこのことだ。疑惑の当事者に話を聞いて、裏付けなしで疑惑を否定するというのだから“ままごと”に等しい。しかも、やってもいないのに、「議事録署名人に確認した」と平気で嘘をついてごまかす――。疑惑に蓋をして事業を進めようとする市側の思惑が透けて見える。会館建設を計画している自治会の代表者は現職の市議。癒着を疑うに足る展開である。20日、集会所建替えの地元責任者である伊地知市議に、総会議事録を巡って浮上した疑惑をぶつけた。
■市議の主張は・・・
ハンターの取材に対し、伊地知氏は疑惑を真っ向から否定。およそ次のように説明する。
・(下を切り取った)議事録を見せたのは、たまたまあったからだろう。その後、きちんとしたものを出しており、何の問題もない。大した話ではない。
・昨年の総会資料である「議案書」の中で「活動方針案」を示しており、会館建設の件も議案に入れた。そこで、きちんと議決されている。
・会館建設には大きな予算が必要で、当然、助成金が必要になる。助成金申請は計画とセットだ。事業が間に合わなくなれば地元が不利益を被る。そのため急いで申請した。
・事業費については役員に説明している。
議事録の都合の悪い部分を切り取って住民に見せるという行為を「大したことでない」とうそぶく神経は理解できない。どこぞの市長の「チラ見せ」を連想させる展開だ。残念ながら、議事録切り取りについての合理的な説明を聞くことはできなかった。
伊地知氏は、昨年の総会で会館建替え計画の承認を得たと主張する。根拠となっているのは毎年度の自治会総会で配布される「定期総会 議案書」(*下の画像参照)。市の担当課長が「コミュニティセンター建設を決議したとする総会資料」がこれにあたるとみられる。

議案書の中に「令和6年度活動方針(案)」という項目があり、そこに《長年の課題で有ります親和会館の本年度内着工を目指し、再度資金計画の整合性を見極め新会館建設に着手します。》という一文が記されている(*下の画像)。これこそが、伊地知氏がいう「議案書」の中の「活動方針案」だ。

確かに、この方針案には参加者のほとんどが賛同しており、伊地知氏のこの部分の話は嘘ではない。会館の建替えは地域にとって長年の課題だからだ。ちなみに、毎年度ごとの議案書には、ほぼ同じ一文が掲載されている(*下は令和5年度の定期総会議案書の記述)。「議事録がおかしい」と声を上げている住民たちは、会館の建替えに反対というわけではないのだ。

問題は、自治会総会が決議も承認もしていないうちに、市議が勝手に助成金の申請を行い、その際に提出された「議事録 抄本」の記述内容に偽りがあったという点だ。重ねて述べるが、伊地知市議が市に提出した内容の計画案は審議されておらず、議決も承認もされていない。自治会トップの権限を著しく逸脱した「専横」と言われても仕方があるまい。
伊地知市議にも言い分があり、それは前述した通りだ。しかし、議事録を巡る不正が疑われる理由が、実はまだある。次稿で、当事者への直接取材で確認した「議事録署名」の真相を明らかにする。
(つづく)
(中願寺純則)















